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No.1
しおりを挟む「ラーシャ・ミラーリエナ公爵令嬢殿!俺はお前との婚約を破棄しようと思う!」
力強く私にそう叫ぶのは、婚約者であるエドワード・フリスビー伯爵令息である。
彼は、真剣なまなざしで、私に婚約の破棄を申した。だが、私はそれに対して動揺することも無く、少し残念そうな顔をした。
まぁ、どうせそろそろ別れを告げられると予想していた。このままギスギスした関係で結婚しても上手くいかないと思っていたので、予想通り別れを告げてくれて良かったと思う。
「ラーシャ、すまないとは思うが、これは誰が悪いとか、そういう問題とは違う。君も薄々思っていただろう。あまり、俺ら二人が上手くいっていないことは…」
確かに、若干感じていた。付き合いたては勿論良かったのだが、同棲するに当たって、何度も意見の食い違いで言い合いになったりして、気が合うとはいえなかった。
そこから、どんどん口数が減っていき、いつの間にか、公共の場所(パーティー等)のときだけラブラブするような、ビジネスカップルのようになっていた。
「だから、君にとってキツい言い方かもしれないが、俺らは合わない。」
しかし、まだ彼は本当の理由を隠している。私と離れたい理由だ。正直、意見の食い違いなどは口実にすぎない。本当は、もっとまともな理由がある。そして、彼はその情報が私に知れ渡っていることをしらない。
単刀直入に言えば、彼は浮気をした。
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