5 / 34
第5話 鬼
しおりを挟む
朝日が昇る。
カーサが後宮に来て一日が経過していた。初日は仕事がなく、食堂で食事を済ませた後は湯浴みをして就寝していた。
翌日は朝から仕事がある。長旅で疲れた身体を癒すため早めに寝る事にしていた。
柔らかすぎるベッドは、包み込むように深く沈む。それが落ち着かなくてカーサは夜中に飛び起きると床に転がるバッグの中に潜っていた。
朝、目が覚めて同居人が居ないことに気付いたアポロがしばらく辺りを見回す中、バッグがゆっくりとひとりでに立ち上がる。驚きの声は可愛らしく、不意をついたことは申し訳なく思う。
軽い身支度の後は業務開始前に朝食を済ませなければならない。毎日三食、それぞれ違うものが出るのは主上の配慮があったからとの事だ。
食い溜めする必要が無いのね、と今日の朝食、魚料理に舌鼓を打ちながらカーサは手を動かしていた。その気になればひと月は何も口にしなくても活動出来るが、今は不必要なことだった。
朝食を終え、業務開始まで少し時間がある。入り乱れる人混みを抜けてカーサはアポロのいるところへと足を運んでいた。
火の精霊であるサラマンダー種は食事が別になる。人と同じものを食べられない訳では無いが、それよりも必要なものがあるからだ。
そこへ一歩踏み入れると、茹だるような熱気が充満していた。カーサは堪らず吹き出した汗を拭う。
煉瓦造りのそこは外から見ると巨大な窯のような形をしていた。中は目を潰すように明るく、至る所で火が焚かれていた。
「あ、カーサ!」
呼ぶ声にカーサは目を向ける。乾く眼球に瞬きを多くしながら見ると、そこには服を脱いだアポロがいた。
足元から立ち上る炎の中で寝そべるアポロは笑みを浮かべている。罪人が火炙りされているかのような情景だがその表情は余裕そうだった。
暑い、と愚痴にながら近寄る。アポロは時折舞い上がる炎を口に運ぶと、高級ディナーのように頬を綻ばせていた。
サラマンダーにとって火炙りは他種族が行う水浴びと同じだった。老廃物を焼き払いながら、おやつも食べる。普段から火口などに居を構える彼女らにとって焚き木などぬるま湯程度にしかならないようだ。
「そろそろ戻りましょ」
「もうそんな時間?」
カーサは頷く。滲んだ汗が飛んで、火に炙られて蒸発していた。
はーいと気の抜けた返事がある。そばに置いてあった服に手を伸ばすアポロを尻目に、待っていられないとカーサは飛び出していた。
勤め先は主上の住む館だった。
専用の裏口から列を作る女達に混じり、カーサも並ぶ。
流れは早く、そそくさと人の列が館に吸い込まれていく。
お城のようだと、カーサは見上げて思う。
白磁色の外壁はくすみを知らず、陽の光が眩しい。屋根は瓦、窓はガラス、内装はどうなっているのだろうと気になっていた。
館の中を清掃する女衆を横目にカーサは歩く。後ろから着いてくるアポロは時折珍品を見つけては立ち止まっていた。
目的地は二階にある部屋だ。夜伽番となった女性は個室が与えられ、そこで今後を過ごすことになる。
外出に制限は無い。しかしいつ寵愛を受けるか分からないためあまり外には出たがらない。求められた時に居ないのは失礼にあたり、立場を降ろされるかもしれないからだ。
分厚い絨毯の上を歩き、立ち止まる。見上げた先にある部屋番号を二度確認して、
「失礼します」
トントンとノックをした後にドアノブを捻る。
開放した先は煙が広がっていた。それは逃げ場を求めてカーサに襲い掛かっていた。
「うわっ!?」
「あら、どなた?」
視界を塞ぐ濃霧の奥から声がする。
見えない。カーサは仕方なく独特な渋い香りの中に入ると、部屋の主のほうへ挨拶をする。
「今日からこちらで働かせていただきます、小人族のカーサです」
「アポロロゥフレアです」
カーサは頭を下げる。後ろからついてきたアポロも同じようにしていた。
後宮内で明確に身分差はない。しかし夜伽番はどうしても一目置かれる立場だ。面倒に思いながらもカーサは礼儀正しくを心がけていた。
「あら、そうなの。私は紫鬼、鬼種三角鬼族よ。よろしく」
姿が見えないが声は通る。
凛とした、声は弦を鳴らしたように張りがある。
しかし、
鬼種か……
粗暴にして退廃的。刹那を生きて思慮浅い。鬼種全般に当てはまる特徴は短く付き合うならいいが、長く友とするには面倒くさい。
好きなものは酒と煙草と喧嘩。部屋が見えなくなるほどの煙の正体がすぐにわかった。
にしても吸い過ぎだろうとため息をつくと、反動で勢いよく吸い込んでしまい喉を刺激する。軽く咳払いをしてごまかしながら、
「すみません、窓を開けさせてください」
「ん? あぁ、いいわよ。ごめんなさいね、気付かなくて」
いえ、とカーサは短く答える。
入り口を開けたことにより煙は気持ち晴れていた。部屋を横断すると曇った窓がそこにはあった。
手を伸ばすが、あと少しが届かない。背伸びをしても、金具を爪先がひっかくだけで意味がない。
「カーサ。私がやるから」
後ろから伸びた手が簡単に窓を開け放つ。風の通り道が出来たため、心地よい春の風が部屋の中を通りすぎていく。
「ありがと」
「うん」
カーサは振り返り、礼を言う。相変わらずもぎたての果物のような笑顔がそこにあった。
自分にはない愛くるしさが魅力を放っている。羨むことはあっても欲しいとは思わない。似合わないとわかっているからだ。
煙は急速にその濃度を下げていく。ものの数秒で見えなかったものの輪郭を明確にしていた。
「あら、かわいらしい子ね」
紫鬼がまた煙管をふかして言う。
その声にカーサは目を向ける。
……でっか。
まず目に入ったのは寝台に横たわる女性の姿だった。
枕元には酒瓶が何本も立ち並び、意匠を凝らした箱型の煙草盆が置かれている。手には煙管と白磁の平盃を持ち、ゆっくりと味を確かめている。
幾重にも重なる着物は全身を隠してなお余りが床に広がっていた。唯一大きく開かれた胸元だけが豊満な乳をのぞかせている。
カーサが大きいと感じたのは服を含めた体積のことだ。決して肉体の局所的な話ではない。
額から三方向に伸びる短い角を揺らしながら、紫鬼は二人を見つめていた。
そして、
「これからどうしましょうか」
一言告げる。煙管を咥えて、空になった平盃を置くと、ゆったりと上体を起こしていた。
紫鬼の眉を寄せる姿に、
「いつもはどうしているんですか?」
カーサが聞く。
世話とだけ聞いていたので何をするかは現地で指示があると思っていた。しかし紫鬼は首を横に倒すと、
「いつも、ねえ。わからないの」
「……前の方は何をしていたんですか?」
「いないわよ」
「居ない?」
「そ。つい先日見初められて夜伽はしているのだけれど、世話番がつくのは初めてだから」
紫鬼はそういってまた煙管をはむ。
ゆったりとした時間が流れる。困ったなと、カーサは考えていた。やれることがないわけではない。部屋を片付けたり掃除をしたり。あとはいつ来るかわからない主上のために衣服の交換や禊の準備くらい。
つまらない。いつまでそれが続くかは不明だが、くじけそうになる。
しかしアポロは嬉々とした表情を浮かべ、
「凄いですね!」
「凄い、のかしら? 主上は女好きで色々な人を誘うから誰にでもチャンスはあるわよ?」
「私にも……お誘いはあるのでしょうか?」
「主上の気分次第だからなんとも言えないけれど……あなたなら大丈夫じゃないかしら?」
その言葉にぱっと花が咲く。
カーサが後宮に来て一日が経過していた。初日は仕事がなく、食堂で食事を済ませた後は湯浴みをして就寝していた。
翌日は朝から仕事がある。長旅で疲れた身体を癒すため早めに寝る事にしていた。
柔らかすぎるベッドは、包み込むように深く沈む。それが落ち着かなくてカーサは夜中に飛び起きると床に転がるバッグの中に潜っていた。
朝、目が覚めて同居人が居ないことに気付いたアポロがしばらく辺りを見回す中、バッグがゆっくりとひとりでに立ち上がる。驚きの声は可愛らしく、不意をついたことは申し訳なく思う。
軽い身支度の後は業務開始前に朝食を済ませなければならない。毎日三食、それぞれ違うものが出るのは主上の配慮があったからとの事だ。
食い溜めする必要が無いのね、と今日の朝食、魚料理に舌鼓を打ちながらカーサは手を動かしていた。その気になればひと月は何も口にしなくても活動出来るが、今は不必要なことだった。
朝食を終え、業務開始まで少し時間がある。入り乱れる人混みを抜けてカーサはアポロのいるところへと足を運んでいた。
火の精霊であるサラマンダー種は食事が別になる。人と同じものを食べられない訳では無いが、それよりも必要なものがあるからだ。
そこへ一歩踏み入れると、茹だるような熱気が充満していた。カーサは堪らず吹き出した汗を拭う。
煉瓦造りのそこは外から見ると巨大な窯のような形をしていた。中は目を潰すように明るく、至る所で火が焚かれていた。
「あ、カーサ!」
呼ぶ声にカーサは目を向ける。乾く眼球に瞬きを多くしながら見ると、そこには服を脱いだアポロがいた。
足元から立ち上る炎の中で寝そべるアポロは笑みを浮かべている。罪人が火炙りされているかのような情景だがその表情は余裕そうだった。
暑い、と愚痴にながら近寄る。アポロは時折舞い上がる炎を口に運ぶと、高級ディナーのように頬を綻ばせていた。
サラマンダーにとって火炙りは他種族が行う水浴びと同じだった。老廃物を焼き払いながら、おやつも食べる。普段から火口などに居を構える彼女らにとって焚き木などぬるま湯程度にしかならないようだ。
「そろそろ戻りましょ」
「もうそんな時間?」
カーサは頷く。滲んだ汗が飛んで、火に炙られて蒸発していた。
はーいと気の抜けた返事がある。そばに置いてあった服に手を伸ばすアポロを尻目に、待っていられないとカーサは飛び出していた。
勤め先は主上の住む館だった。
専用の裏口から列を作る女達に混じり、カーサも並ぶ。
流れは早く、そそくさと人の列が館に吸い込まれていく。
お城のようだと、カーサは見上げて思う。
白磁色の外壁はくすみを知らず、陽の光が眩しい。屋根は瓦、窓はガラス、内装はどうなっているのだろうと気になっていた。
館の中を清掃する女衆を横目にカーサは歩く。後ろから着いてくるアポロは時折珍品を見つけては立ち止まっていた。
目的地は二階にある部屋だ。夜伽番となった女性は個室が与えられ、そこで今後を過ごすことになる。
外出に制限は無い。しかしいつ寵愛を受けるか分からないためあまり外には出たがらない。求められた時に居ないのは失礼にあたり、立場を降ろされるかもしれないからだ。
分厚い絨毯の上を歩き、立ち止まる。見上げた先にある部屋番号を二度確認して、
「失礼します」
トントンとノックをした後にドアノブを捻る。
開放した先は煙が広がっていた。それは逃げ場を求めてカーサに襲い掛かっていた。
「うわっ!?」
「あら、どなた?」
視界を塞ぐ濃霧の奥から声がする。
見えない。カーサは仕方なく独特な渋い香りの中に入ると、部屋の主のほうへ挨拶をする。
「今日からこちらで働かせていただきます、小人族のカーサです」
「アポロロゥフレアです」
カーサは頭を下げる。後ろからついてきたアポロも同じようにしていた。
後宮内で明確に身分差はない。しかし夜伽番はどうしても一目置かれる立場だ。面倒に思いながらもカーサは礼儀正しくを心がけていた。
「あら、そうなの。私は紫鬼、鬼種三角鬼族よ。よろしく」
姿が見えないが声は通る。
凛とした、声は弦を鳴らしたように張りがある。
しかし、
鬼種か……
粗暴にして退廃的。刹那を生きて思慮浅い。鬼種全般に当てはまる特徴は短く付き合うならいいが、長く友とするには面倒くさい。
好きなものは酒と煙草と喧嘩。部屋が見えなくなるほどの煙の正体がすぐにわかった。
にしても吸い過ぎだろうとため息をつくと、反動で勢いよく吸い込んでしまい喉を刺激する。軽く咳払いをしてごまかしながら、
「すみません、窓を開けさせてください」
「ん? あぁ、いいわよ。ごめんなさいね、気付かなくて」
いえ、とカーサは短く答える。
入り口を開けたことにより煙は気持ち晴れていた。部屋を横断すると曇った窓がそこにはあった。
手を伸ばすが、あと少しが届かない。背伸びをしても、金具を爪先がひっかくだけで意味がない。
「カーサ。私がやるから」
後ろから伸びた手が簡単に窓を開け放つ。風の通り道が出来たため、心地よい春の風が部屋の中を通りすぎていく。
「ありがと」
「うん」
カーサは振り返り、礼を言う。相変わらずもぎたての果物のような笑顔がそこにあった。
自分にはない愛くるしさが魅力を放っている。羨むことはあっても欲しいとは思わない。似合わないとわかっているからだ。
煙は急速にその濃度を下げていく。ものの数秒で見えなかったものの輪郭を明確にしていた。
「あら、かわいらしい子ね」
紫鬼がまた煙管をふかして言う。
その声にカーサは目を向ける。
……でっか。
まず目に入ったのは寝台に横たわる女性の姿だった。
枕元には酒瓶が何本も立ち並び、意匠を凝らした箱型の煙草盆が置かれている。手には煙管と白磁の平盃を持ち、ゆっくりと味を確かめている。
幾重にも重なる着物は全身を隠してなお余りが床に広がっていた。唯一大きく開かれた胸元だけが豊満な乳をのぞかせている。
カーサが大きいと感じたのは服を含めた体積のことだ。決して肉体の局所的な話ではない。
額から三方向に伸びる短い角を揺らしながら、紫鬼は二人を見つめていた。
そして、
「これからどうしましょうか」
一言告げる。煙管を咥えて、空になった平盃を置くと、ゆったりと上体を起こしていた。
紫鬼の眉を寄せる姿に、
「いつもはどうしているんですか?」
カーサが聞く。
世話とだけ聞いていたので何をするかは現地で指示があると思っていた。しかし紫鬼は首を横に倒すと、
「いつも、ねえ。わからないの」
「……前の方は何をしていたんですか?」
「いないわよ」
「居ない?」
「そ。つい先日見初められて夜伽はしているのだけれど、世話番がつくのは初めてだから」
紫鬼はそういってまた煙管をはむ。
ゆったりとした時間が流れる。困ったなと、カーサは考えていた。やれることがないわけではない。部屋を片付けたり掃除をしたり。あとはいつ来るかわからない主上のために衣服の交換や禊の準備くらい。
つまらない。いつまでそれが続くかは不明だが、くじけそうになる。
しかしアポロは嬉々とした表情を浮かべ、
「凄いですね!」
「凄い、のかしら? 主上は女好きで色々な人を誘うから誰にでもチャンスはあるわよ?」
「私にも……お誘いはあるのでしょうか?」
「主上の気分次第だからなんとも言えないけれど……あなたなら大丈夫じゃないかしら?」
その言葉にぱっと花が咲く。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる