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「溺愛したんだ」

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 「お前が好きでたまらない。俺は、お前を溺愛してしまったんだ。可愛くて、可愛くて、たまらないんだ!どうか、俺のものになってほしい!」

 そんな綺麗事をいっているのは彼氏であり、婚約者であり、公爵令息のメンマーである。

 ちなみに、この発言をしたのは、彼の浮気が発覚して、もう別れようと思っていた5日後ぐらいの話だ。

 うん。フツーに信じられない。何で浮気して、あんまり謝罪もせずに、また「溺愛したんだ」とか綺麗事を言ってまた復縁できると思っているのだろう。

 私のことを、チョロくみているのかな?そんなんでまた落とせると思っているのかな?

 だけど、残念ながら、私はそんなクズ男とこのままこの関係を続けていく気はさらさら無い。というか、早く別れたい。

 「あの、ごめんなさい。無理です。あなたのその、「溺愛したんだ」っていうのに、信憑性もクソも無いんです。だから、私のことは諦めてください。」

 「そ、そ、そんなぁ!待ってくれ!頼む!頼む!もう一度!もう一度だけ!」

 急に、貪欲になった。あぁ。こうなってくるとメンドクサイ。だけど、同情する気なんて無い。

 「無理です。諦めてください。さようなら。あなたがどんだけ私を溺愛しようが、私は振り向くことは無いですよ。」
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