唯一の男が女人国家を男女共存国家へと変えて行く物語

マナピナ

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アカデミー ⅠーⅤ

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 皇国アカデミーの発明研究室では6人の生徒が無言のまま考え込んでいた。

 誰も意見は無い様だな・・・。

「それでは次の制作物も俺が提案させて貰うね」

アートへと注目が浴びる。

「湯の出る魔晶石を作ろうと思う」

「湯?」

アート以外の全員が腑に落ちない顔を見せる。

「特に風呂で使うのを目的にしたいんだ、俺の部屋にはシャワーが付いているけど水しか出ないから、湯が出たら良いなと思ってね」

「なるほど・・・」

クリスが素直に納得する。

「勿論女子の浴場にも有ったら便利だと思うんだよね」

「確かに便利」

エマが賛同した所でアートは紙を1枚取り出した。

「それでは図面を書こうかね」

 大まかな仕様は考えてある、後は皆で意見を出し合いより良い物へと進化させるだけだ。

「水の魔力と火の魔力を植え込まないと行けないわね」

「リリスの言う通りだね、割合が難しいから試作を重ねる事に成ると思う」

 流石に生活向上の物を海軍に依頼するのはまずいかな。
母上に専用の工房を貰えないか頼んでみよう。

「今日の放課後に誰か城まで一緒に付き合って来れないかな?」

クリスとエマを見るも首を振られた。

「1人で行くか・・・」

「お城って、陛下と会うんでしょ?」

「そうだよ」

「帝国の姫としては挨拶しときたいけど、公式な席がまだだからね」

「それなら私が一緒しましょう」

「ありがとうミーヤ」

 2時間ほどしてミーヤ以外のメンバーに図面を任せ、アートは城へと向かったのだった。


 謁見の間では皇女セリア、騎士団長ナタリアと魔法団長ミーナに迎えられた。

「母上元気そうで何よりです」

「アートも変わり無い様で安心しました、して共に控えてる娘が貴方の大切な娘ですか?」

「彼女は帝国の姫殿下の護衛で留学に来られた、暗殺者のミーヤと言う者でございます」

「セリア陛下、初めてお目に掛かりますミーヤです、ティナ姫殿下の護衛で来ましたがアート皇太子殿下の事も全力でお守りさせて頂きたく思ってます」

「頼みましたよ」

「はい」

「とても良い娘ですね、一層の事24時間守って頂いたらどうですか?」

「母上!」

 ミーヤはティナの護衛だ、それを放棄しろなんて勝手に言える物では無いと思う。
現にミーヤだって顔を真赤にして怒ってるではないか・・・。

「アート殿下さえ・・・」

「悪かった、今する話では無いわね」

「シュン・・・」

「そうでした、今日はお願いが有って参りました」

 危うく本題を忘れる所だった。

「私がアカデミーで開いてる研究室の工房を身近な所で開設して頂きたいのです」

「良いでしょう」

 随分とあっさり許可が出たな。

「但し条件があります」

「条件ですか?」

「開発した物は全てこちらに報告する事、権利は全て国の物とし国民への発表や輸出に関しても全て任せる事で良いなら許可しましょう」

「仰せのままにお任せ致します」

「よろしい、数日で城内に作らせましょう」

 城内なのか・・・まぁ良いかな。

「話は済んだと言う事で宜しいですか?」

騎士団長のナタリアが1歩前へ出た。

「ナタリア、何か有るのか?」

「クリスとエマは全く姿を見せないのですが、今日も大事な護衛の任を他国の方に任せるとは情け無く思ってます」

「両団長殿、クリス殿とエマ殿はしっかり努めを果たされてます、今日もアート殿下の命により他の事に奔走してるしだいです」

「そうですか、ミーヤ殿ありがとうございます」

「これからも2人をよろしくお願いしますね」

「心得てます」

 ミーヤは人の心を掴むのが上手いのかな?

「本当に良く出来た娘だな、アートよ妃にはこの位の器量が無いといけないよな?」

「覚えておきます」

 アートは夕食の誘いを柔らかく断り城を後にし寮へと戻る事にした。

「ミーヤ悪かったね、母上は早く婚約者を決めろと煩くて困ったものだよ」

「いいえ・・・嫌な気分じゃ無いですし・・・むしろ・・・」

「ん?」

「何でも無いです!」

「そう・・・」

 その後は寮までミーヤが口を開く事は無かった。


 翌日の放課後はリリアを連れて生徒会室へとやって来た。

「こんにちはー」

「アートは毎日別の娘を連れ歩いて大変ですね」

「皆良い娘で助かってますよ、生徒会長」

「今日の共はリリスさんですか」

「こんにちは、生徒会長」

 挨拶を済ませたリリスはアートの隣に腰を下ろした。

「今日は前学期の目玉とも言える、魔法競技会について話合います」

「概要は副会長の私から話します」

 魔法競技会、年に1度前半期の終盤に行われるアカデミー行事である。
参加は希望される学生全てと大人の部として学生の大会とは別にもあります。
優勝者には生徒会が用意した景品と、卒業後国家で運営する要職に着く権利が約束される。
大人の部では国が用意した賞金が出ます、後名誉ですね。

「・・・こんな所でしょうか」

「そこで今回の景品なのですが、今年の生徒会には予算がありません」

「え?」

「え? ってアートの部屋を作るとかで予算を使ってしまったのよ」

会計のターナが乗り出してアートを指す。

「それは・・・すみません」

「仕方が無いので責任を取って貰い、景品はアートと言う事でお願いしましょう」

「おれが? 何を?」

 凄く不安だ・・・。

「そうね、1日デートする権利なんてどうかしら?」

「そんな・・・」

「参加します!」

「リリス?」

「参加希望1名と・・・定員オーバーの時は予選を行いますからね」

「はい」

 何だか面倒な事に成りそうだな。

その時のアートは、リリスのやる気に満ち溢れた瞳に気付く事は無かったのである。

「競技の内容は分かっているのですか?」

「それは教師が決める事なので発表待ちな状態です」

「そうですか」

「所でアートの研究室は順調ですか?」

「今も生活が向上するための物を開発中です」

「それは楽しみですね、実は生徒会からも是非発明を考えて貰いたい案件があるのです」

 生徒会長の話では魔晶石を使い学園に丈夫な結界を張れないかと言う物だった。

「難しい題材ですね」

「直ぐにとは言いません、何れ国王に成ってからでも構わないので覚えておいて下さい」

「分かりました」

「本日は以上です」

 リリスは何やら会長と話しがあると言うので、俺は1人研究室へと向かうのであった。


「さて、お話とは?」

「会長は何を考えてらっしゃるのですか?」

「何をとは?」

「アートが景品など危険すぎますよね、余程の事が無い限りリスクが大きいと思えるのですが?」

「貴方は頭が良いのですね」

「そらさないで下さい」

ヘレンは諦めた様でリリスに事情を聞かせ始めた。

 その内容とは風紀委員から伝えられた話によるものだが、皇太子反対派が魔法競技会に刺客を送り込むらしいと言う内容であった。

「景品にでもして大人しくしてて貰わないと警護が難しいですからね」

「なるほど・・・」

「この事は他言無用でお願いしますね」

「分かりました、私の出場は取り消しといて下さい」

そう言い残しリリスは生徒会室を出て行った。

「あの娘はかなり入れ込んでるわね」

「会長、お言葉が下品ですよ」

「そうですわね、新しい情報は秘密裏にしなさい」

「かしこまりました」

リリスが研究室へ入った時には皆帰り支度を終えていたのだった。




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