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『二度目の花火大会』
第三十七話 『僕はそんな彼女を愛してやまない。』
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「あ……、ここは……」
手を繋いだまま、屋台で購入したあんず飴やタコせんべいを食べ、射的や型抜きを見て回った。
花火の打ち上げ開始時間までもう少しというとき。
莉子に連れて来られた場所が、屋台が並ぶ通りの裏だった。
人々の喧騒は聞こえてくるが、周りに人の姿はない。
明かりもあまり届かず、頭上では樹木から伸びる多くの枝葉が空を覆っていた。
屋台の屋根も邪魔していて、花火を見るには不向きな場所だった。
しかし――。
「この場所、覚えてる?」
微笑みながら莉子が問いかけてくる。
「もちろん。莉子と一緒に初めて花火を見た場所を忘れるわけがないよ」
僕らは去年の花火をここから見ていた。
ちょっとしたトラブルがあり、人混みを避けて、ここに逃れていたのである。
「そっか……、もうあれから一年か……」
ここで枝葉の隙間から綺麗な花火を見たこと。
莉子から名前を呼ばれ、初めてキスをしたこと。
忘れるわけがない。
「ここで良い?」
「うん……」
手を繋いだままの僕らは、近くの木の根元に腰掛けた。
「そろそろ、時間だね」
「うん……」
花火の打ち上げ開始時間である。
しかし、莉子はあまり嬉しそうではなかった。
「……莉子?」
心配になって名前を呼んだとき、辺りが眩い光で満たされた。
遅れて身体に響く低い音と辺りの歓声が聞こえてくる。
花火の打ち上げが開始されたのである。
しかし、光に照らし出された莉子はやはり浮かない顔をしていた。
「ねえ、陸……」
莉子には似合わない暗く沈んだ声だった。
「陸はあたしと出逢ったこと、あたしと付き合ったこと、後悔してない?」
僕は驚いて、莉子の顔をじっと見た。
「陸がこの一年、必死に頑張っていたっていうのをあたしは知ってる」
莉子は真剣だった。
そして、泣き出しそうな顔でもあった。
「また来年も一緒にここに来たいって、あたしが言ったら、陸に呆れられちゃう……かな?」
「…………」
「もっと陸と一緒に――」
僕はそれ以上を莉子には言わせなかった。
莉子の唇に、自身の唇を重なることによって。
ゆっくりと顔を離して、僕は言った。
「莉子と出逢ったこと、名前を聞いたこと、付き合ったこと、僕は何一つ後悔なんてしていないよ!」
真っ直ぐに莉子の綺麗な目を見て言った。
莉子は少し困惑しているようだった。
何となく僕は理解した。
莉子は不安だったのだ。
一年後にまた花火を一緒に見るという約束を僕はした。
そのために頑張ってきた。
それこそ必死に。
でも、この花火が終わってしまったら、約束は果たされてしまう。
僕らの関係もそこで終わってしまうんじゃないか?
そんなふうに考えてしまったんだろう。
そのため、僕の浴衣を無理に買わないで良いと言ったり、ここ最近は笑顔が多かったりしたのだろう。
莉子なりに色々考えて、悩んでいたのだ。
「……ごめん、不安にさせちゃったな」
莉子はまだ目に涙を貯めている。
その目を強く見つめて言った。
「僕はこの一年で莉子のことをもっと好きになった。これから一年後、きっと僕は莉子のことをもっともっと好きになってる」
確かに、沢山の苦労はした。
でも、それ以上に沢山のものをもらった。
数えきれないほど僕は莉子に救われたし、澪やアオまでも救ってもらった。
莉子は可愛くて綺麗で、尚且つ、強くてカッコイイ。
文句なしの最高の彼女じゃないか。
「だから、約束しよう。また一年後、一緒にここに花火を見に来るって」
そう伝えた瞬間、莉子は僕に飛び付いてきた。
ぎゅーと僕を抱き締めた後、涙を拭いて言った。
「それじゃあ、あたしも約束する! あたしは陸と陸の優しさをこれからも守り続けるって!!」
そのとき再び、パッと辺りが光で満たされた。
莉子の髪の間から覗く涙で潤んだ瞳は、いつも以上に綺麗に輝いて見えた。
――そのときだった。
「……おめーは甘ぇんだよ」
「だって、勧誘にはミドリ様の教義を説明しなきゃ、いけないじゃないですか」
二人の男の声がどんどんと近付いてきていた。
片方はどこかで聞いたことがある気がするが……。
「これだけ人がいるんだから、適当に脅して強引にサインさせりゃ良いんだよぉ。……おっ??」
物騒な話をしている男二人は、どうやら僕と莉子に気付いたようだ。
当然、この流れ――僕らに強引にサインを求めるつもりなのだろうが。
現状の僕は、そんなことを考える余裕はなかった。
「あの、莉子……、結構痛いんだけど……」
莉子が両腕で僕の胴体を、物凄い勢いで締め付けていたのである。
全身から怒りが滲み出ている。
僕を締め付けたまま、男二人を睨み付ける。
「……この大切な瞬間に、こいつ等は!!」
声にも半端ない殺意がこもっている……。
ゆらりと立ち上がり、男たちのほうへと向き直る。
……これはヤバイ。
……莉子からは、いつも以上のオーラが立ち昇っている。
「カモ発見~。お前はちょっと見てろ。俺がどうすれば良いか手本を見せ…………」
そこで男は言葉を失った。
やっと気付いたようだ。
世の中には触れてはいけないものが存在することに。
しかし、今の莉子は包丁を持っていない。
きっと一睨みするだけで――。
「ちょ、ちょっと!! あの女、包丁持ってますよー!!」
「えっ!?」
少し離れていた痩せぎすな男の声に、驚きの声を上げたのは僕だった。
莉子の右手には、いつの間にかあのいつもの包丁が握られていたのだ。
しかし、包丁を取り出す様子はなかった。
そもそも包丁を入れておくべきものが手元にはない。
(どこから!? どうやって!?)
困惑している僕をよそに、今度は莉子が左腕を持ち上げた。
そして、その腕を斜め下へと力強く振り下ろした。
下ろした瞬間、その手には刃先が少し短くなった包丁が握られていた。
(……袖か!?)
莉子は浴衣の袖に包丁を仕込んでいたのだ。
二本の包丁を両手に構え、いつもの戦闘態勢になった莉子は微笑を浮かべている。
浴衣姿である分、いつもより怖さが五割増しになっている気がする……。
「陸、あたしに任せて。陸を守る証拠として、こいつ等の首を陸に捧げるわ!!」
ビシッと右手に持った包丁を男へと向ける莉子。
「そんなの絶対要らないから!!」
全く嬉しくない提案を全力で拒否した僕は、すぐさま莉子へと飛びついた。
そんな僕を引きずりながらも、前へと進む莉子。
なんだかいつも以上に嬉しそうな様子だ。
「陸、大丈夫よ。陸のためなら、あたしは何だってできるわ!!」
「それは……僕も、同じだぁぁぁーーー!!!」
彼女の想いに、僕が負けるわけにはいかない。
――負けるわけもない。
僕の可愛いヤンデレ彼女は――。
元気な妹に慕われる優しい姉となり、気高き姉の頼れる相棒となった。
ライオンをも屈伏させる強き意志を持ち、いついかなるときも僕を守る。
あまりにもダメだった僕を大きく変えた。
――言うまでもない。
僕はそんな彼女を愛してやまない。
(終)
手を繋いだまま、屋台で購入したあんず飴やタコせんべいを食べ、射的や型抜きを見て回った。
花火の打ち上げ開始時間までもう少しというとき。
莉子に連れて来られた場所が、屋台が並ぶ通りの裏だった。
人々の喧騒は聞こえてくるが、周りに人の姿はない。
明かりもあまり届かず、頭上では樹木から伸びる多くの枝葉が空を覆っていた。
屋台の屋根も邪魔していて、花火を見るには不向きな場所だった。
しかし――。
「この場所、覚えてる?」
微笑みながら莉子が問いかけてくる。
「もちろん。莉子と一緒に初めて花火を見た場所を忘れるわけがないよ」
僕らは去年の花火をここから見ていた。
ちょっとしたトラブルがあり、人混みを避けて、ここに逃れていたのである。
「そっか……、もうあれから一年か……」
ここで枝葉の隙間から綺麗な花火を見たこと。
莉子から名前を呼ばれ、初めてキスをしたこと。
忘れるわけがない。
「ここで良い?」
「うん……」
手を繋いだままの僕らは、近くの木の根元に腰掛けた。
「そろそろ、時間だね」
「うん……」
花火の打ち上げ開始時間である。
しかし、莉子はあまり嬉しそうではなかった。
「……莉子?」
心配になって名前を呼んだとき、辺りが眩い光で満たされた。
遅れて身体に響く低い音と辺りの歓声が聞こえてくる。
花火の打ち上げが開始されたのである。
しかし、光に照らし出された莉子はやはり浮かない顔をしていた。
「ねえ、陸……」
莉子には似合わない暗く沈んだ声だった。
「陸はあたしと出逢ったこと、あたしと付き合ったこと、後悔してない?」
僕は驚いて、莉子の顔をじっと見た。
「陸がこの一年、必死に頑張っていたっていうのをあたしは知ってる」
莉子は真剣だった。
そして、泣き出しそうな顔でもあった。
「また来年も一緒にここに来たいって、あたしが言ったら、陸に呆れられちゃう……かな?」
「…………」
「もっと陸と一緒に――」
僕はそれ以上を莉子には言わせなかった。
莉子の唇に、自身の唇を重なることによって。
ゆっくりと顔を離して、僕は言った。
「莉子と出逢ったこと、名前を聞いたこと、付き合ったこと、僕は何一つ後悔なんてしていないよ!」
真っ直ぐに莉子の綺麗な目を見て言った。
莉子は少し困惑しているようだった。
何となく僕は理解した。
莉子は不安だったのだ。
一年後にまた花火を一緒に見るという約束を僕はした。
そのために頑張ってきた。
それこそ必死に。
でも、この花火が終わってしまったら、約束は果たされてしまう。
僕らの関係もそこで終わってしまうんじゃないか?
そんなふうに考えてしまったんだろう。
そのため、僕の浴衣を無理に買わないで良いと言ったり、ここ最近は笑顔が多かったりしたのだろう。
莉子なりに色々考えて、悩んでいたのだ。
「……ごめん、不安にさせちゃったな」
莉子はまだ目に涙を貯めている。
その目を強く見つめて言った。
「僕はこの一年で莉子のことをもっと好きになった。これから一年後、きっと僕は莉子のことをもっともっと好きになってる」
確かに、沢山の苦労はした。
でも、それ以上に沢山のものをもらった。
数えきれないほど僕は莉子に救われたし、澪やアオまでも救ってもらった。
莉子は可愛くて綺麗で、尚且つ、強くてカッコイイ。
文句なしの最高の彼女じゃないか。
「だから、約束しよう。また一年後、一緒にここに花火を見に来るって」
そう伝えた瞬間、莉子は僕に飛び付いてきた。
ぎゅーと僕を抱き締めた後、涙を拭いて言った。
「それじゃあ、あたしも約束する! あたしは陸と陸の優しさをこれからも守り続けるって!!」
そのとき再び、パッと辺りが光で満たされた。
莉子の髪の間から覗く涙で潤んだ瞳は、いつも以上に綺麗に輝いて見えた。
――そのときだった。
「……おめーは甘ぇんだよ」
「だって、勧誘にはミドリ様の教義を説明しなきゃ、いけないじゃないですか」
二人の男の声がどんどんと近付いてきていた。
片方はどこかで聞いたことがある気がするが……。
「これだけ人がいるんだから、適当に脅して強引にサインさせりゃ良いんだよぉ。……おっ??」
物騒な話をしている男二人は、どうやら僕と莉子に気付いたようだ。
当然、この流れ――僕らに強引にサインを求めるつもりなのだろうが。
現状の僕は、そんなことを考える余裕はなかった。
「あの、莉子……、結構痛いんだけど……」
莉子が両腕で僕の胴体を、物凄い勢いで締め付けていたのである。
全身から怒りが滲み出ている。
僕を締め付けたまま、男二人を睨み付ける。
「……この大切な瞬間に、こいつ等は!!」
声にも半端ない殺意がこもっている……。
ゆらりと立ち上がり、男たちのほうへと向き直る。
……これはヤバイ。
……莉子からは、いつも以上のオーラが立ち昇っている。
「カモ発見~。お前はちょっと見てろ。俺がどうすれば良いか手本を見せ…………」
そこで男は言葉を失った。
やっと気付いたようだ。
世の中には触れてはいけないものが存在することに。
しかし、今の莉子は包丁を持っていない。
きっと一睨みするだけで――。
「ちょ、ちょっと!! あの女、包丁持ってますよー!!」
「えっ!?」
少し離れていた痩せぎすな男の声に、驚きの声を上げたのは僕だった。
莉子の右手には、いつの間にかあのいつもの包丁が握られていたのだ。
しかし、包丁を取り出す様子はなかった。
そもそも包丁を入れておくべきものが手元にはない。
(どこから!? どうやって!?)
困惑している僕をよそに、今度は莉子が左腕を持ち上げた。
そして、その腕を斜め下へと力強く振り下ろした。
下ろした瞬間、その手には刃先が少し短くなった包丁が握られていた。
(……袖か!?)
莉子は浴衣の袖に包丁を仕込んでいたのだ。
二本の包丁を両手に構え、いつもの戦闘態勢になった莉子は微笑を浮かべている。
浴衣姿である分、いつもより怖さが五割増しになっている気がする……。
「陸、あたしに任せて。陸を守る証拠として、こいつ等の首を陸に捧げるわ!!」
ビシッと右手に持った包丁を男へと向ける莉子。
「そんなの絶対要らないから!!」
全く嬉しくない提案を全力で拒否した僕は、すぐさま莉子へと飛びついた。
そんな僕を引きずりながらも、前へと進む莉子。
なんだかいつも以上に嬉しそうな様子だ。
「陸、大丈夫よ。陸のためなら、あたしは何だってできるわ!!」
「それは……僕も、同じだぁぁぁーーー!!!」
彼女の想いに、僕が負けるわけにはいかない。
――負けるわけもない。
僕の可愛いヤンデレ彼女は――。
元気な妹に慕われる優しい姉となり、気高き姉の頼れる相棒となった。
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