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しおりを挟む私は、倒れるようにベッドに横になり、眠った。今後の人生が、思いやられる。
私は、この心の傷を背負いながら生きていかなくてはならないのだろうか。
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翌朝、少し遅く起きた。父や母は、疲れている私を察してくれたのでろう起こしたりすることなく、存分に睡眠をとることが出来た。
「おはよう。お母さん、お父さん…」
「おぉ。おはよう。天気が良いなぁ。小鳥もさえずりが絶えないよ。散歩にでも行こうかね。」
父は、いつもどおりに明るく接してくれた。そんな気遣いをさせてしまっていると思うと、余計に心が痛むが、ありがたい。
「あと、リニャーサよ。朝食が終わったら、少し話があるのだが、良いかな?」
心の整理は上手くいっていないが、だからといって話も聞かないのは、余計に家族を心配させてしまう。自分の感情や思いというものもあるが、家族に頼るしかないのだ。
「えぇ。分かったわ。」
そして、朝食を済まし、母がコーヒーを淹れてくれた。そして、父が話をし始めた。
「あのな…リニャーサ。ムローラとのことで、もう恋愛や異性に心を閉ざしてしまっているかもしれないが、決して男は皆、あんなふうでは無いのだ。むしろ、あれは酷いものだ。男でも人間でもない、ただのクズだ。」
私を気遣っているのか、ムローラをやけに罵倒している。というか、普通に父も腹を立てているのだろう。彼に。
「それでだな、少しでも、異性との関わりが出来るように、少しずつ慣れていこう。少しずつで良い。別に、付き合ったり結婚しろと言っているのではない。この「令嬢」という身分の人間は、特に人間との関わりが多い。つまり、人付き合いというものは、我々は大事にしないといけないのだ。」
確かにそうだ。この令嬢という立場では、色んな人と関わることが多い。例えば、パーティーであったり、挨拶であったり。何かと、人付き合いが大切なのである。
「説教のようになってしまい申し訳ない。しかしだな、ずっと引きこもっていれば、今後に苦労する。」
「分かった。心にとどめておきます。」
「それでだリニャーサ。突然で申し訳ないのだが、明日にパーティーがある。ムローラと同じ令息ではあるが、彼は本当に評判の良い男でな。少しでも、関わってみると良い。」
私は、嫌であった。その、「令息」という言葉に、ウンザリしている。ムローラであっても、表向きの顔は良く、八方美人な男であったため、周りからの評判は良かった。
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