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ゲーム強制力で攻略者達に遭遇しました

閑話② 中編

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ちょっとまて?シーキングとクイーンボアって超高級素材だよ。

そう言えば、前に異世界人様の為にエイロスさんがふた狩り行ったってリボル副ギルド長から聴いて、狂犬女王様と呼ばれてる辺境伯爵夫人との獲物の取り扱いしたとかって学園の噂好きの御令嬢達が騒いでいたな。

「アンタ、そんなに浴びるほど飲んで『黒』の方は大丈夫なの?」

「大丈夫!大丈夫だって。俺のスキル知ってるだろう。ほいっ『アルコール強奪』」

ランジュは自分の肝臓あたりに手を当ててスキルを発動するとランジュの掌に透明の液体が入った瓶が現れた。
強奪スキルはランジュだけが持っている訳ではないが、こう言う使い方はランジュくらいしかしないだろうな。
ちなみに『強奪スキル』はこの国の少数の人が生まれたら必ず付くスキルである。そう、スラムで生まれた子供に付くスキルなのだ。

理由はわからないが、前にランジュが市役所の鐘つき場から神殿を睨みながら一言呟いたのが心に残っている。

「女神にとってはスラム生まれは人としての扱いはないんだな。だから『強奪スキル』を付与して犯罪者の道しか進ませない様にしているんだろう」

すぐに平手打ちして脳震盪起こすくらい肩を持ち激しく揺さぶり2人で落ちかけたのを立て直して。

「あんたねえ!!なに人生を諦めているの?クソ女神を鼻で笑いながら送る素晴らしい人生にしちゃいなよ。そうだ『強奪スキル』を使って正義の味方やるのも悪くないんじゃないの」

ランジュの胸にグーパンチをしながら言い切って”ニコッ”と笑った私をビックリした顔で見たランジュも大爆笑し始める。

「正義の味方って・・・あはははははっ!はははっ!!ヤバっ涙が止まらないわ。お前だけだよ、そんなこと言うのは。あははは!」
“パンパン”と手を叩きながら身をよじらせて大爆笑するランジュの姿に私もつられ大爆笑し、2人ともまた落ちそうになったので階段で下に降りた。

「今や立派な正義の味方やってるんだもんね」

冷蔵庫からハニーミルクのおかわりを注いでランジュの横に向かおうとした時、階段から拗ねた表情の銀髪の軽めの天パで長身と彫りの深いイケメンが紺色のパジャマ姿でイルカの抱き枕を抱きながら降りてきた。

「お前があの日に励ましてくれたから今の俺があるんだよ。ありがとな、シュゼ。そんなお前だから好きになっていたのかもな」

「あーーー!!!リュリ君!!!なんで今日も美しいの!!そうだ、リュリ君に是が非でも着てもらいたい服があるんだよね。ほらほら、さあさあお姉ちゃんの所においで。お着替えしましょうね」

おいでと言いつつ興奮した私はリュリに飛びつきバックハグをしながら嫌がるリュリを無視してパジャマを脱がしながらマジックバックに入れた黒のポンチョに黒のスカート付きレギンスパンツに革靴に着替えさせる。

「いょっし!生足も最高!今日も私グッジョブ!!」

ランジュの方を見て満足げにサムズアップする私だが、何故か頭抱えてでかいため息をつきながらブツブツ呟いていた。

「いつもの事だからしゃあないっちゃしゃあないけど、この一世一代の告白はかぶすなや!!」

「えっ?なんか言った?ランジュもお着替えする?もうそろそろ月一のあの日だからそれ用の服用意するね」

「その言い方だとなんかさ、エロって・・・むにゃむにゃ」

「今回からツバサちゃん発案の声とか魔法スキル付与できるカメラ眞守ちゃんに作ってもらったから売れ行き良くなるぞ!!国からの予算減ってきてるからなんかしないと!財務大臣が王宮ギルドの方に予算多めにしてるとかって噂なんだよね・・・噂なんだよねーーー??」

素早くランジュに擦り寄りでかい独り言を呟く。

「はいはい。昨日王様から黒の依頼でその件受けましたから安心してください」

「よかった。私今月服で出費が酷くて依頼どうしようって思っていたんだよね」

「一応『月闇』は国の組織ってわかってるよなお前。それを私用に使おうとしてるのはどうなるかもわかっているよな?」

「どうなるか?まあ、口封じでしょうかね。だったら今すぐするの?」

ランジュの眼の前に立ち、腕を横に広げる。

「バカ。あの日の前に死んでどうする。今やったらお前めちゃくちゃ祟るだろう。まあ、祟られたらずっと俺だけ・・・」

「はーい!!途中からごにょごにょしない!じゃあ私帰るわ。あんたのお酒の匂いで酔ってきたし。おやすみ!!」

横の荷物置きに入れた荷物を取り出してランジュとリュリ君に手を振ってお勝手口から外に出る。
危ないけど裏道から帰るのが1番近いし人気もない。
誰も居ないのを確認すると、操り人形の糸が切れたかの様に腰が抜けてヘニャヘニャと座り込む。

「あーもう!!あのバカランジュ!バカランジュ!めちゃくちゃ聞こえているわよ色々!このでかい鼓動ばれないように大きめの声でしゃべってたし誤魔化してたから大丈夫だよね」

熱い顔を手団扇でパタパタと仰ぎだす。
夢で何度も見てその度に惹かれてきてるアイツを1番初めに見た時はギャップに幻滅したけど惚れてるってバレたらなんか負けた気がして悔しい。

他の人に告白するのもアイツに対する当て付けって言うか、嫉妬して欲しいって言うか。

んんんっ!!帰って寝てやる!
今日はランジュの夢なんか見てドキドキなんかしないからね!!
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