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リアード=レジェンス 編
天使の皮を被った悪魔
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「知らないなら知らないって、最初から言えよな。
……ったく、俺様に無駄歩きさせやがって」
「えーっと……あの~?」
「何だよ」
「なんだか、さっきまでと態度が違うのは、私の気のせいかしら?」
「………………。
……気のせいだろ」
「いやいやいや、気のせいなんかじゃないから!
なに? その間は。
しかも、一人称まで変わってるじゃない!」
「うるさいなぁ。
第一印象は、人間関係を築く上で大切なんだよ。
お前、そんな事も知らないで今まで生きてきたのか?」
先程までとは、態度から顔つきまでもが違う。
これでは、まるで天使の皮を被った悪魔だ。
「それじゃあ、今まで猫被ってたってこと?!」
「当たり前だろう。
俺様の “天使の笑み” は、初回限定サービスだ」
「な、何よソレ……」
あまりの開き直り具合に私は言葉が出ない。
ということは、今までの天使のような笑顔も、可愛らしい仕草も全て嘘で、
私は、騙されていたということだ。
「はぁー……他の下民に道を聞こうにも、人がいないんじゃなぁ。
ここは “住宅街” とやらではないのか?」
「下民って……今日は、この国のお姫様の誕生日だから……
みんな町の方に出てるんだわ」
言い方に引っかかるものはあったが、道に迷ったのは私の責任だ。
そう思って素直に答えた私に向かって、天使の皮を被った悪魔は舌打ちを返した。
「仕方ない、こうなったら……
おい、お前。俺様をレヴァンヌ城まで連れて行け」
その横柄で人を見下すような態度に、さすがの私も頭にきた。
一言何か言ってやらなければ気が済まない。
「何で私があなたをレヴァンヌ城まで連れて行かないといけないのよ。
第一、それが人に物を頼む態度なわけ?」
「道が解らないなら、城に戻って、道案内を連れて来るしかないだろう。
お前より役に立つ者を、な」
「……一々、嫌味がお上手ね」
「俺様は、リアード=レジェンス様だぞ!
本当なら、お前のような身分の低い町娘が
俺様と言葉を交わす事すら出来ないんだからな」
(町娘って……こんな子が、私の婚約者候補の王子様だなんて……)
「解ったら、さっさと俺様を城まで案内しろ」
「だから、迷子になっちゃったんだから、
どうしようもないじゃない!」
その時、道の向こうから一台に荷馬車が走って来た。
「あっ、おい。あの荷馬車を止めろ。
城まで乗せてってもらうんだ」
「何で私が?
あなたが自分でやりなさいよっ」
「俺様の言うことが聞けないのか」
「なんで私があんたの言うことなんか聞かなきゃいけないのよっ」
私たちが言い合っているうちに、荷馬車は私たちのすぐ傍を通り抜けて行ってしまう。
「おい、馬車が行っちゃうじゃないか。
追い掛けて止めろっ」
「だから何で私が……」
とは言いつつも、このままでは本当に迷子のままどこへも行けなくなってしまう。
私たちは、互いに顔を見合わせると、
慌てて二人で馬車の後を追った。
……ったく、俺様に無駄歩きさせやがって」
「えーっと……あの~?」
「何だよ」
「なんだか、さっきまでと態度が違うのは、私の気のせいかしら?」
「………………。
……気のせいだろ」
「いやいやいや、気のせいなんかじゃないから!
なに? その間は。
しかも、一人称まで変わってるじゃない!」
「うるさいなぁ。
第一印象は、人間関係を築く上で大切なんだよ。
お前、そんな事も知らないで今まで生きてきたのか?」
先程までとは、態度から顔つきまでもが違う。
これでは、まるで天使の皮を被った悪魔だ。
「それじゃあ、今まで猫被ってたってこと?!」
「当たり前だろう。
俺様の “天使の笑み” は、初回限定サービスだ」
「な、何よソレ……」
あまりの開き直り具合に私は言葉が出ない。
ということは、今までの天使のような笑顔も、可愛らしい仕草も全て嘘で、
私は、騙されていたということだ。
「はぁー……他の下民に道を聞こうにも、人がいないんじゃなぁ。
ここは “住宅街” とやらではないのか?」
「下民って……今日は、この国のお姫様の誕生日だから……
みんな町の方に出てるんだわ」
言い方に引っかかるものはあったが、道に迷ったのは私の責任だ。
そう思って素直に答えた私に向かって、天使の皮を被った悪魔は舌打ちを返した。
「仕方ない、こうなったら……
おい、お前。俺様をレヴァンヌ城まで連れて行け」
その横柄で人を見下すような態度に、さすがの私も頭にきた。
一言何か言ってやらなければ気が済まない。
「何で私があなたをレヴァンヌ城まで連れて行かないといけないのよ。
第一、それが人に物を頼む態度なわけ?」
「道が解らないなら、城に戻って、道案内を連れて来るしかないだろう。
お前より役に立つ者を、な」
「……一々、嫌味がお上手ね」
「俺様は、リアード=レジェンス様だぞ!
本当なら、お前のような身分の低い町娘が
俺様と言葉を交わす事すら出来ないんだからな」
(町娘って……こんな子が、私の婚約者候補の王子様だなんて……)
「解ったら、さっさと俺様を城まで案内しろ」
「だから、迷子になっちゃったんだから、
どうしようもないじゃない!」
その時、道の向こうから一台に荷馬車が走って来た。
「あっ、おい。あの荷馬車を止めろ。
城まで乗せてってもらうんだ」
「何で私が?
あなたが自分でやりなさいよっ」
「俺様の言うことが聞けないのか」
「なんで私があんたの言うことなんか聞かなきゃいけないのよっ」
私たちが言い合っているうちに、荷馬車は私たちのすぐ傍を通り抜けて行ってしまう。
「おい、馬車が行っちゃうじゃないか。
追い掛けて止めろっ」
「だから何で私が……」
とは言いつつも、このままでは本当に迷子のままどこへも行けなくなってしまう。
私たちは、互いに顔を見合わせると、
慌てて二人で馬車の後を追った。
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