遠い宇宙の君へ

水妃

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歴史

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その惑星セルカークの民は、当然生きる為に狩りを行い生きていた。

最初は三人~五人くらいの家族で暮らしていたが、
やがて、集落、村、町を作り、そして、それは国へと発展していった。

国と国は領土を広げる為、やがて戦争となり、
何度も何度も血をめぐる戦いをしてきた。

沢山の命は失われ、悲劇は何度も繰り返された。

時は経ち、星では経済活動が発展していった。

資本家は効率を求め、
全ての仕事をテクノロジーによってオートメーション化することにより、
労働者は次々と仕事を失った。

郵送をしていた民はドローン技術に仕事を奪われ、
警備をしていた民はAI搭載の警備ロボに仕事を奪われた。

会計士も、料理人も皆、職を失った。

全てはテクノロジーによるオートメーションとなった。

ある国では仕事を失った民に保障をしたが、
まだ働けている民からは不平不満が生まれた為、
生きていくのに必要な額を働けている者含めて全国民に給付した。

ある国では、保障はしなかった。

結果、職を失った沢山の民は暴動を起こし治安は悪化、
最後は国に対して反乱を起こし、
内戦状態の末に、そういった国々は亡びた。

そのような混乱や悲劇はあらゆる国々で何千年もの間、続いた。

その中で最後に唯一残った国の名はオール。
オールでは大企業である、
オッドテクノロジー社が国以上に権力を所持していた。

国王も以前のように神格化はされておらず、
お飾りとまでは言わないが唯一の力と言えば
王に通貨発行権があることだけだった。

オールでは、過去にあったあらゆる国のテクノロジーを統合し、
交通機関、運搬、警察機能、食料生産、手術などの医療技術、
レストラン、全てがテクノロジーによって自動化されていた。

オッドテクノロジー社の一族、
そしてその幹部職員以外の民は、
職を失った状態ではあったが、国からの一定給付により、
オッドテクノロジー社のサービスを利用する事で何とか生活をすることは出来ていた。

その給付はあくまで生活最低限であり、貯蓄をするなどは難しい額だった。
これにより、王は民の生活をコントロールしている状況だった。
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