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十二章 友チョコと本命チョコと甘いキス

103話

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「もしもし。紅蓮会長、何かありましたか?」

「こんにちは。急ですが、良ければ明日一緒にどこか行きませんか? 明日はせっかくの日曜日ですから」

「あ、えーと……」

明日は焔さんとチョコ作りする予定が入ってるんだけど。しかも、今さっき決まったばかりで断るわけにもいかないし。というか、明日は日曜の前にバレンタインデーなのですが。あれ? もしかして、それをわかった上で誘ってたりするのかな。

「……明日はバレンタインデーでしたね。黒炎に渡すチョコを誰かと作るんですか」  

「一応そのつもりです」

私が返事に困っていると、なにかを察したようなにバレンタインデーのことを話し出した。しかし、まさか紅蓮会長の口からバレンタインデーなんて言葉が出るなんて意外すぎる。そういうイベント事には興味無さそうだし。まあ、私の偏見かもしれないけど。

「それなら場所を提供する代わりに一緒に過ごしませんか。もちろん、貴方の友人の方も一緒で構いません」
 
そういえば、場所は決まってなかった気がする。うちの家は日曜で、お父さんも仕事が休みで一日中家にいるし。そんな中でチョコ作りをしていたら、誰に作るんだと騒がれるに決まってる。

かといって、焔さんの実家は……紅炎さんいるし論外。今、焔さんが暮らしてるのは先輩の家なんだけど、そもそも私が会話すらしたことないのにいきなり上がり込むのはまずいし。そうなると、場所がないというか……なんで、肝心なところが抜けていたんだろ。

「出来ればお願いしたいんですけど……でも……」

黒炎くんと付き合ってて、他の男の家なんかに行ってもいいんだろうか。これって浮気とかにならない? 焔さんがいるから、紅蓮会長と二人きりではないけど。

そういえば、署名活動のときにお世話になったけどまだお礼をしていない。そういう意味では、その場で手作りチョコを紅蓮会長に渡すのはいいかもしれない。もちろん、義理チョコだけど。この場合、義理チョコというよりは友チョコのほうが近いんじゃ……。

「黒炎のことを気にしているのなら、僕から言っておきます」

「ホントですか!? それは助かります。それじゃあ、明日は友人と一緒に家に向かいますね!」
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