上 下
14 / 44
本編

12

しおりを挟む

 「ふぅ。生き返るぅ。」

 水を飲み干した彼は、机に静かにコップを置いた。

 「いろぃろ迷惑かげてごめんなぁ。」

 ろれつの悪い声でそう言った。

 「じゃあ寝ますよ。明日、早いですし。」
 「う…うん。」

 もうソファーで寝かしとけばいいやと思い、僕はいつも通り自分の机の側に毛布をひいて電気を消した。

 「おやすみなさい。」

 小声でそう言って、布団に被った。

 (はぁ。今日は一段と疲れたな。一日で色んな事があった気がする。)

 そう思うのも無理がない。だが、考えてたら寝れない。一度頭をリセットして眠りについた。

 ◆◆◆◆◆◆

 「ょぅ。」

 何かが呼び掛ける。

 「ぉ…ょぅ」

 段々その言葉がはっきり聞こえてくる。

 「お…よぅ」

 「おはよう!」

 ハッ!

 目が覚めると、カーテンの隙間から光が見える。朝だ。そして、何故かジューッという食べ物を炒める音が聞こえる。

 「え!?」

 驚いて振り向くと、彼、そう村上先輩がキッチンに立っていた。

 「おはよう!朝ごはんそろそろ出来るよ。」

 頭が真っ白になった。

 「な、ナニシテンスカ?」
 「昨日酔い潰れちゃって迷惑かけちゃったらしいからお詫びに。記憶が殆どないんだよね。」

 俺に告白したことは覚えているの?と、疑問に思った。
しおりを挟む

処理中です...