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幼なじみと契約結婚

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 私の名前はマルチナ シャナーリア。マルチナ家の令嬢である。

 今日は、お見合いである。

 お見合いの相手は、幼なじみの、クルーガー イロナンテである。

 そう。これは、契約結婚というもの。親同士が決めた結婚である。

 つまり、偽造された恋である。

 私は、契約結婚とかどうこうの前に、ただただクルーガー イロナンテのことが大好きであった。

 だから、私からすれば、この契約結婚は嫌ではなく、むしろ、嬉しいことである。

 しかし、あっちはどう思っているのか。それは、とても不安であった。

 きっと、契約期間が終われば、私をフるに違いない。

 あっちは、仕事だと思って接してくるであろう…………

 私は、少しそんな憂鬱な気持ちもあった。

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 「では、決定ですな。」

 「晴れた結婚式にしましょう……」

 親同士の最終的な決定の末、契約結婚が決まった。

 明日から、彼、クルーガー イロナンテと同棲するんだ。

 少し緊張もするが、嬉しい。

 契約期間は1年。それまで、幸せに暮らそう。

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 そして、1年間。本物の夫妻のように、楽しく、幸せに暮らした。あっちは演じているだけかもしれないが、私はとても楽しかった。

 そして、1年が経過した。

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 とうとう契約期間は終わってしまった。親からは、「もし、互いが気に入ってれば、このまま普通の結婚にしても良い。」と、言われた。

 私は別に良い(というか、そっちの方が良い)のだが、やはり、あっちは別の本命の方がいるだろうに……

 と、思っていたのだが……

 「お父様。僕は、マルチナが好きだ!ずっと一緒にいたけど、まだずっといたい。この時が来るのが、とても嫌だった。だから、マルチナ!もし良かったら、このまま夫妻として、続けないか!?」

 私は、その言葉に涙が出た。

 あっちも、演技ではなく、本当に愛してくれたことに……

 そして、互いの了解の末、また、幸せな夫妻生活は続きましたとさ!
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