14 / 27
第8話 悲願の日 アルチュール視点(1)
しおりを挟む
「ヴィルジニー。今日は一日、よろしくお願いします」
「はいっ、アルチュール様。今日一日、よろしくお願いします」
翌日、午前7時過ぎ。ザストール邸。
ザストール家所有の馬車に乗り込んだ俺達は、隣に向けて微笑み合った。
――今日は俺が提案した『ローヴェラスのラベンダー畑』と呼ばれる貴族に人気のスポットに行き、楽しい時間を過ごす――。
そうなっているのだが、表向きそうなっているだけ。実態は『途中で行った休憩中に馬が暴走してヴィルジニーが轢かれてしまう』という、死の旅が始まろうとしているのだ。
「アルチュール様が大好きな場所。運命の人が好む場所を目に出来る。お誘いいただいた時からずっと、この日を心待ちにしておりました……!」
「それは俺も同じで、好きな景色を運命の人に見てもらいたかった。こちらもずっと、この日を心待ちにしていたよ」
真実を知らないヴィルジニーは呑気に頬を緩ませ、ソレに返事をしているとゆっくり馬車が動き出した。
ヴィルジニー、ミレーユ。
人生最期の旅を、楽しんでおくれ。
「……あ、あの……。アルチュール様」
「ん? なんだい?」
「実は今日のために、マドレーヌを焼いてみたんです。お菓子を作るのは慣れていなくて、美味しくないとは思うのですが……。召し上がっていただけますか……?」
「もちろんさ。では、ひとつ………………お! 上手い! プロみたいだよ!」
「っっ。ありがとうございますっ」
「せっかくサプライズをもらったんだ。こっちも先に、少しだけ教えちゃおうかな」
「え? なんですか……?」
「この旅から帰ったら、君に渡したいものがあるんだ。楽しみにしておいてね」
「は、はいっ。な、なんなのでしょうか……?」
「なんだろうねぇ? ヴィルジニーなら、大喜びしてくれるものなはずだなぁ」
「気になります……! まさか、終わった後まで楽しみにがあるなんて……! アルチュール様、わたくしは幸せ者です……!」
持ち上げて落とす方が、絶望が増すというもの。こんな風にあの手この手で下衆女を興奮させていき――
ついに、目的地に着いた。
((さあ始めようか、ヴィルジニー。ミレーユ。粛清をなぁ……!!))
「はいっ、アルチュール様。今日一日、よろしくお願いします」
翌日、午前7時過ぎ。ザストール邸。
ザストール家所有の馬車に乗り込んだ俺達は、隣に向けて微笑み合った。
――今日は俺が提案した『ローヴェラスのラベンダー畑』と呼ばれる貴族に人気のスポットに行き、楽しい時間を過ごす――。
そうなっているのだが、表向きそうなっているだけ。実態は『途中で行った休憩中に馬が暴走してヴィルジニーが轢かれてしまう』という、死の旅が始まろうとしているのだ。
「アルチュール様が大好きな場所。運命の人が好む場所を目に出来る。お誘いいただいた時からずっと、この日を心待ちにしておりました……!」
「それは俺も同じで、好きな景色を運命の人に見てもらいたかった。こちらもずっと、この日を心待ちにしていたよ」
真実を知らないヴィルジニーは呑気に頬を緩ませ、ソレに返事をしているとゆっくり馬車が動き出した。
ヴィルジニー、ミレーユ。
人生最期の旅を、楽しんでおくれ。
「……あ、あの……。アルチュール様」
「ん? なんだい?」
「実は今日のために、マドレーヌを焼いてみたんです。お菓子を作るのは慣れていなくて、美味しくないとは思うのですが……。召し上がっていただけますか……?」
「もちろんさ。では、ひとつ………………お! 上手い! プロみたいだよ!」
「っっ。ありがとうございますっ」
「せっかくサプライズをもらったんだ。こっちも先に、少しだけ教えちゃおうかな」
「え? なんですか……?」
「この旅から帰ったら、君に渡したいものがあるんだ。楽しみにしておいてね」
「は、はいっ。な、なんなのでしょうか……?」
「なんだろうねぇ? ヴィルジニーなら、大喜びしてくれるものなはずだなぁ」
「気になります……! まさか、終わった後まで楽しみにがあるなんて……! アルチュール様、わたくしは幸せ者です……!」
持ち上げて落とす方が、絶望が増すというもの。こんな風にあの手この手で下衆女を興奮させていき――
ついに、目的地に着いた。
((さあ始めようか、ヴィルジニー。ミレーユ。粛清をなぁ……!!))
104
あなたにおすすめの小説
看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎
倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。
栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。
「責任、取って?」
噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。
手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。
けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。
看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。
それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。
義兄のために私ができること
しゃーりん
恋愛
姉が亡くなった。出産時の失血が原因だった。
しかも、子供は義兄の子ではないと罪の告白をして。
入り婿である義兄はどこまで知っている?
姉の子を跡継ぎにすべきか、自分が跡継ぎになるべきか、義兄を解放すべきか。
伯爵家のために、義兄のために最善の道を考え悩む令嬢のお話です。
王侯貴族、結婚相手の条件知ってますか?
時見 靜
恋愛
病弱な妹を虐げる悪女プリシア・セノン・リューゲルト、リューゲルト公爵家の至宝マリーアン・セノン・リューゲルト姉妹の評価は真っ二つに別れていたけど、王太子の婚約者に選ばれたのは姉だった。
どうして悪評に塗れた姉が選ばれたのか、、、
その理由は今夜の夜会にて
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる