記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko

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誘拐犯の言い分

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『あー、その、俺の、嫁だ。』

『はあ??!!!』

マティアスさんが私を【嫁】と紹介してくれると、その男の人はもの凄く驚いていましたね。

俺の嫁、ですって。
嬉しいです!


『あー、コーリー、本題に入ってもらえるか?』

『は、ハイッ!!』

マティアスさんが私を抱っこしたまま気まずそうに言うと、コーリーさんと呼ばれた人が慌てて返事しましたね。

『犯人たちですが、取りあえず警備隊の本部に連行して拘束しておきました。

で、奴らの言い分ですが、ジーズー王国の国王と、護衛だと申してまして。』

『ジーズー王国?!
それって、確か北海の先にある国のひとつじゃなかったか?』

『ええ。
どうやら、今回の内紛先はその国だったようで。』

『なんだって、国王自らがこんな辺鄙な所にいるんだ?』

『行方不明になっていたお妃様を捜しにきたと申してまして。

で、それがどうやら、今回誘拐騒動に繋がったようで。』

『行方不明のお妃様だぁ?!
それって、まさか、この、彼女の事だって言わねぇよな?』

何か難しいお話をしてますが、私が誘拐された事に関係してるみたいですね。

【ジーズー王国?】【お妃様?】

う~ん、、、?

よく分かりませんが、怖いです。

マティアスさんにギュッてしがみついておきましようか。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



とんでもない情報が出てきやがった。

北海の先にある国については、交流が無いから情報が少なすぎる。

ジーズー王国ってのがあるのは確認されているが、王の名はおろか、どんな体制の国なのか分かっていない。

斥候を出して情勢を窺ってはいるのだろうが、冷たい海の向こうの事だから、ほんの様子見程度だろう。

それにしても、国王とお妃様ときたもんだ。

確認を取るのにもひと月以上はかかるだろう。

これが本物の国王だとしたら、こんな所で拘束しておいては大問題だな。
俺の首だけでは済まなくなる。

しかも、お妃様とされているのは、俺の嫁と決めた愛しのヒロだ。

彼女の記憶が戻れば、事態は進むのだろうか?

むーん、どうしたものか。

『マティアスさん、、、』

ヒロも不安に思うのか、ギュッとしがみついてくる。

それを愛しいと思いながら、固く抱き締める。

『ヒロ、お前をはなしたくない。』

『うん。
はなさないで。』

コーリーが、いたたまれなさそうに部屋を出ていくのが見えた。



済まん、コーリー。


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