再会した幼馴染は××オタクになっていました。

星空永遠

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九章 ハロウィンはドキドキがいっぱいで

72話

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そして、ハロウィン当日。あるホテル会場を丸々貸し切ってのパーティー。というよりは、ダンスパーティーだよね。大きなシャンデリアに美味しそうなハロウィン料理が並べられている。見た限りだと、立食式のようだ。

私は黒炎くんに買ってもらったドレスに身を包み、会場を訪れた。

受け付けで名前を言うと、「今年のパーティーは少し特殊で、仮面をつけてのご参加になっております」そう言われ、仮面を渡された。

これはおそらく仮面舞踏会というものだろう。貴族の社交界をテレビで見たことはあったけど、まさか自分が参加する日が来るとは思ってもみなかった。

「仮面をつけたあと、決して自分の名前を明かさぬように。パーティー終了後、仮面を私《わたくし》どもにお返しください」

「は、はい」

名前を言えないんじゃ、黒炎くんと会っても……って、人多くない!? 会場の中に入ると、かなりの人だった。学校の関係者と身内だけでこの数は、やっぱり改めて思うと、この学校は生徒の数が多いんだ。中高一貫校だったら、このくらい普通なのかな。

黒炎くんとは会場で合流しようって言ってたけど、これだと見つけるのも一苦労なんじゃ……。貴重品はすべて預けちゃったし。きっと、この雰囲気を味わえってことなんだろうけど。高校生には早い気がする。というか、一般家庭の私にはこんなのは、なんと表現するのが正しいのかはわからない。けど、場違いなことだけはわかる。

「そこのお嬢さん、私と一曲踊らないかい?」

「へ?」

急に後ろから声をかけられアホな声が出てしまう。高校生……ではなさそう。顔は見えないからわからないけど、体格からして男性なのはわかる。おそらく誰かの保護者なんだろう。

声色は優しそうだし、なにより気品がある。きっと素顔はもっと素敵なんだろうなぁ。でも、そんな人がなんで私に声をかけたのか謎だ。

「こういうパーティーは初めてかな? もし良ければ私がリードしてあげよう」

「ちょ……」

そういうと手をとって、男性は私をダンスに誘う。

「私、ダンスなんてしたことなくて……」

「大丈夫。私と呼吸を合わせれば、きっとできるさ」
 
ちょっと強引だけど、紳士的な人だ。言われた通りにするとダンスを上手く踊れている。目立っているのか、あたりがザワつき始める。
 
「なんて綺麗なダンス……!」

「まるで本物の社交界を見てるみたい」
 
みんな男性に見とれていた。主に大人の女性たちが。私にはかなり年上の人の魅力なんてわからない。けど、転けそうになる私をさりげなく支えてくれたり、次のステップを耳元で教えてくれたりする対応には正直驚かされた。

まったく知らない人なのに嫌だと思わないのはどうしてだろう。
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