おじさまと私

ぎゅり

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朝比奈響、長門秀次

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残された4人は顔を見合せた。
安堵しきっている。そんなときに朝比奈が切り出した。
「鹿島のお姉さんですよね?バタバタしていて自己紹介が遅れました。朝比奈響(あさひなひびき)です。鹿島の同部屋、4年です」
「鹿島梨子です」
すると秀次も柔らかい声で自己紹介した。
「長門秀次です。学生さんかな?」
朝比奈が答える。
「防大です。確か、長門秀次さんってチェロ奏者ですよね?」
「奏者ってほどではないよ。奏者だったのは昔のことです」
秀次は微笑んだ。
「君たち、用事があるんでしょう?」
彩葉が思い出したようにリュックから封筒を出した。
「はい、姉ちゃん!ありがとう!」
「こんな所で?」
「いいじゃん!今渡さないと忘れそうでさ!おれ、朝比奈さんと服を見に行くけど姉ちゃんも行く?」
「私は帰るよ」
「そっか…」
「鹿島、行こう。お姉さん、長門さん、失礼します」
朝比奈と彩葉が会釈をして構内に入っていった。
「梨子さん、本当に帰るんですか?」
「は、はい…」
「美味しいコーヒーでも飲みませんか?」
「コーヒー?」
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