記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko

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呪術師長の言う事には2

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『で、この子の名前は何て言うんだい?』

お婆さんがギルマスさんに訊ねています。

『俺が【ヒロ】と名付けて呼んでいるが、どうやら記憶喪失みたいで、本当のところは分からない。』

『ふうん。
見たところ、記憶喪失の呪術はかけられていないようだけどね。
うちの見習いも記憶はしっかり有りそうだし。』

『ああ、医師が言うには、頭の瘤が原因じゃないかと。
記憶が戻るかどうかは運次第らしい。』

そう聞いて、お婆さんの手が私の頭にのびてきた。
だ、大丈夫だよね?
見習いのお兄さんみたいに小さくならないよね?!

ビクッとなったのを感じたのか、お婆さんは笑った。

『ふふふ、術が発動して若返るなら本望さね。
10歳でも、20歳でも、なんなら50歳位若返りたい気分だよ。
でもまあ、そこの見習いと違って無闇やたらな力の使い方はもう、出来ないからね。
残念だけど、若返る事はないさ。
ああ、この瘤かい。
盛大にぶつけたんだね。』

私の頭をさすさすしてます。
痛くはないけれど、くすぐったいので首をすくめてしまいましたよ。

『ヒロは昨日より、今朝の方が随分と成長した。
これからどうなるんだ?』

『そうさね、、、。
この国の呪術じゃない可能性が高いから、何とも言えないんだよね。

成長したのは、お前さんがこの子に【名を与えた】から術に介入した可能性があるね。
多分、お互い波長の合った名前だったんだろうさ。

何で【ヒロ】って名を与えたんだい?』

『何でって、特に意味は、、、。』

あ、確か飼ってた猫の名前。

『ギルマスさんの飼ってた猫の名前?』

袖口を引っ張りながら言うと、ギルマスさんは気不味そうな顔をした。

『ふうん、飼い猫の名前かい。』

お婆さんは意味ありげにニヤニヤしている。

え、これって言っちゃダメでした?
私、お気に入りの名前なんですけど。




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



猫の名前を付けたなんて知られたくなくて言葉を濁そうと思ったんだが、本人にバラされてしまった。
医師が言った事覚えていたんだな。

大体、飼い猫の名前だなんて咄嗟に付けた時は考えて無かった。
医師に言われて、そうだったかと思っただけだ。

本人が嫌がってないんだからもう、それで良いだろうって話だ。

『お前さんの名付けが術に介入したんだから、うちの見習いを傍において様子を見るのが良いと思うんだが、この子も連れてく気はあるかい?』

は?
何だって?!
この見習いも俺が連れてくだと?!!!
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