ひっそりと生きたのに… 公爵令息の浮気相手となった私

ひっそりと生きたいのに…

　私は、ひたすらにひっそりと生きている。そう。下手に恋愛に手を出して、色んな敵を作ったりするのがとてもめんどくさいからである。

　だから、モブのようにひっそりと、見た目もメガネでオシャレすることなく、ひたすらにひっそりとする。

　しかし、そんなひっそりライフを破壊していく者が、現れたのだ。

　「好きだ。エレナ。俺はお前が大好きなんだ。」

　そう。彼は公爵令息のマルクス。しかし、彼には令嬢のアンナという彼女がいる。

　「何を言ってるの！？貴方にはアンナがいるじゃない！」

　「アンナ？あぁ、あいつのことか。あいつとの関係に関しては悪魔で遊びだ。お前が俺と付き合ってくれるなら喜んであいつと別れる。どうだ？付き合ってくれるか？」

　「そ、そんな！」

　しかし、彼の浮気相手となれば、アンナに殺されることになるかもしれない。そうでなくても、アンナと敵対になってしまうことはほぼ確実と言えるだろう。

　「でも、私、アンナさんに悪いわ。いくらなんでも…アンナさんとは敵対になりたくない…」

　「そんなこと言わないでくれ。大丈夫だ。あいつにももっとふさわしい奴がいる。俺よりな。だから、俺と付き合ってくれ！もう一度言う！何度でも言う！お前が恋しくてたまらないんだ！」

　「こ、こんな私でも？」

　「あぁ。もちろん。」

　ごめんなさい。アンナ。ダメだと分かっているのに…心が勝手に…