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初めての冒険 Ⅳ
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夕食後テーブルでクリスとエマから報告を受けていた。
「料理はどれも美味しかったわ」
「どんだけ食べたんだよ・・・」
「食料品は魚介類は安いけど、それ以外は王都より少し高い感じね」
「それで?」
「総合的に見ると安定した需要と供給で回ってると思うわ」
「ありがとう、エマの方は?」
「こちらも問題無いわね、多少の格差は有るでしょうけど極端な貧困街なども無かったし、街全体も綺麗な方だと思った」
「ありがとう、明日からの話だけどクリスとエマには仕事をして貰いたい」
「何でも言って」
「分かったわ」
アートは少し間を置いて2人に伝えた。
「クリスは食堂、エマは宿屋でそれぞれ働く様に頼む」
「え? 仕事って仕事?」
「最初からそう言ったよ」
「宿屋とか無理かも・・・」
「これも大事な任務だから頼むね」
「アートはどうするの?」
「視察を続けようと思ってる」
クリスとエマの不機嫌な顔を無視して手を上げキャロルを呼んだ。
「お呼びでしょうか?」
「明日は街の近隣を見てみたいと思うから案内頼めるかな?」
「駄目、私達がいないと何かあった時どうするの?」
「クリスの心配は分かるけど、大丈夫だよねキャロル」
「はい、お任せ下さい」
「貴方1人でアトムを守れるの?」
キャロルは自信に満ちた顔をしている。
「2人共気が付かなかったのか?」
「ん?」
「何を?」
「影から海軍が護衛してくれてたのさ、そうだよねキャロル」
「お気付きでしたか、流石ですね」
「そう言う訳だから2人は仕事に励んで下さいね」
アートは2人に向いニコリと微笑んだ。
俺としては街の周辺調査は大事な事だ、何故なら街に貧民がいなくても外で集落を作ってる可能性があるからだ。
それが済んだら国内船に乗って1周して見たいのだが、流石に難しいかな・・・?
「キャロル、お風呂に入らせて頂きます」
「かしこまりました」
俺は今日もキャロルに番人をお願いして風呂に入る事を決めた。
「アトム様、お背中流しましょうか?」
「え?」
「聞こえてましたでしょう・・・」
「あ、ああ遠慮しとこうかな」
「そうですか・・・」
キャロルは髪留めを触り不満そうな顔を見せた。
翌朝、アートは陽が昇る前に目覚め、身支度を整えると静かに部屋を出た。
屋敷を出た所で港へ向かい歩き始めた時である。
「アトム様、そちらは街の出口ではありません」
「キャロル」
「お早いですね、ご一緒させて頂きます」
「いらないと言ったら?」
「力ずくで屋敷にお連れします」
アートは溜息をつき首を振った、
「分かった、宜しく頼むよ」
「ありがとうございます」
アートは素直に方向を変え、街の出口にキャロルと向かう事にしたのである。
「流石に乗船は感化出来ませんよね、乗船は」
バレてる・・・
「所でキャロルは何歳なの?」
「18です」
「そっか、同じ位かと思ってたけど年上だったのだね」
「年上は嫌いですか?」
「そんな事は無いよ、キャロルは可愛いし好きだよ」
「えへへ・・・」
好きの誤解をするキャロルだった。
外へ通じる門を出ると街道沿いに草原が広がってる。
「少し塀に沿って歩いてみようかな」
「今日は護衛付いてませんので離れないで下さい」
「はーい」
数十分ほど歩くと草原から森林へ変わった所で足を止める。
「ここは何が取れるの?」
「リスからウサギと言った小動物からオオカミなどの危険な生き物などです」
「結構危なそうだね」
「猟師や冒険者には1人で入らない様周知してます」
「なるほどなるほど・・・それであれは?」
アートが指差した先には木にもたれモーフを掛けた少女が寝ていたのである。
「信じられない!」
キャロルが走り少女の元へと駆け寄った。
「おきなさーい、ちょっと貴方何処で寝てるのよ」
「えっと・・・おはようございます?」
「貴方街の住人じゃ無いわね?」
「ええ、10日ほど前に入国しました」
「滞在証見せて貰える?」
少女はカバンから1枚の紙を取り出した。
「リリス・フリーシア、滞在理由がアカデミー入学の為・・・ありがとう返すわ」
「何故こんな所で寝てたの?」
「入学式より早く着き過ぎて、数日で街に飽きて森に入ったら道に迷って塀が見えた所で力付きました」
ぎゅるるるる
リリスは慌ててお腹を押さえる。
「すみません」
「お腹空いてるのね、私はキャロルこの街の警備員よ疑ったお詫びに美味しいお店を紹介するわ」
「いってらっしゃい」
「ダメです、アトム様もご一緒して下さい」
「やっぱり・・・私はアトム、アカデミー入学予定なの宜しくね」
「こちらこそ宜しくお願いします」
他国の娘だけあって珍しい髪色に瞳、とても綺麗だな。
森への探索は次回にするしかないか・・・しかしリリス・フリーシアってどこかで聞いた事が有るような気がするのだけど?
「アトム様、早く行きましょう」
「はいはい」
俺は考えるのを止め急ぎ足で2人に追いついた。
中央広場に面した1軒の店に案内された。
「ここの炊き込みや魚介スープは絶品なのよ、出会いを記念して私が奢らせて貰いますね」
「はぁ・・・良いのでしょうか」
「気にしないで下さい、少しでも良い思い出に成れば嬉しいですからね」
「アトム様もご遠慮なく」
「ありがとう」
3人は店内に入ると窓際の席に腰掛けた。
「いらっしゃいませ、ア・ト・ム様」
「クリス!?」
「メニューでございます、本日は素敵なお友達とご一緒なのですね」
「あははは、そうなんですよね」
クリスの笑顔に悪意を感じる・・・。
「失礼ですが質問よろしいですか?」
「私にですか?」
リリスはアートに向かって頷いた。
「皆様から敬われてる様ですが、高貴なお方なのでしょうか?」
嘘は付きたくない本当の事を伝えるべきか?
「アトム様は王城に住まわれてる方で、今回は入学までの間、この街や周辺を見学に来られてるのですよ」
「そうでしたか、大変失礼しました」
「気になさらないで下さい」
キャロルのお陰で助かった。
「そうだ、春からは同じ学友に成るのですし、お互い敬語は止めて友達の様に話しましょう」
「・・・分かったわアトム」
「ありがとう、リリス」
2人は笑顔で握手した。
それをカウンターの中から見ていたクリスは、衝動的にグラスを床に投げつけ店長から怒られる事と成ったのである。
屋敷に帰るのが憂鬱だ、暫く姿かくそうかなぁ
当然そう言う訳にも行かず、クリスにエマまで加わって責め立てるのをキャロルが必死に仲裁に入ったのだった。
「誤解も解けた所で、今日からは別の部屋で寝る事にするよ、キャロル頼めるかな」
「かしこまりました」
俺はどうせ不貞腐れてるであろう2人の顔を見ない様に、キャロルの後に付いて大広間を出たのだった。
「料理はどれも美味しかったわ」
「どんだけ食べたんだよ・・・」
「食料品は魚介類は安いけど、それ以外は王都より少し高い感じね」
「それで?」
「総合的に見ると安定した需要と供給で回ってると思うわ」
「ありがとう、エマの方は?」
「こちらも問題無いわね、多少の格差は有るでしょうけど極端な貧困街なども無かったし、街全体も綺麗な方だと思った」
「ありがとう、明日からの話だけどクリスとエマには仕事をして貰いたい」
「何でも言って」
「分かったわ」
アートは少し間を置いて2人に伝えた。
「クリスは食堂、エマは宿屋でそれぞれ働く様に頼む」
「え? 仕事って仕事?」
「最初からそう言ったよ」
「宿屋とか無理かも・・・」
「これも大事な任務だから頼むね」
「アートはどうするの?」
「視察を続けようと思ってる」
クリスとエマの不機嫌な顔を無視して手を上げキャロルを呼んだ。
「お呼びでしょうか?」
「明日は街の近隣を見てみたいと思うから案内頼めるかな?」
「駄目、私達がいないと何かあった時どうするの?」
「クリスの心配は分かるけど、大丈夫だよねキャロル」
「はい、お任せ下さい」
「貴方1人でアトムを守れるの?」
キャロルは自信に満ちた顔をしている。
「2人共気が付かなかったのか?」
「ん?」
「何を?」
「影から海軍が護衛してくれてたのさ、そうだよねキャロル」
「お気付きでしたか、流石ですね」
「そう言う訳だから2人は仕事に励んで下さいね」
アートは2人に向いニコリと微笑んだ。
俺としては街の周辺調査は大事な事だ、何故なら街に貧民がいなくても外で集落を作ってる可能性があるからだ。
それが済んだら国内船に乗って1周して見たいのだが、流石に難しいかな・・・?
「キャロル、お風呂に入らせて頂きます」
「かしこまりました」
俺は今日もキャロルに番人をお願いして風呂に入る事を決めた。
「アトム様、お背中流しましょうか?」
「え?」
「聞こえてましたでしょう・・・」
「あ、ああ遠慮しとこうかな」
「そうですか・・・」
キャロルは髪留めを触り不満そうな顔を見せた。
翌朝、アートは陽が昇る前に目覚め、身支度を整えると静かに部屋を出た。
屋敷を出た所で港へ向かい歩き始めた時である。
「アトム様、そちらは街の出口ではありません」
「キャロル」
「お早いですね、ご一緒させて頂きます」
「いらないと言ったら?」
「力ずくで屋敷にお連れします」
アートは溜息をつき首を振った、
「分かった、宜しく頼むよ」
「ありがとうございます」
アートは素直に方向を変え、街の出口にキャロルと向かう事にしたのである。
「流石に乗船は感化出来ませんよね、乗船は」
バレてる・・・
「所でキャロルは何歳なの?」
「18です」
「そっか、同じ位かと思ってたけど年上だったのだね」
「年上は嫌いですか?」
「そんな事は無いよ、キャロルは可愛いし好きだよ」
「えへへ・・・」
好きの誤解をするキャロルだった。
外へ通じる門を出ると街道沿いに草原が広がってる。
「少し塀に沿って歩いてみようかな」
「今日は護衛付いてませんので離れないで下さい」
「はーい」
数十分ほど歩くと草原から森林へ変わった所で足を止める。
「ここは何が取れるの?」
「リスからウサギと言った小動物からオオカミなどの危険な生き物などです」
「結構危なそうだね」
「猟師や冒険者には1人で入らない様周知してます」
「なるほどなるほど・・・それであれは?」
アートが指差した先には木にもたれモーフを掛けた少女が寝ていたのである。
「信じられない!」
キャロルが走り少女の元へと駆け寄った。
「おきなさーい、ちょっと貴方何処で寝てるのよ」
「えっと・・・おはようございます?」
「貴方街の住人じゃ無いわね?」
「ええ、10日ほど前に入国しました」
「滞在証見せて貰える?」
少女はカバンから1枚の紙を取り出した。
「リリス・フリーシア、滞在理由がアカデミー入学の為・・・ありがとう返すわ」
「何故こんな所で寝てたの?」
「入学式より早く着き過ぎて、数日で街に飽きて森に入ったら道に迷って塀が見えた所で力付きました」
ぎゅるるるる
リリスは慌ててお腹を押さえる。
「すみません」
「お腹空いてるのね、私はキャロルこの街の警備員よ疑ったお詫びに美味しいお店を紹介するわ」
「いってらっしゃい」
「ダメです、アトム様もご一緒して下さい」
「やっぱり・・・私はアトム、アカデミー入学予定なの宜しくね」
「こちらこそ宜しくお願いします」
他国の娘だけあって珍しい髪色に瞳、とても綺麗だな。
森への探索は次回にするしかないか・・・しかしリリス・フリーシアってどこかで聞いた事が有るような気がするのだけど?
「アトム様、早く行きましょう」
「はいはい」
俺は考えるのを止め急ぎ足で2人に追いついた。
中央広場に面した1軒の店に案内された。
「ここの炊き込みや魚介スープは絶品なのよ、出会いを記念して私が奢らせて貰いますね」
「はぁ・・・良いのでしょうか」
「気にしないで下さい、少しでも良い思い出に成れば嬉しいですからね」
「アトム様もご遠慮なく」
「ありがとう」
3人は店内に入ると窓際の席に腰掛けた。
「いらっしゃいませ、ア・ト・ム様」
「クリス!?」
「メニューでございます、本日は素敵なお友達とご一緒なのですね」
「あははは、そうなんですよね」
クリスの笑顔に悪意を感じる・・・。
「失礼ですが質問よろしいですか?」
「私にですか?」
リリスはアートに向かって頷いた。
「皆様から敬われてる様ですが、高貴なお方なのでしょうか?」
嘘は付きたくない本当の事を伝えるべきか?
「アトム様は王城に住まわれてる方で、今回は入学までの間、この街や周辺を見学に来られてるのですよ」
「そうでしたか、大変失礼しました」
「気になさらないで下さい」
キャロルのお陰で助かった。
「そうだ、春からは同じ学友に成るのですし、お互い敬語は止めて友達の様に話しましょう」
「・・・分かったわアトム」
「ありがとう、リリス」
2人は笑顔で握手した。
それをカウンターの中から見ていたクリスは、衝動的にグラスを床に投げつけ店長から怒られる事と成ったのである。
屋敷に帰るのが憂鬱だ、暫く姿かくそうかなぁ
当然そう言う訳にも行かず、クリスにエマまで加わって責め立てるのをキャロルが必死に仲裁に入ったのだった。
「誤解も解けた所で、今日からは別の部屋で寝る事にするよ、キャロル頼めるかな」
「かしこまりました」
俺はどうせ不貞腐れてるであろう2人の顔を見ない様に、キャロルの後に付いて大広間を出たのだった。
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