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イヴの葛藤
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イヴはとても悩んでいた。
小さい頃から周りに気を遣いすぎてしまうのだ。
イヴという名前の由来は、あのイヴのように偉大な存在でいてほしいと願われてつけられたらしい。
そうして、両親からのイヴへの教育方針は他者貢献がいかに大切かを教育され続けた。
周りが困っていれば、私にできることならなんでもやってあげたい。
そうしてそれを今でも続けている。いや、2年前に比べれば他人への貢献は減ったと思う。
そうしていると、周りからは勝手に頼られるようになる。
両親の教育のおかげか、まるで聖人のようで、みんなから頼られすぎてしまう。なんでも許してしまう優しい性格。
だが、その自身の性格により、とてつもないストレスを感じていた。
そしてそれを自分に強いてしまうイヴ自身が嫌いだった。
現在は会社で事務作業をして、日常を送っている。
友達とご飯に行ったり、遊びに行ったり。
ただ、そこでもやはり私は聞き役に徹してしまう。愚痴など聞きたくは無いのだ。
とても退屈だが、反応してあげないといけない、という思い込みがあるのだと思う。
最近、吐き気を催すことや、意識がぼーっとすることもある。
頭痛もひどい。
そしてある日、頭が殴られたような、激しい頭痛が起きた。そしてそのまま意識を失っていた。
ーー気がつくと、私は病院のベッドの上にいた。
くも膜下出血にかかり、左半身の機能を失うこととなっていたのだ。
左手はほとんど動かせない。
痺れて今までに感じたことのない不快感に苛まれる。
なぜこんなことになってしまったのか。
今まで人助けを多くやっていたのに。
なぜ世界はこんなにも理不尽なのか。
そもそも世界とは、地球とは、人間のためにあるものでは無かったということなのか…。
そんなことを考えていると、医者の担当者の方が状況を尋ねてきた。
一通りやりとりしていたが、病気のせいか、呂律がうまく回らない。いつものように話せない。
それも悔しい。つらい。苦しい。
しかし、私の話し方をその医者はとても気に入ったようで、
「あなたはまるで、聖人のようだ」
と言われた。
情けなさや、つらさ、苦しさ、悔しさなど、なんとも言えない気持ちになった。
きっとこの性格のせいでストレスフルで病気になったと思い込んでいたのだ。
「今まで、そのことをコンプレックスに感じていた」
ということをその医者に伝える。
哀れに想ったその医者は提案してくる。
「麻痺した左半身ですが、実は治せるんです。ただ…」
医者は一瞬ためらっていた。ただ、少し口角が上がったのが見えた。
「左半身に医療器具をつけるんです。形は人間の身体の半身そのものです。新しい技術で、まだ、実験段階なのですが…。
そこで提案があるのですが…
新しくイヴさんにつける医療器具のデザインを考えてつけてみる、
なんてのはどうでしょう?」
そんなことができるほど医療は進んでいるのか。
その話を聞いた瞬間、救われるような気がした。是非ともやりたい。どんなデザインにしよう。
すぐさまそう考えていた。
「やります。デザインを考えさせてください。」
イヴが選んだデザインは悪魔のような、狂気さを感じる表情、
瞳は赤く、見開き、何もかも軽蔑するような目、口は口角が異常なほど上がった形。
しかし残った半分の普段の顔はとても穏やかで何もかも許してくれそうな表情になってしまう。
この姿になれば、自分の感情が素直に出せるかもしれない。
とても興奮し、その日は眠ることができないくらい、嬉しさを噛みしめていた。
小さい頃から周りに気を遣いすぎてしまうのだ。
イヴという名前の由来は、あのイヴのように偉大な存在でいてほしいと願われてつけられたらしい。
そうして、両親からのイヴへの教育方針は他者貢献がいかに大切かを教育され続けた。
周りが困っていれば、私にできることならなんでもやってあげたい。
そうしてそれを今でも続けている。いや、2年前に比べれば他人への貢献は減ったと思う。
そうしていると、周りからは勝手に頼られるようになる。
両親の教育のおかげか、まるで聖人のようで、みんなから頼られすぎてしまう。なんでも許してしまう優しい性格。
だが、その自身の性格により、とてつもないストレスを感じていた。
そしてそれを自分に強いてしまうイヴ自身が嫌いだった。
現在は会社で事務作業をして、日常を送っている。
友達とご飯に行ったり、遊びに行ったり。
ただ、そこでもやはり私は聞き役に徹してしまう。愚痴など聞きたくは無いのだ。
とても退屈だが、反応してあげないといけない、という思い込みがあるのだと思う。
最近、吐き気を催すことや、意識がぼーっとすることもある。
頭痛もひどい。
そしてある日、頭が殴られたような、激しい頭痛が起きた。そしてそのまま意識を失っていた。
ーー気がつくと、私は病院のベッドの上にいた。
くも膜下出血にかかり、左半身の機能を失うこととなっていたのだ。
左手はほとんど動かせない。
痺れて今までに感じたことのない不快感に苛まれる。
なぜこんなことになってしまったのか。
今まで人助けを多くやっていたのに。
なぜ世界はこんなにも理不尽なのか。
そもそも世界とは、地球とは、人間のためにあるものでは無かったということなのか…。
そんなことを考えていると、医者の担当者の方が状況を尋ねてきた。
一通りやりとりしていたが、病気のせいか、呂律がうまく回らない。いつものように話せない。
それも悔しい。つらい。苦しい。
しかし、私の話し方をその医者はとても気に入ったようで、
「あなたはまるで、聖人のようだ」
と言われた。
情けなさや、つらさ、苦しさ、悔しさなど、なんとも言えない気持ちになった。
きっとこの性格のせいでストレスフルで病気になったと思い込んでいたのだ。
「今まで、そのことをコンプレックスに感じていた」
ということをその医者に伝える。
哀れに想ったその医者は提案してくる。
「麻痺した左半身ですが、実は治せるんです。ただ…」
医者は一瞬ためらっていた。ただ、少し口角が上がったのが見えた。
「左半身に医療器具をつけるんです。形は人間の身体の半身そのものです。新しい技術で、まだ、実験段階なのですが…。
そこで提案があるのですが…
新しくイヴさんにつける医療器具のデザインを考えてつけてみる、
なんてのはどうでしょう?」
そんなことができるほど医療は進んでいるのか。
その話を聞いた瞬間、救われるような気がした。是非ともやりたい。どんなデザインにしよう。
すぐさまそう考えていた。
「やります。デザインを考えさせてください。」
イヴが選んだデザインは悪魔のような、狂気さを感じる表情、
瞳は赤く、見開き、何もかも軽蔑するような目、口は口角が異常なほど上がった形。
しかし残った半分の普段の顔はとても穏やかで何もかも許してくれそうな表情になってしまう。
この姿になれば、自分の感情が素直に出せるかもしれない。
とても興奮し、その日は眠ることができないくらい、嬉しさを噛みしめていた。
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退会済ユーザのコメントです
感想いただきとても、とても嬉しいです!
初めてコメントいただけて、感無量です。。
気が向いた時にはなってしまいますが、続きや、違うジャンルなど、少しずつ描いていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。