29 / 29
エピローグ レアンの場合 レアン視点(3)
しおりを挟む
「お父様。薬の研究をさせてください」
お姉様は完治したものの病に侵されていた時期があり、確率は極めて低いものの再発の危険性がありました。万が一が起きた時に長期間苦しまなくて済むよう、先手を打っておきたかったのです。
「もちろんそれだけではなく、お金となる研究も致します。ご安心を」
お金は有限、好き勝手していればあらゆるところに支障が出て来てしまいます。それになにより、お金はあればあるほどお姉様のためになります。
そこでうまい具合に作業を連動&並行させて、風邪薬や傷薬など――需要が高いものの研究も行うことで、自ら資金を調達できるようにしました。
幸いにも『才』のおかげですぐ軌道に乗り、開発を始めてから3年後――13の時に一つ目の作品・傷薬の開発に成功。わたしが開発したと世に知れたら注目されてしまう――下手をするとこのラボで自由に研究できなくなるリスクがあったため、製造法など薬に関する情報及び一切の権利をとある方に売却しました。
「お父様、こちらのお金は全てお渡しします。ロマイーン家の武器としてお使いください」
「い、いいのか……?」
「武器があればあるほど、お姉様は将来良い環境で過ごせるようになります。どうぞお納めください」
とはいえ武器するには不十分で、更にお金が欲しかった。そこで早速新たな薬の開発研究に取り掛かり――精神を落ち着かせる成分の研究をしている際に、この成分の新たな利用価値に気付くのでした。
「…………これを上手く使えば、自白剤になりますね。この薬なら国との契約になり、前作の比ではない見返りを得られるでしょう」
『わたくしがこんな風になっている理由は、アントワーヌ様。アントワーヌ様の言動に、耐えられなくなってしまったの』
『フィウナ様が綺麗? お世辞に決まっているだろう。こんな女が綺麗なはずがない』
『信じられない。愛しのリリナと同じ人間だなんて、信じられない……!!』
あの日お姉様が隠していた秘密を打ち明けたのも、パーティー会場でアントワーヌ様が心のうちを公開したのも、この薬の影響。厳密にはそれぞれ開発した自白剤を応用した薬を使い、本音を言わずにはいられないようにしていたのでした。
〇〇
((お姉様を守れて、よかった))
パーティー会場から無様に引きずり出されて行くアントワーヌ様を見届け――戸惑いながらも安堵するお姉様を密かに眺め、わたしもひとり安堵の息を吐きました。
((とはいえ、ですね))
薬のおかげで最悪の事態は防げましたが、問題児との婚約という出来事は回避できませんでした。
((今後はもっと注意を払わないといけませんし、もっともっと力をつけないといけませんね))
それはやすやすとは達成できないものでしょうが、お姉様、ご安心を。わたしには一度目を背けようとしていた、『才』があります。
お姉様のおかげでちゃんと向き合えるようになった力を使って、これからもお守りさせていただきますから。安心していてくださいね。
お姉様は完治したものの病に侵されていた時期があり、確率は極めて低いものの再発の危険性がありました。万が一が起きた時に長期間苦しまなくて済むよう、先手を打っておきたかったのです。
「もちろんそれだけではなく、お金となる研究も致します。ご安心を」
お金は有限、好き勝手していればあらゆるところに支障が出て来てしまいます。それになにより、お金はあればあるほどお姉様のためになります。
そこでうまい具合に作業を連動&並行させて、風邪薬や傷薬など――需要が高いものの研究も行うことで、自ら資金を調達できるようにしました。
幸いにも『才』のおかげですぐ軌道に乗り、開発を始めてから3年後――13の時に一つ目の作品・傷薬の開発に成功。わたしが開発したと世に知れたら注目されてしまう――下手をするとこのラボで自由に研究できなくなるリスクがあったため、製造法など薬に関する情報及び一切の権利をとある方に売却しました。
「お父様、こちらのお金は全てお渡しします。ロマイーン家の武器としてお使いください」
「い、いいのか……?」
「武器があればあるほど、お姉様は将来良い環境で過ごせるようになります。どうぞお納めください」
とはいえ武器するには不十分で、更にお金が欲しかった。そこで早速新たな薬の開発研究に取り掛かり――精神を落ち着かせる成分の研究をしている際に、この成分の新たな利用価値に気付くのでした。
「…………これを上手く使えば、自白剤になりますね。この薬なら国との契約になり、前作の比ではない見返りを得られるでしょう」
『わたくしがこんな風になっている理由は、アントワーヌ様。アントワーヌ様の言動に、耐えられなくなってしまったの』
『フィウナ様が綺麗? お世辞に決まっているだろう。こんな女が綺麗なはずがない』
『信じられない。愛しのリリナと同じ人間だなんて、信じられない……!!』
あの日お姉様が隠していた秘密を打ち明けたのも、パーティー会場でアントワーヌ様が心のうちを公開したのも、この薬の影響。厳密にはそれぞれ開発した自白剤を応用した薬を使い、本音を言わずにはいられないようにしていたのでした。
〇〇
((お姉様を守れて、よかった))
パーティー会場から無様に引きずり出されて行くアントワーヌ様を見届け――戸惑いながらも安堵するお姉様を密かに眺め、わたしもひとり安堵の息を吐きました。
((とはいえ、ですね))
薬のおかげで最悪の事態は防げましたが、問題児との婚約という出来事は回避できませんでした。
((今後はもっと注意を払わないといけませんし、もっともっと力をつけないといけませんね))
それはやすやすとは達成できないものでしょうが、お姉様、ご安心を。わたしには一度目を背けようとしていた、『才』があります。
お姉様のおかげでちゃんと向き合えるようになった力を使って、これからもお守りさせていただきますから。安心していてくださいね。
51
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
『婚約破棄されたので北の港を発展させたら
ふわふわ
恋愛
王立学園の卒業舞踏会。
公爵令嬢アリアベルは、王太子カルディオンから突然の婚約破棄を告げられる。
「真実の愛を見つけた」
そう言って王太子が選んだのは、涙を流す義妹ヴィオレッタだった。
王都から追い出され、すべてを失った――
はずだった。
アリアベルが向かったのは、王国の北にある小さな港町。
しかし彼女の手腕によって港は急速に発展し、やがて王国最大の交易港へと変わっていく。
一方その頃、王太子と義妹は王都で好き勝手に振る舞っていたが――
やがてすべてが崩れ始める。
王太子は国外追放。
義妹は社交界から追放され修道院送り。
そして気づいた頃には、北の港こそが王国の中心になっていた。
「私はもう誰のものでもありません」
これは、婚約破棄された令嬢が自分の人生を取り戻し、
王国の未来を変えていく物語。
そして――
彼女の隣には、いつしか新しい王太子の姿があった。
婚約破棄から始まる、逆転ざまぁロマンス。✨
「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした
しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」
十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。
会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。
魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。
※小説家になろう様にも投稿しています※
走馬灯に君はいない
優未
恋愛
リーンには前世の記憶がある。それは、愛を誓い合ったはずの恋人の真実を知り、命を落とすというもの。今世は1人で生きていくのもいいと思っていたところ、急に婚約話が浮上する。その相手は前世の恋人で―――。
(完結)貴女は私の親友だったのに・・・・・・
青空一夏
恋愛
私、リネータ・エヴァーツはエヴァーツ伯爵家の長女だ。私には幼い頃から一緒に遊んできた親友マージ・ドゥルイット伯爵令嬢がいる。
彼女と私が親友になったのは領地が隣同志で、お母様達が仲良しだったこともあるけれど、本とバターたっぷりの甘いお菓子が大好きという共通点があったからよ。
大好きな親友とはずっと仲良くしていけると思っていた。けれど私に好きな男の子ができると・・・・・・
ゆるふわ設定、ご都合主義です。異世界で、現代的表現があります。タグの追加・変更の可能性あります。ショートショートの予定。
【完結済】婚約破棄から始まる物語~真実の愛と言う茶番で、私の至福のティータイムを邪魔しないでくださいな
をち。「もう我慢なんて」書籍発売中
恋愛
約束の時間に遅れ、さらには腕に女性を貼り付けて登場したアレックス殿下。
彼は悪びれることすらなく、ドヤ顔でこう仰いました。
「レティシア。君との婚約は破棄させてもらう」
婚約者の義務としての定例のお茶会。まずは遅れたことに謝罪するのが筋なのでは?
1時間も待たせたあげく、開口一番それですか? しかも腕に他の女を張り付けて?
うーん……おバカさんなのかしら?
婚約破棄の正当な理由はあるのですか?
1話完結です。
定番の婚約破棄から始まるザマァを書いてみました。
婚約破棄の慰謝料として『王国の半分』を要求したら、本当にくれたので、今日から私があなたの女王様です
唯崎りいち
恋愛
婚約破棄の慰謝料に
「王国の半分」を要求したら、
ゴミみたいな土地を押し付けられた。
ならば――関所を作りまくって
王子を経済的に詰ませることにした。
支配目当ての女王による、
愛なき(?)完全勝利の記録。
侯爵家を守るのは・・・
透明
恋愛
姑に似ているという理由で母親に虐げられる侯爵令嬢クラリス。
母親似の妹エルシーは両親に愛されすべてを奪っていく。
最愛の人まで妹に奪われそうになるが助けてくれたのは・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる