自業自得な悪役令嬢

柚木ゆず

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第1話 始まり、そして ジョゼット視点(1)

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《貴方達。抜かりはありませんわね?》

 パーティー開始、20分前に――カロリーヌが到着する前に会場に入ったわたくしは、まずは6人の男女にアイコンタクトを送る。
 この人達は、わたくしの仲間。作戦に必要不可欠な存在ですの。

 カロリーヌは『清廉潔白な白百合』と呼ばれる程に、言動に隙がない女。

 そんな女に、証拠もなしに嫌がらせをされたと言っても信用されないでしょう? そこでわたくしは、ちゃ~んと用意していますの。
 ダーヘン子爵家のエルザ、リエル子爵家のサンドラ、イオテル男爵家のミラ。ミデラ子爵家のロラン、ハーレシト男爵家のダヴィッド、べリズ男爵家のヴァンサン。
 6人の駒こと、目撃者をね。

((この6人はわたくしやカロリーヌ達と特には親しくない、いわば中立な人間。そんな者達が見たと言えば?))

 たとえ証拠がなくても、信憑性を持つものとなる。
 そうすれば罪には問われないものの、社交界での評価は一気にダウン。逆にわたくしは可哀想な被害者というプラスも加わって、一気にアップしますのっ。

《完璧です》
《抜かりありません》
《問題ありません》
《お任せください》
《失敗はありえません》
《ご命令の通りに動いております》

 わたくしが目配せをすると、小さな頷きが6つ返ってきた。
 まあ、そうですわよね。

『わたくしに従い成功させないと、我がサンオーブ伯爵家の力を思い知る羽目になりますわよ?』

 と、脅かしているんですもの。抜かりがあるはずが、ありませんわよね。

《上出来ですわ。……カロリーヌが到着して、お歴々が全員集まったら、動きますわよ》

 そうしてわたくしは会場の中央を目指し、そこで俯きがちになって待機をする。そうして一番目立つ場所で落ち込み思い悩むフリをして待っていると、カロリーヌがやって来ましたわぁ。
 だから、作戦のはじまり。

「カロリーヌ様……。本当は、内々で解決したかったのですが……。貴方様の要求が悪化し、耐えられなくなってしまいましたので……。皆様のお力をお借りして、解決することにしました……」
「内々? 解決、ですか……? ジョゼット様? なにを仰っているのですか……?」

 腹立たしいけれど、本当に白百合のように美しい容姿を持つカロリーヌ。この人は何もやっていないのだから、困惑しますわよね。
 けれどそんなことは、関係ない。貴方は無意識的に、わたくしを傷付けたんですもの。容赦なく作戦は継続となって――

「知らないフリは、やめてくださいまし……。わたくしは……。貴方にずっと脅迫をされてきたことを、言っているんです……っ」

 なぜか・・・胸元で手を組んでいる、カロリーヌ。忌々しい女を心の中で嗤いながら、他の参加者にしっかりと聞こえるよう大きな声で捏造を始めたのでしたっ。

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