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青山省吾、36歳。
某施設で栄養士兼調理師として働いていたが、この度失業した。
ブラック過ぎて体が悲鳴をあげたのだ。

失業保険とわずかな貯金で食いつないでいる。
家は亡くなった祖父母が住んでいた物で、家賃はかからない。
両親の名義になっているので、税金も両親が払っている。

従って、俺はお袋の言葉には逆らえないのだろう。

若い男女が同居するというのも、嫁にする予定ならば問題では無い。
いや、まあ、もう若くは無いが。

「で、失礼だけど何歳なの?」

彼女も若くは無い。

「38歳です。」

年上かよ。
嫁候補って、マジで勘弁して欲しい。
別に若い方が良いなんて贅沢は言わないが子供は望めないだろう?
高齢出産が何歳からなのかは知らないが、40歳前後で、ダイナミックボディで、しかも病気持ち。
リスクが大き過ぎる。

「で、何の病気?」

「糖尿病と言われました。」

あー、まあ、見た目的に想像した通りの診断でしたな。

俺、医者でもなんでもないんですけど?
ただの栄養士なんですが?

「一日1500キロカロリーにするよう言われました。
ご指導、ご協力、お願いします。」

あー、三つ指ついて土下座されてもなぁ。

『無職なんだから頑張りなさい』

お袋の文面が俺を脅迫していた。
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