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授業開始! 悪役学園の日常
第9話 授業開始! 悪役学園の日常 3
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「ですから! 私は男です! 何度も言っているでしょう!」
「分かったから! でも! それでも教室で着替えるなんてダメ! 周りに見られちゃうでしょ!」
「何を言っているんですか! 男が女子更衣室で着替える事の方が問題です!」
「優ちゃん! もっと自分を大事にしないと駄目だよ」
「意味が分かりません!」
三年ぶりくらいのこのやり取りです。
今から体育の授業ですので、着替えようと体操服を取り出したところでククリさんに取り上げられてしまいました。
以前、人間界の学校でも最初のうちはこんなやり取りをした記憶があります。
「私の身分証明書も見せたでしょう! それでいて何故理解して頂けないのですか!」
「だって身分証なんていくらでも偽造可能じゃない? 優ちゃんのだって人間界での生活擬装用の越後屋印の夜間専門学校の身分証でしょ! 信用出来る訳ないじゃない?」
「優ちゃん、いくらなんでも役に徹しすぎよ! そんな危ない事言ってはダメ!」
「危なくないです! むしろ私が女子更衣室で着替える事の方がよっぽど危ないです! 私は男なんですから!」
「とにかくダメ! 戦闘員! 優ちゃんを捕まえて!」
「キキキ! (わかりました!)」
「キキ! (畏まりました!」
私の両手を女性の戦闘員が捕まえてきます。
戦闘員とはいえ、女性に手をあげたくはないですがここは譲る訳にはいきません。
「佐々木よ、頼む。オレ達も女子の前で着替えるのは抵抗が……特にオレは暴走しちまう」
「智君まで!? というか暴走!? こうなったらここで脱いで証明するしか」
「させる訳ないでしょうがっ!」
「ええい! 離してくださいイリアスさん! 今脱ぎます! すぐに脱いで証明するしかないんです!」
「キキ! (ロリの着替え!)」
「キキ! (ロリの脱衣!)」
「変態は黙ってなさい!」
「「キキ! (すいません!)」」
がっちりホールドされた上に、体操服まで取られてしまっています。こうなったらダークネスマッスルに変身するしか……。
「こらこら、君たち。何を騒いでいるのですか?」
「鬼蜘蛛先生!」
「廊下まで騒ぎ声が響いていますよ? どういう事ですか」
「先生! 優ちゃんがここで着替えるって言いだしたのよ!」
「え?」
「先生! 私はここで着替えるべきですよね! 私男ですから! 先生ならご存知ですよね!」
「え、あ……その。佐々木くんの名前は男性欄に記載されていますが」
「ほら!」
「でも、確かにそうですね。佐々木くんがここで男性諸君と着替えるというのはいささか問題があると言うか」
「何を言い出すんですか!」
先生まで私を裏切るのですか!
「や、ですよ? ええ。知っています。佐々木くんが男だという事は存じております。存じておりますが」
複数ある鬼蜘蛛先生の瞳が忙しそうにあちらこちらに視線を泳がせ始めました。
「そう、ですね。それでは誰かに確かめて貰いますか……」
「確かめるも何も私は男です!」
「誰にナニを確かめさせるつもりですか! まさか先生自らなんて言い出さないですよね! 鬼蜘蛛先生は男性ではありませんか!」
「だからなんで男性はダメなんでですか! 私は男です!」
「いや、それは。私は既に結婚している身ですから……そこはクラスメートで決めて頂ければ」
先生!?
「男性は却下よ!」
「ですから女性に見られたくなんてありません!」
「キキ! (確認したいです!)」
「キキキ! (確認させてください!)」
「キキキ! (ぶっちゃけどっちの性別でも美味しく頂けます!)」
「キキキキ! キキ! (ぶっちゃけ過ぎだ! てかお前怖えわ!)」
「やかましいの! ククリもキレるわよ!」
「「「キキッ! キ! (大変申し訳ございませんでした!)」」」
「というか戦闘員達はいつまで私を捕まえているつもりなんですか! 背中のイリアスさんもいい加減に離れて下さい! 脱げません!」
「脱がせないっ!」
「ああ、もう。わかりました! わかりましたから皆さん落ち着いて下さい! いま適任を呼びますから!」
鬼蜘蛛先生が普段よりも大きな声を出しました。
流石に私達は全員静かになってしまいます。
静かになった私達に満足すると、鬼蜘蛛先生は備え付けの黒電話のダイヤルを動かしました。
「もしもし? 鬼蜘蛛です、すみませんが1-Bまで足を運んで貰えないでしょうか?……いえ、怪我人ではなく。先生にしかお願い出来ないと言いますか、はい。ええ、申し訳ございません」
申し訳なさそうに鬼蜘蛛先生が電話越しに話すと、黒電話の受話器を置きました。
「直に来ますのでお待ちを。ああ、流石に早いですね」
鬼蜘蛛先生の視線の先には、床の上に水溜まりが現れました。ここの床、木造りのフローリングなのですがどこから?
「すいませんスライム先生、実は佐々木くんの健康状態を調べて頂きたいのですが」
水溜まりに鬼蜘蛛先生が話しかけると、水溜りが震えて持ち上がり人の形を形成しはじめました。
体のの凹凸が少なく、顔も無い。液体上の人型は頷くと私に近づいてきました。
「ゴボボボッ」
突然私の体がこの液体生命体に包み込まれました!
しかし、すぐにスライム先生は私の体から離れると満足げに頷きました。
「問題ないようですね……ちなみに佐々木くんの性別は」
今度はスライム先生の体が『♂』の形に変わります。
それはそうでしょう。私も笑顔を先生に向けます。
「スライム先生は怪我をした箇所に纏わりついて癒してくれたり、逆に取り込んで融解させたりしてくれる保険医です。本体は学園の地下プールにいらっしゃって怪我人などが出た時にはこうやって分体を出してくれます。本体は『溶解王』とも呼ばれる巨大スライムです。怒らせてはいけないですよ? 過去にご機嫌を損ねた時には一つの都市を丸のみにしたこともあるらしいですから。スライム先生、有難うございました」
鬼蜘蛛先生の言葉を聞いたスライム先生は、再び水溜りになると地面へと吸い込まれて行きました。
しかし、スライム先生はしゃべらない様子でしたが電話は出るんですね。
無事に男だと認められたのは嬉しいですがずぶ濡れになってしまいました。魔法で乾かしてもいいんでしょうか?
「分かったから! でも! それでも教室で着替えるなんてダメ! 周りに見られちゃうでしょ!」
「何を言っているんですか! 男が女子更衣室で着替える事の方が問題です!」
「優ちゃん! もっと自分を大事にしないと駄目だよ」
「意味が分かりません!」
三年ぶりくらいのこのやり取りです。
今から体育の授業ですので、着替えようと体操服を取り出したところでククリさんに取り上げられてしまいました。
以前、人間界の学校でも最初のうちはこんなやり取りをした記憶があります。
「私の身分証明書も見せたでしょう! それでいて何故理解して頂けないのですか!」
「だって身分証なんていくらでも偽造可能じゃない? 優ちゃんのだって人間界での生活擬装用の越後屋印の夜間専門学校の身分証でしょ! 信用出来る訳ないじゃない?」
「優ちゃん、いくらなんでも役に徹しすぎよ! そんな危ない事言ってはダメ!」
「危なくないです! むしろ私が女子更衣室で着替える事の方がよっぽど危ないです! 私は男なんですから!」
「とにかくダメ! 戦闘員! 優ちゃんを捕まえて!」
「キキキ! (わかりました!)」
「キキ! (畏まりました!」
私の両手を女性の戦闘員が捕まえてきます。
戦闘員とはいえ、女性に手をあげたくはないですがここは譲る訳にはいきません。
「佐々木よ、頼む。オレ達も女子の前で着替えるのは抵抗が……特にオレは暴走しちまう」
「智君まで!? というか暴走!? こうなったらここで脱いで証明するしか」
「させる訳ないでしょうがっ!」
「ええい! 離してくださいイリアスさん! 今脱ぎます! すぐに脱いで証明するしかないんです!」
「キキ! (ロリの着替え!)」
「キキ! (ロリの脱衣!)」
「変態は黙ってなさい!」
「「キキ! (すいません!)」」
がっちりホールドされた上に、体操服まで取られてしまっています。こうなったらダークネスマッスルに変身するしか……。
「こらこら、君たち。何を騒いでいるのですか?」
「鬼蜘蛛先生!」
「廊下まで騒ぎ声が響いていますよ? どういう事ですか」
「先生! 優ちゃんがここで着替えるって言いだしたのよ!」
「え?」
「先生! 私はここで着替えるべきですよね! 私男ですから! 先生ならご存知ですよね!」
「え、あ……その。佐々木くんの名前は男性欄に記載されていますが」
「ほら!」
「でも、確かにそうですね。佐々木くんがここで男性諸君と着替えるというのはいささか問題があると言うか」
「何を言い出すんですか!」
先生まで私を裏切るのですか!
「や、ですよ? ええ。知っています。佐々木くんが男だという事は存じております。存じておりますが」
複数ある鬼蜘蛛先生の瞳が忙しそうにあちらこちらに視線を泳がせ始めました。
「そう、ですね。それでは誰かに確かめて貰いますか……」
「確かめるも何も私は男です!」
「誰にナニを確かめさせるつもりですか! まさか先生自らなんて言い出さないですよね! 鬼蜘蛛先生は男性ではありませんか!」
「だからなんで男性はダメなんでですか! 私は男です!」
「いや、それは。私は既に結婚している身ですから……そこはクラスメートで決めて頂ければ」
先生!?
「男性は却下よ!」
「ですから女性に見られたくなんてありません!」
「キキ! (確認したいです!)」
「キキキ! (確認させてください!)」
「キキキ! (ぶっちゃけどっちの性別でも美味しく頂けます!)」
「キキキキ! キキ! (ぶっちゃけ過ぎだ! てかお前怖えわ!)」
「やかましいの! ククリもキレるわよ!」
「「「キキッ! キ! (大変申し訳ございませんでした!)」」」
「というか戦闘員達はいつまで私を捕まえているつもりなんですか! 背中のイリアスさんもいい加減に離れて下さい! 脱げません!」
「脱がせないっ!」
「ああ、もう。わかりました! わかりましたから皆さん落ち着いて下さい! いま適任を呼びますから!」
鬼蜘蛛先生が普段よりも大きな声を出しました。
流石に私達は全員静かになってしまいます。
静かになった私達に満足すると、鬼蜘蛛先生は備え付けの黒電話のダイヤルを動かしました。
「もしもし? 鬼蜘蛛です、すみませんが1-Bまで足を運んで貰えないでしょうか?……いえ、怪我人ではなく。先生にしかお願い出来ないと言いますか、はい。ええ、申し訳ございません」
申し訳なさそうに鬼蜘蛛先生が電話越しに話すと、黒電話の受話器を置きました。
「直に来ますのでお待ちを。ああ、流石に早いですね」
鬼蜘蛛先生の視線の先には、床の上に水溜まりが現れました。ここの床、木造りのフローリングなのですがどこから?
「すいませんスライム先生、実は佐々木くんの健康状態を調べて頂きたいのですが」
水溜まりに鬼蜘蛛先生が話しかけると、水溜りが震えて持ち上がり人の形を形成しはじめました。
体のの凹凸が少なく、顔も無い。液体上の人型は頷くと私に近づいてきました。
「ゴボボボッ」
突然私の体がこの液体生命体に包み込まれました!
しかし、すぐにスライム先生は私の体から離れると満足げに頷きました。
「問題ないようですね……ちなみに佐々木くんの性別は」
今度はスライム先生の体が『♂』の形に変わります。
それはそうでしょう。私も笑顔を先生に向けます。
「スライム先生は怪我をした箇所に纏わりついて癒してくれたり、逆に取り込んで融解させたりしてくれる保険医です。本体は学園の地下プールにいらっしゃって怪我人などが出た時にはこうやって分体を出してくれます。本体は『溶解王』とも呼ばれる巨大スライムです。怒らせてはいけないですよ? 過去にご機嫌を損ねた時には一つの都市を丸のみにしたこともあるらしいですから。スライム先生、有難うございました」
鬼蜘蛛先生の言葉を聞いたスライム先生は、再び水溜りになると地面へと吸い込まれて行きました。
しかし、スライム先生はしゃべらない様子でしたが電話は出るんですね。
無事に男だと認められたのは嬉しいですがずぶ濡れになってしまいました。魔法で乾かしてもいいんでしょうか?
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