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世界で一番、モブな側妃
しおりを挟む王宮にて、朝からたくさんの人々が集まっていた。
これは、緊急の朝会である。王太子からの命令であった。
そして、王宮の、展望台に王太子が立った。
「皆の衆、まだ日の昇るばかりの朝から、ご苦労であった。今日の朝、我が側妃を、この群衆の中から決める!」
皆、特に、女性から歓声があがった。この国の王太子であるランマルク王太子は、絶世のイケメンであり、さらには、側妃になると、贅沢な暮らしが待っている。
つまり、この王太子の側妃に選ばれる者は、一生涯の幸せを手にいれることになる。
モブな私は、そんな幸せな人を決める朝会を、遠目で見ていた。私は冴えないモブだ。選ばれないのはもう決まっている。自分に自信がある人のみ、王宮に近づき、アピールをしている。
私には、その自信は全くない。こんなとこにいたって、バカにされるだけなのだ。
「皆の衆!我が新しい側妃が決まった!発表しよう。我が新しい側妃は、その居酒屋のタルの陰に隠れているおなご!お前だ!」
すると、国民ら全員、私の方を向いた。
「へ?」
「こそこそしていないで、こちらに来い!」
突然、遠くからこちらに馬車がやってきた。そして、私の前で止まった。
「新たなランマルク王太子の側妃様、こちらから、王宮に向かいますゆえ、お乗りください。」
私は、何も分からないまま、馬車に乗って、ランマルク王太子の元へ向かった。
「ハッハッハ!やはりお前さんはかわいいのぉ。ずっとべっぴんに思っていた!我が側妃にぴったりだ!」
え!?私、本当に彼の側妃に!?
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