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アカデミー ⅠーⅠ
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馬車の荷物を下ろしてると建物から1人の女性が歩み寄って来た。
「皆さんお疲れ様でした」
「やぁキャロル・・・キャロル?」
「アート数日ぶりです」
「何故ここに?」
「陛下の命で寮長を拝命しましたのでワイバーンを使って来ました、後トレシアの面倒も見るようにと言われてます」
確かにアカデミーに通ってる日中はトレシアが1人に成ってしまうからな。
「陛下から伝言も授かってます」
「母上から?」
「始業式までに謁見するようにだそうです」
「了解」
「皆さんをご案内するので失礼しますね」
キャロルは浮かれた足取りで皆の案内を始めたのだった。
所で俺の部屋は何処だろうか・・・。
「兄様、こっちこっち」
「今行くよ」
「まったまった、トレシアは私と同じ部屋なのだからダメでしょ」
「兄様と3人は?」
「うーん・・・ありかな・・・?」
「だめだろう!」
「あはは、アートは1階の奥です」
入り口にあった掲示板では寮生の部屋って2階からだったはずだけど・・・まぁ良いか。
部屋に入ったアートは予想外の広さに満足そうな笑みを浮かべたのだった。
ここから新たな生活の始まりだ、ペンダントのお陰でやりたい事も沢山見つかった。
有意義な4年間を過ごすとしようではないか。
「兄様の部屋は広いのですね」
「トレシア丁度良い所に来たね」
「うん?」
「トレシアはまだアカデミーに通う事が出来ないのだけど・・・」
「大丈夫、キャロルに教えて貰ってしっかりと花嫁修行するからね」
「あ、ああ」
キャロルの奴はトレシアに何を教え込んでるのやら・・・。
部屋の整理を終えたアートは日が暮れてるのに気付き慌てて食堂へと向かった。
「今日は誰も呼びに来なかったな」
廊下から広間に出ようと言う所でトレシアが仁王立ちしている。
これが誰も近付けなかった理由であった。
「トレシアは何をしてるの?」
「夕食の時間に成ったら直ぐ呼びに行けるよう準備してたんだ」
「そうか・・・と言う事はまだ夕食じゃ無いの?」
「今混んでて危険!」
何がだ・・・?
「でもお腹空いたんだよね」
トレシアは少し考えた挙げ句にアートの手を持ち、食堂の片隅に座らせた。
「男?」
「男よ!」
「私、母から恋愛に付いて色々聞いて来たんだ」
「あの方がアート様なのね」
ヒソヒソと聞こえて来る言葉にトレシアの機嫌が悪化して行く。
「トレシアは本当にアートの事が好きなのね」
「はい、兄様は将来の旦那様ですからね」
「それならもっともっと心の大きな女性に成らないと行けないね」
「・・・」
「アートは国の王様に成る人なのだから当然の事よね」
「キャロル、私頑張るよ!」
「よしよし」
キャロルも大分トレシアの扱い方が分かって来た様である。
周りから視線の集まる場所へ動じる事無く2人の生徒が近づいて行く。
「アート」
「ティナ、ミーヤ、2人も今から夕食?」
「一緒して良いかしら?」
「どうぞ」
2人はアートの前に座ると普通に食事を始めた。
「それにしても凄い注目ですね」
「珍しがられてるのも今だけだよ、何れティナの方が注目浴びる様に成るんじゃない?」
この言葉にミーヤの表情が少し柔らかく成った。
「私は注目なんてどうでも良いんだけどね」
「ティナ様はアート殿下に見て貰えたれたら、それで良いんですよね」
「そうね」
こう言うストーレートなのは中々成れないなぁ・・・。
「俺は終わったから先に行くよ」
アートが席を立ち食堂を後にするとミーヤが呟いた。
「手強そうですね」
「女性慣れしてない方が落とした後安心よ」
「なるほど・・・頑張って下さい」
入学式前日、寮では新入生の歓迎式が行われていた。
「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます」
歓迎会は新生徒会が取り仕切る感じと成っている。
「私は生徒会長のヘレン・エリーナと申します」
「エマ、彼女は知ってる?」
「確かエリーナ子爵家の次女だったと思います」
ヘレンか・・・1・2歳違うだけで大人っぽさが随分と変わるものだな。
寮のルールを話してる彼女は、俺の周りにいる娘とは遥かに違う雰囲気を醸し出している。
綺麗に手入れされた背中まで伸びる髪、一見冷ややかそうに感じる切れ長の目に意思をしっかりと持った瞳、貴族令嬢らしい振る舞い、人の上に立つ人間としては自ずと完璧に見える。
「アート・・・アート・ユーエン」
「は、はい」
「今季新入生枠の書紀には貴方に入って頂きます」
「はい」
「男性であるからと言って特別扱いはしませんからね殿下」
そう言ったヘレンは少し微笑んでいた。
「了解しました」
笑顔が可愛いな・・・。
「次にクラスの発表ですが、紙を配りますので自分のクラスを各自探して下さい」
あれれ・・・他の役員達の紹介を聞き逃したかな?
それほどヘレンに見とれていたと言う事か・・・。
紙が1枚手元に回って来たアートは自分の名前を探し始めた。
俺のクラスはクラスは何処かな?
アートは上から順に目を通すと1番下にある特級に名前を見つけた。
「クラスの仲間は、クリス、エマ、リリス、ティナ、ミーヤ」
久しく成った娘ばかりだな、上の意図が働いてるのだろう。
会場は当然落胆の溜息が多く溢れたのだが、アートが意味を知る事は無かったのである。
歓迎会も終了し新入生達が部屋へ帰って行った後、残った生徒会は後片付けをしていた。
「会長、あの子がアート殿下ですか、男に国など治める事など出来るのですかね?」
「予行練習の意味で生徒会に入ったのですから、しっかりと勉強して貰いましょう」
「しかし、人気はありますね」
「今は地位と物珍しさでしょうけど、もし素質があるなら私が・・・」
「会長どうしました?」
「何でも無いわ、早く終わらせましょう」
寮生活で助かった事がある。
それはトイレとシャワー室が部屋に備え付けてあると言う事だ。
俺だけの特別な仕様だが不公平だと思っては行けない、何故ならただでさえ肩身が狭いのに落ち着いて1人になれる場所が有っても良いと思うからだ。
明日は入学式、それが終われば校舎の見学。
俺の探してるような研究会が見つかるだろうか・・・無ければ立ち上げなければ行けないのだけど、立ち上げには最低4人は必要だったはず。
クリスとエマを巻き込んで3人、後はリリスにでもお願いをしてみるか?
しかし、他国の者を入れても良いものか悩む所だな。
「何にせよ楽しみだ」
アートはシャワーを浴び終えると早めに就寝したのであった。
アートの部屋へ通じる廊下の手前には寮長であるキャロルとトレシアの相部屋がある。
「貴方達で3組目ですよ!」
「兄様に何の用ですか?」
キャロルと一緒に成ってトレシアまでもが、アートの部屋へ遊びに来た生徒達を正座させ厳しい表情で叱っていた。
「暫くは無理そうね」
「そうね」
階段の踊り場から一部始終を見ていたクリスとエマは仕方が無いと行った感じで首を振るのだった。
「添い寝も出来ないなんてつまらない生活が始まったものだわ」
「私はクリスと違って授業は楽しみ」
「私は脳筋だから授業なんて関係無いのよ」
「自分で言っちゃうんだ・・・ふふふ」
諦めた2人は静かに部屋へと帰って行った。
「皆さんお疲れ様でした」
「やぁキャロル・・・キャロル?」
「アート数日ぶりです」
「何故ここに?」
「陛下の命で寮長を拝命しましたのでワイバーンを使って来ました、後トレシアの面倒も見るようにと言われてます」
確かにアカデミーに通ってる日中はトレシアが1人に成ってしまうからな。
「陛下から伝言も授かってます」
「母上から?」
「始業式までに謁見するようにだそうです」
「了解」
「皆さんをご案内するので失礼しますね」
キャロルは浮かれた足取りで皆の案内を始めたのだった。
所で俺の部屋は何処だろうか・・・。
「兄様、こっちこっち」
「今行くよ」
「まったまった、トレシアは私と同じ部屋なのだからダメでしょ」
「兄様と3人は?」
「うーん・・・ありかな・・・?」
「だめだろう!」
「あはは、アートは1階の奥です」
入り口にあった掲示板では寮生の部屋って2階からだったはずだけど・・・まぁ良いか。
部屋に入ったアートは予想外の広さに満足そうな笑みを浮かべたのだった。
ここから新たな生活の始まりだ、ペンダントのお陰でやりたい事も沢山見つかった。
有意義な4年間を過ごすとしようではないか。
「兄様の部屋は広いのですね」
「トレシア丁度良い所に来たね」
「うん?」
「トレシアはまだアカデミーに通う事が出来ないのだけど・・・」
「大丈夫、キャロルに教えて貰ってしっかりと花嫁修行するからね」
「あ、ああ」
キャロルの奴はトレシアに何を教え込んでるのやら・・・。
部屋の整理を終えたアートは日が暮れてるのに気付き慌てて食堂へと向かった。
「今日は誰も呼びに来なかったな」
廊下から広間に出ようと言う所でトレシアが仁王立ちしている。
これが誰も近付けなかった理由であった。
「トレシアは何をしてるの?」
「夕食の時間に成ったら直ぐ呼びに行けるよう準備してたんだ」
「そうか・・・と言う事はまだ夕食じゃ無いの?」
「今混んでて危険!」
何がだ・・・?
「でもお腹空いたんだよね」
トレシアは少し考えた挙げ句にアートの手を持ち、食堂の片隅に座らせた。
「男?」
「男よ!」
「私、母から恋愛に付いて色々聞いて来たんだ」
「あの方がアート様なのね」
ヒソヒソと聞こえて来る言葉にトレシアの機嫌が悪化して行く。
「トレシアは本当にアートの事が好きなのね」
「はい、兄様は将来の旦那様ですからね」
「それならもっともっと心の大きな女性に成らないと行けないね」
「・・・」
「アートは国の王様に成る人なのだから当然の事よね」
「キャロル、私頑張るよ!」
「よしよし」
キャロルも大分トレシアの扱い方が分かって来た様である。
周りから視線の集まる場所へ動じる事無く2人の生徒が近づいて行く。
「アート」
「ティナ、ミーヤ、2人も今から夕食?」
「一緒して良いかしら?」
「どうぞ」
2人はアートの前に座ると普通に食事を始めた。
「それにしても凄い注目ですね」
「珍しがられてるのも今だけだよ、何れティナの方が注目浴びる様に成るんじゃない?」
この言葉にミーヤの表情が少し柔らかく成った。
「私は注目なんてどうでも良いんだけどね」
「ティナ様はアート殿下に見て貰えたれたら、それで良いんですよね」
「そうね」
こう言うストーレートなのは中々成れないなぁ・・・。
「俺は終わったから先に行くよ」
アートが席を立ち食堂を後にするとミーヤが呟いた。
「手強そうですね」
「女性慣れしてない方が落とした後安心よ」
「なるほど・・・頑張って下さい」
入学式前日、寮では新入生の歓迎式が行われていた。
「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます」
歓迎会は新生徒会が取り仕切る感じと成っている。
「私は生徒会長のヘレン・エリーナと申します」
「エマ、彼女は知ってる?」
「確かエリーナ子爵家の次女だったと思います」
ヘレンか・・・1・2歳違うだけで大人っぽさが随分と変わるものだな。
寮のルールを話してる彼女は、俺の周りにいる娘とは遥かに違う雰囲気を醸し出している。
綺麗に手入れされた背中まで伸びる髪、一見冷ややかそうに感じる切れ長の目に意思をしっかりと持った瞳、貴族令嬢らしい振る舞い、人の上に立つ人間としては自ずと完璧に見える。
「アート・・・アート・ユーエン」
「は、はい」
「今季新入生枠の書紀には貴方に入って頂きます」
「はい」
「男性であるからと言って特別扱いはしませんからね殿下」
そう言ったヘレンは少し微笑んでいた。
「了解しました」
笑顔が可愛いな・・・。
「次にクラスの発表ですが、紙を配りますので自分のクラスを各自探して下さい」
あれれ・・・他の役員達の紹介を聞き逃したかな?
それほどヘレンに見とれていたと言う事か・・・。
紙が1枚手元に回って来たアートは自分の名前を探し始めた。
俺のクラスはクラスは何処かな?
アートは上から順に目を通すと1番下にある特級に名前を見つけた。
「クラスの仲間は、クリス、エマ、リリス、ティナ、ミーヤ」
久しく成った娘ばかりだな、上の意図が働いてるのだろう。
会場は当然落胆の溜息が多く溢れたのだが、アートが意味を知る事は無かったのである。
歓迎会も終了し新入生達が部屋へ帰って行った後、残った生徒会は後片付けをしていた。
「会長、あの子がアート殿下ですか、男に国など治める事など出来るのですかね?」
「予行練習の意味で生徒会に入ったのですから、しっかりと勉強して貰いましょう」
「しかし、人気はありますね」
「今は地位と物珍しさでしょうけど、もし素質があるなら私が・・・」
「会長どうしました?」
「何でも無いわ、早く終わらせましょう」
寮生活で助かった事がある。
それはトイレとシャワー室が部屋に備え付けてあると言う事だ。
俺だけの特別な仕様だが不公平だと思っては行けない、何故ならただでさえ肩身が狭いのに落ち着いて1人になれる場所が有っても良いと思うからだ。
明日は入学式、それが終われば校舎の見学。
俺の探してるような研究会が見つかるだろうか・・・無ければ立ち上げなければ行けないのだけど、立ち上げには最低4人は必要だったはず。
クリスとエマを巻き込んで3人、後はリリスにでもお願いをしてみるか?
しかし、他国の者を入れても良いものか悩む所だな。
「何にせよ楽しみだ」
アートはシャワーを浴び終えると早めに就寝したのであった。
アートの部屋へ通じる廊下の手前には寮長であるキャロルとトレシアの相部屋がある。
「貴方達で3組目ですよ!」
「兄様に何の用ですか?」
キャロルと一緒に成ってトレシアまでもが、アートの部屋へ遊びに来た生徒達を正座させ厳しい表情で叱っていた。
「暫くは無理そうね」
「そうね」
階段の踊り場から一部始終を見ていたクリスとエマは仕方が無いと行った感じで首を振るのだった。
「添い寝も出来ないなんてつまらない生活が始まったものだわ」
「私はクリスと違って授業は楽しみ」
「私は脳筋だから授業なんて関係無いのよ」
「自分で言っちゃうんだ・・・ふふふ」
諦めた2人は静かに部屋へと帰って行った。
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