唯一の男が女人国家を男女共存国家へと変えて行く物語

マナピナ

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初めての冒険 Ⅱ

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 アート一行は街が見渡せる高台に建つ大きな屋敷へと案内された。

「ここはアトム様達が拠点とされる屋敷でございます。
部屋は数十ありますが貸し切りと成ってますので安心して下さい。
使用人は庭の手入れから屋根裏の掃除まで行う者が10名いますので、御用の際は遠慮なくお申し付け下さい。
お部屋にご案内したらお茶のご用意を致しますので、大広間にお越し下さい」

 侍女のキャロルは手慣れた口調で一通りの説明をすると建物の中へと案内してくれた。

 衛兵も駐屯してるのか、安全面も問題無さそうだな。

 港町ルナレア、ゾネス皇国唯一の玄関口であり最大の軍港が隣接している。
人口は検問所を挟み内に1万、外に200人と成っているが、検問除外の人間は殆どが兵士である。
男性の密入国が時折起こる事から現在では厳重な体制を取られてるのであった。
 名産は魚介類なのは勿論だが聖水の実がなる、聖水の木群生地として知られている。
王都まで60キロ、魚介類を運ぶ時は特急馬車と言われ馬こそ途中で変える物の昼夜通して走り運び込まれる仕組みと成っていた。

 3人は大広間に集まり予定の確認をしていた。

「お待たせ致しました、ルナレア名物の聖水ジューズでございます」

「聖水?」

「皆様初めてでございますか?」

3人は同時に頷く。

「聖水って、あの聖水が使われてるの?」

アートが問うとキャロルは首を振り説明を始めた。

「聖水のジュースは聖水の木亜種から取れる実で作られる物です。
薬品と成る聖水の木は軍港の向こうで厳重に管理されてます。
街の中や外に生えてるのは全て亜種でございます。」

「なるほど、本当の聖水の実は軍の手によって王都へ運ばれるのですね?」

「左様でございます、アトム様」

「ありがとう、所でキャロル明日から少し街の案内を頼みたいのだけど構わないかな?」

「かしこまりました」

「軍にも視察出来るよう話を通しといて欲しい」

「仰せのままに」

「クリスとエマもそれで良いかな?」

「うん」

「構わないわ」

「それなら今日はゆっくり休むとしよう」

 俺は皆と別れ部屋へと戻りベッドへ崩れ落ちた。

 
 日も沈み街には灯が灯り始めた頃、クリスのノックに返答は無かった。

「アート、いやアトムねてるの? 夕食に呼ばれてるわよ」

返事が無い・・・。

「入るわよ」

クリスが部屋に入りベッドに眠るアートに近づき掛け布団をめくる。

「疲れてるのは分かるけど・・・なななななな、何故エマが一緒に寝てるのよ」

「やぁクリスおはよう」

「おはようじゃ無いわよ、何故エマがいるのか説明して欲しいわ」

「エマ・・・わぁぁ」

「2人共うるさいなぁ」

「エマは何で俺の布団に入っているのかな?」

「アートはギュッとしたらポカポカだからね」

「エマ! 貴方って娘は」

顔を真赤にしたクリスによってエマはベッドからつまみ出された。

 エマには少し自重をして欲しい所だが、今まではこんな感じで育って来たし強く言うのも気が引けるのだよな

「クリスは何か用が有ったのじゃ?」

「そうだ夕食に呼ばれてるわよ」

「分かった直ぐに向かおう、エマも身なりを整えたら食事だ」

「はーい」

「全くエマは油断も隙も無いのだから、私のベッドをこの部屋に運んで貰おうかしら」

「コラコラ、使用人の負担に成る様な事は控える様にね」

「エマばかり理不尽だー」

 俺は身なりを整えるとギャーギャー煩い2人を尻目に階下の食堂へと向かった。

 夕食には長テーブルを避け、4人掛けの小テーブルに用意されたのは有り難かった。
必然と小声での会話が行いやすく成ると言うものだ。
 食卓には魚介満載のスープに、生の魚から新鮮な野菜まで贅沢な品々が並んでいた。

「キャロル、この街ではやはり肉は手に入りにくい物なの?」

「その様な事はございませんよ、冒険者さんが狩りに出てますから供給は普通にあります」

「そうか・・・」

「今日の献立は特別ですので、明日からは普通に肉料理も出させて頂きます」

 キャロルの口調から察すると街全体に食料は回っているようだな、そうなると仕事にも困ってはいないのだろうか?
母上から伺った新しい公共事業は考えなくても済むかも知れない。

「食事を終えたら気持ちよく湯に浸かりたいのだけど・・・」

この言葉にクリスとエマの手が止まる。

「屋敷最大の露天風呂が使用できます」

「それは楽しみね」

「そうね」

「キャロル、1人でゆっくりと入れる浴室は無い?」

「それでしたら、屋内の中規模な所をお使いになられたら良いと思います」

「そこにしよう、私が入ってる間入り口で見張りを頼みたい、仕事熱心な2人が入ってくるとゆっくりも出来ないからね」

「かしこまりました」

「余りだわ・・・」

「意気地なし・・・」

2人の呟きは誰の耳に届く事も無かったのだった。


 これは素晴らしい10数名同時に入っても余る広さでは無いか。
この街は恵まれているのだな・・・あくまでも表向きだけしか知らないのだけど。
細かい所は後回しにして全体的な事を把握するのが先だろう。
 クリスには食関係、エマには事業関係を調べて貰い、俺は当面検問所と軍の施設を見て回る事とするかな。

「余り長湯してもキャロルの負担に成るし、そろそろ上がるか」

脱衣所から外に出るとキャロルから衝撃の言葉が発せられた。

「アトム様、クリス様とエマ様のご要望で3名の部屋へ移動しました、勿論お荷物は運び終えてます」

「部屋の移動?」

「警護の関係から個室でなく家族用の部屋へと移動して頂きたいと承りましたので」

あの2人風呂の事で根に持ってるな、なんて心が狭いのだろうか!

「立派な方々ですよね、流石騎士団長と魔法師団長を継ぐ方々です」

 あの2人は一体どうやって言い包めたのだろうか謎でしょうがない。

 俺は部屋を見渡し中へ入り込むと、恒例と成った就寝する場所の取り合いが始まった。

「俺は普通のベッドで寝るから後は2人で決めてくれるかな」

「一目瞭然、エマは子供用で寝るべきね、私では膝から下がはみ出すからね」

「うくく、仕方が無いわね体調を壊しては本末転倒だし我慢するわ」

 エマとしては同じ室内で動向が分かる状態であれば、取り敢えず満足な様である。


 爽やかな朝、クリスが裸体だった事以外は何も無く迎えた、朝食を済ませ街へ出る準備を済ませた3人は玄関に集まっていた。

「アトム様、まずは何処をご覧になりますか?」

「街全体も気になるけど、最初に見ておきたいのは検問所の向こうかな、お願いできる?」

「かしこまりました、アトム様達でしたら可能です」

 目的地の決まった4人は港の方へ向かい歩きだしたのであった。

「クリス、何故裸で寝てたの?」

「別に・・・暑かっただけよ」

「そう、しかしアートをその気にさせるのは難しそうね」

「確かにね、でも第一正妃は譲らないからね」

「私も手を抜く気は無いから」

「おーい、2人共置いて行くぞ」

 2人の気も知らないアートは笑顔で手招きをするのだった。


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