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令息になることを、義理の兄は全力で阻止してきました。

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 僕は、ハイマン・イーンス。
 イーンス家の侯爵であり、兄の公爵、エトマンク・イーンスは、義理の兄であった。

 僕はもう21歳。

 名家ナイス家の令息になることが決められていた。ナイス家の令嬢、マンヌ・ナイスは、街一番の美貌と言われ、僕も非常に嬉しい。(マンヌお嬢そっちがどう感じているかは分からないが…)

 一応、その結婚に親同士は非常に満足のいく、良き結婚だと話しているが、ひとつだけ厄介があった。それは、義理の兄、エトマンクの存在である。

 「嫌だ!うちのハイマン!可愛い弟は何処の馬の骨かも分からぬような女にはやれない!帰ってほしい!帰ってくれ!」

 名家で街一番の美貌を持つお嬢様のことを「何処の馬の骨かも分からぬような女」と呼ぶほど、エトマンク義兄だけは反対し続けていた。それには、親も勘弁してくれよと言った様子。

 頑張って親と僕で説得を試みるも、「嫌だ!嫌だ!」と駄々をこねる幼い子供のように反対し続けていた。

 そう。義理の兄であるエトマンクは、僕のことが大好きでお互いが小さい頃から僕のことを溺愛していた。まぁ、僕も兄のことが嫌いではないが、そこまでの愛は無い。それに、彼の愛と僕の愛は若干種類が違う。

 昔なんて、(というか、今もだと思うが)「俺は、ハイマンと結婚して一生幸せに暮らす!」と言ったこともあり、その愛はガチガチなものであった。

 僕は、マンヌお嬢と結婚することは出来るのか…
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