唯一の男が女人国家を男女共存国家へと変えて行く物語

マナピナ

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新たな仲間 Ⅳ

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 ルナレアに戻った翌日、トレシアとリリスの警護を2人に任せアートはキャロルと共に海軍大将である、キャサリンの元へと来ていたのである。

「アート殿下、随分と大変な視察だったようですね」

「あははは、迷惑を掛けて申し訳無いです」

「いえいえ構いませんよ、殿下には陛下から小言が有りそうですけどね」

 やはり怒られるのかな・・・別に揉め事を起こしたかった訳では無かったのに。

「話は変わるけど鉄甲船の件、良いアイデアが浮かんだのだけど試してみない?」

「本当ですか、有り難いです」

アートはエマと練った案をキャサリンに話し、縮小した模型を作って貰う約束をして施設を後にした。


 それから10日、帝国からの船が到着する日が訪れた。

「アートはいよいよ男子解禁だね」

「どれだけの人が受け入れてくれるか心配だけど頑張るよ」

「貴方なら大丈夫、私とクリスも着いているしね」

「そうだな、2人共行こうか」

アートはクリスとエマを従え港へと向かった。

 検問所前に到着するとキャロルが率いる海軍の特殊部隊が、集まった人々の整理に追われている様であった。

「待っていました、港の方へ向かいましょう」

「ありがとう、所でリリスとトレシアの警備はどうなってる?」

「大屋敷の人数を増やしてますし、一時も離れず1人は付きっきりなので安心して下さい」

キャロルに着いて検問所を超えると港の先端まで案内された。


 待つ事数十分、帝国機を掲げた大型商船が港に姿を表した。

「来たな」

「来たね」

「来たわ」

珍しく3人揃って緊張している。
それも当然、王城を出る際に帝国の姫殿下には無礼が無い様にと散々言われて出て来たのである。
アートは純粋に留学の為に来たと思ってる様だが、側近の2人は彼が目的で来国した事を感じ取っていたからである。

「エマ、凄く綺麗な人だったらどうずる?」

「・・・容姿なんて関係ない・・・」

「そうよね」

「そうで無ければ既にクリスを排除してるわよ」

「何・・・?」

「なんでも無いわ」

「2人共船が接岸するよ」

 暫くすると荷降ろしが始まり、同時に護衛が前後を固め侍女を連れた見るからに高貴な少女が下船して来た。
少女はアートの軍服を見ると笑顔で歩み寄って来る。

「始めまして、私はサラスタ帝国ベリック・サラスタ6世の娘、ティナ・サラスタです」

「長旅お疲れでしょう、ゾネス皇太子アート・ユーエンです。
ティナ殿下をお迎え出来て光栄でございます」

「こちらこそ皇太子みずからの歓迎嬉しく思います」

一通りの挨拶を済ませ大屋敷へ案内しようと言う所でアートを引き止める者がいた。

「君が皇国の王子様だね」

「そうですが・・・貴方は?」

「これは失礼した、コウジ・ヒイラギ帝国の客人と言う事に成っている者」

「それでは貴方が・・・」

「それ以上は言わない様に、君は既に知っている様だね」

アートは周りに気付かれない様頷いた。

「君は僕の血を受け付いてると思う、そこで何時か会える時にと思って作っていた物があるので受け取って欲しい」

「はい」

勇者コウジは懐から魔晶石のペンダントを取り出した。

「これは私の知る全ての知識を植え込んだ物、困った時にペンダントを握り願うと知識を与えてくれる事だろう」

「ありがとうございます」

「気にするな、今まで父親らしい事をしたことが無かったからな、何れ世界に出るんだ良いな」

「はい!」

コウジは背中を向けて最後の問いを掛けてきた。

「君の母、セリアは元気か?」

「元気に公務を熟してます」

「宜しく伝えてくれ」

「分かりました」

「では、また会おう」

そう言い残しコウジは船へと戻って行った。


 食事後、大屋敷の広間では改めて自己紹介が始められていた。

リリスとトレシアの紹介が終わった所で、キャロルが新しいお茶を持って来た。

「私はアート様一行がお帰りに成るまで身の回りをお世話してます。
キャロルと申します、ティナ殿下も何かございましたら遠慮なく申し付け下さい」

「ありがとう、私の付き人であるミーヤも出来る事はお手伝いさせて頂きます、良いわねミーヤ」

「かしこまりました、ミーヤと申します宜しくお願いします」

「アート様は私達と一緒に王都へ戻られるのですか?」

「ティナ、様はいらないよ同じ生徒として過ごす事と成るんだからね」

「ありがとう」

「明後日にはアカデミーに向けて出発する予定かな」

「兄様眠いです・・・」

アートの横に座ってたトレシアが目をこすりながら訴えた。

「そんな時間か、それじゃ皆さんお先におやすみなさい」

アートに促されてトレシアも頭を下げる。

 2人が消えた広間ではティナが不思議そうにしていた。

「アートはシスコンなの?」

「それねぇ・・・血の繋がりは無いのだけど本当の妹みたいに可愛がってるのよね」

「クリス!」

「あああ、今のは聞かなかった事でお願い」

「分かったわ」

ティナは何かを察したのか意味深な笑顔で答えたのだった。

 トレシアを寝かすとアートは机に向かい、首から下げてる魔晶石を握りしめ瞳を閉じた。
頭の中には今抱えてる問題に対しての答えと成りそうな映像が思い浮かんで来る。

 これが勇者のいた世界・・・初めて見るものばかりだが何の為に作られた物かが分かる。
どれも大量に生産するのは難しそうだ。


 翌朝ペンダントを握ったまま机に伏せて眠っていたアートはトレシアによって起こされた。

「おはようトレシア」

「兄様、おはよう」
 
「今日は随分と早いんだね」

「兄様にお話が有るのですけど・・・」

「話?」

「昨日来た方々なんですけど、トレシアは少し怖く感じるのです」

「怖く・・・?」

「何となくなんですけど・・・ごめんなさい」

「ありがとう、トレシアの忠告覚えとくよ」

「はい!」

 キャロルから魔人族は第6感と言うものが優れて発達してると聞いた覚えがある。
イマイチ意味が通じないけど心の片隅には置いておこう。

「食事に行こうか」

「はいです」

 2人が食堂に入るとキャロルがミーヤに仕事を教えてる所だった。

「おはよう、少し早かったみたいだけど良いかな?」

「大丈夫ですよ」

席に着くと直ぐにミーヤが食事を運んでくる。

「お待たせしました」

「ありがとう」

「トレシアちゃんも沢山食べてね」

「はい・・・」

トレシアはアートが食べ始めるのを見てからスプーンを手にしたのだった。

 全員が食卓に揃うとキャロルから1日の予定が発表される。

「本日は両殿下のお披露目がございます、大変混雑するのが予想されるため他の方々は外出をお控え下さい。
なお明日は朝食後、馬車3台でアカデミーに向かって頂く事と成ってます」

「キャロル世話に成ったね」

「いえいえ仕事ですから気になさらないで下さい」

 キャロルには散々世話に成ったし、城へ戻ったら何か贈り物でも探してみるかな。


 数時間後、キャサリンに呼び出されたキャロルは新たな司令を受けていた。

「私に務まるのでしょうか?」

「陛下からの頼みです、頑張りなさい」

「分かりました、この任務責任を持って拝命します」

アートのお披露目は問題なく終わり1日が終わって行った。



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