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エドワルドから見たカナエの話 その3
アシュムルの王都に着いて3日。
視察に出て戻ってくると部屋を出たカナエが予定の時刻になっても戻らず、夜更けになってから動きがあった。
「……3日過ぎても動きが無ければ、予定通り端末を使って戻ってくるそうだ」
カナエを親として慕う聖獣のユキの足に括り付けられた手紙を読んで、ライオネル殿下もビアンキも、またツカサとリドル、カティスもソファに沈みこんだ。
端末を取り上げられていなければ余り心配する必要が無いことは、俺達自身が良く知っている。
ビアンキから回された手紙には傍にはラニーがついているとも書いてあって、そろそろ潜入任務を引退したいとボヤいている部下の顔を思い出す。
そうは言ってもカナエにこう言ったことがあるときに身の安全を任せることが出来る相手はそう多くないため、異動届けは常に俺とライオネル殿下に弾かれている。
本人もまたこれで異動が延期になったことは悟っただろうが……詫びの意味も込めて、しばらく思いを寄せているらしい薬室の者と合わせてセルソに行かせてやろうかと考えて、ツカサに手紙を渡しながら今後のスケジュールを思い返すとまた当面難しいなと思い至った。
アシュムルを無事に出たとして、すぐにモドゥリアから宮に戻って……2ヶ月後であれば大丈夫だろうか。
「さて……カナエの区切った期限は3日。明日、明後日とカナエに関しての情報収集と合わせて、聖女は健在だと示すためにツカサには浄化も行って貰おう。ツカサは私と共に視察と浄化、エドワルドは騎士団、カティスは薬室や救護院で情報を集めてくれ。ビアンキは貴族達から頼む。私達がこの計画を知っていたと知られないようにだけ気を付けてくれ」
手紙には他にも塔の上っぽい、城は見えるけど通常マップの範疇外、ラニー曰く正統な王権復活派の貴族の仕業で間違い無いともあった。
正統なと言ってもエヴェキア王も私生児と言うだけで王家の血は入っているんだが、不思議なものだ。
それに誘拐事件が起きて半日だと言うのにカナエから齎された情報は簡潔明瞭。
そしてその結びは、3日は大人しく待ってるから早く助けに来い、だった。
計画的に誘拐されたことは分かっている。
とは言え心配ではあるが。
「……前もって分かってても、誘拐されるのって怖くないのかな」
リドルの呟きにみんながリドルを見て、そして笑った。
「鼎ならリドルが誘拐された方が怖いって言うよ!」
「自分を囮にするのは慣れてるからな、あいつ」
「いい加減辞めて欲しいけれど、カナエが自分で言う通りカナエは餌として極上品だからね。色々な意味で」
聖女と呼ばれるツカサには厳重な警備がついていて、おいそれと手が出せない、ように見せかけて、カナエには護衛として就いているのは俺だけどしておく。
ツカサに手を出すことは難しいけれど、ツカサと仲の良いことがアシュムルでも知れ渡っているカナエなら警備が薄いと見られる、あえて警戒心が薄いかのように我儘にあちこちうろうろと下町を歩き回るカナエに振り回されて俺のカナエを見失った、と見せかけてわざと誘拐された、と言うのが本当のところだ。
ツカサが誘拐されるより俺が誘拐された方が対象しやすいだとか、大っぴらに浄化して回った方がツカサの力を示しやすいしアシュムルのみんなも助かるだとか、あの中に俺のこと買う予定だった奴が居るなら倍返ししたいだけだとか、最後にはお前らがちゃんと助けてくれたら問題ないとまで言われて最後まで反対していた殿下も折れた。
確かにツカサと並んでカナエがアシュムルの謁見室に姿を見せた際に、あれは……とカナエから目を離さなかった者が数人居た。
あれがマラカイト元公爵が誘拐したカナエを売り払おうとしていた、アシュムルの貴族なのだろう。
キツく見られがちな黒いツリ目も黒い髪も、身内以外には何事にも素っ気なくすぐに興味が無いと口にする薄めの唇も、傍に居るのが俺やビアンキであるが故か相対的に細身に見られがちな身体も、全てが制服欲を唆られると言うのはカナエと関わったことのある者から出た意見でもあるし、正直なところ俺達もそう思う。
そしてカナエ自身も嫌だけどと前置きしつつ、そう見られてるってことだろ?と受け入れている。
ただ、純粋に物理的な力以外ではカナエが俺達の誰よりも強いと言う事実は余り知られて居ないため、カナエが進んで囮になった理由だけれど……心配するなと言う方が難しい話ではあると、カナエにはそろそろ理解して欲しいところだ。
「カナエのことは余り心配しなくてもいい。私としてはカナエの本当の価値を知られたく無いから、早く助けたいけれどね」
「カナエの本当の価値?」
「カナエの持つあの黒髪や黒曜石のような瞳ももちろん何事にも変え難いけれど、それよりも何よりもカナエの持つ知識、発想、それを実現しようとする手腕と言うところだ。リドルも良く知っているだろう?」
「あー……うん」
「聖女であり薬師であることもカナエの魅力の1つではあるけれど、私が特別に好きなのはあの頭の中身だよ。言い返してくる言葉も私には思い付かない発想も、全てが魅力的だからね」
「インシエーメの新アイテムも、カナエの遊びからどれだけ生まれたことか。アサシンごっこって毒薬作って遊んでるのは笑ったけど、そう言うのは俺達には無い発想だからな」
「毒の特性を知れば解毒剤が出来るからって自分で実験しようとしてるの止めたおれのことはもっと褒めてくれていいよ!?」
「それはありがとう」
「軽いな!!!」
もう!とツカサが言うのに皆が笑って、前は作っては端末の中で処理していると聞いた試作品も、今は幾つかはインシエーメに渡しているらしい。
あまりに危険だとカナエが判断したものは相変わらず端末内で破棄していると聞いた。
人の好奇心と言うものは時として身を滅ぼすと知っているカナエだからこそ、自分なりのルールを守っている。
「それにしてもカナエを拉致してどうするつもりなのだろうね?カナエが拉致されたからと私達が言うことを聞くと思っているのかな」
「カナエの誘拐ごときで言うこと聞くなら、その方がカナエに怒られるな」
「言い方はどうかと思うけど同感!今のカナエなら本当に誘拐されたって自分でどうにかするしねー」
本当の意味で身内にしか知られていない事実に、カナエとツカサは神と呼ばれている者の助力を得ることが出来る。
時として神自ら姿を見せに来る程に神に慕われている聖女であり聖騎士であるカナエとツカサは、それでも必要以上に敬われるとこを厭い、ただ俺達や慕う者と居たいと共にあることを選んだ。
選んでくれた。
「カナエは長旅の疲れにより寝込んでいると通達を出そう。同伴者はリドル。カナエの弟子でありうちの子だから、カナエの面倒を見るとしてもこれ以上の適任者は居ないからね。面会は全て断ること、リドルにしても必ず騎士団を通じてのみ接触を取らせること。そもそもリドルに合わせる必要も無いけれど、接触を計って来た中に指示した名前があったらその要件を確認して、どんな様子だったか教えてくれ」
それから幾つか指示を出したライオネル殿下とビアンキは共に他の指示を出してくると1度部屋を出た。
ツカサがリドルの肩を叩いて、カナエなら大丈夫だと笑って見せる。
「リドル、いつも通りにね。俺達が焦ったら余計にカナエが危なくなるかもしれないから」
「うん……大丈夫。俺よりカナエの方が不安だよね」
「いやー……けろっとしてると思うよ?なんせカナエだし」
「カナエだしって」
「いや、ツカサの言う通りだ。初めて誘拐された時も2度目も、助けた後に俺達が格好良くてどきどきしたとビアンキに抱かれていたからな」
「は?」
「これが本当なんだよねー……1回目はまぁ変な薬飲まされてたから仕方ないって言ってたんだけど、2回目はブチ切れてるビアンキとエドワルドが格好良くて我慢出来なかったってライオネルに言って、めっちゃ怒られてた」
「俺には呆れられると思って言わなかったそうだがな」
「まあまあ、モドゥリアに知らせる人が必要だったのも確かだし。起きてきたと思ったら違う意味でへろへろよろよろだったからびっくりしたけど、まあでも鼎なりに怖いのから逃げるのに必要だったのかもって思うと怒れなかったよね」
「しばらくの間、何もしない日は寝付きが悪かったからな」
「やっぱりそうだったんだ。人混み苦手なのに行こうってしょっちゅう買い物行ってたのも多分、怖いから余計に大丈夫って思うためだったんだろうなって思う」
今になって思い返せば、と言う話だけれど、カナエが何を思って、考えて、そうして動いていたのか。
助けになれていたのか、なれているのか。
聞いてみたいなと思うけれど、当人は何処かの塔の上に居るから聞くことが叶わない。
「あっ俺達も一言ずつ手紙書こうよ!そんでユキに運んで貰おう!」
運んでくれる?とツカサがユキに聞くと、任せろと言いたそうに小鳥に姿を変えたユキがぴ!と鳴いた。
戻って来たライオネル殿下とビアンキもそれぞれに一言ずつ小さな紙に書き寄せて、ユキの脚に結び付けるとツカサが結界の足輪に魔力を込めて、ユキが羽ばたいて去る。
「リドル、その……一緒に寝るか?」
不安なのかなかなか眠ろうとしないリドルに声をかけてみたら、ものすごく驚かれた顔で見られた。
いや、その、そんなに驚かなくても良いと思うのだが。
「セルソに居た頃は、カナエとマシュと共に眠ったこともあるだろう?不安が薄れるのなら、と思ったのだが」
決してやましい気持ちなどは無いんだと付け足していたら、ぽかんとしたリドルが吹き出した。
カナエに似たけらけらと言うのが似合う笑い声を上げて、それから首を振る。
「不安は不安だけどカナエにヤキモチ妬かれてどうなるか分かんないから遠慮しとく。でもありがとう、なんかすごい気持ち落ち着いた。そうだよな、だってカナエだし」
そう言うと寝るねとベッドに向かったから、横になるのを見届ける。
ついでに眠りにつくまで見届けようと椅子に座ったら不思議そうな顔をされたけれど、拒否の言葉は出てこないから好きにすることにした。
「そうだ。わざわざ大人しくしていると書いていると言うことは、カナエは手の内を晒す気は無いと言うことだからな……手の内を晒せば、余計に狙われる」
「今でもこんな風なのに?」
「そうだ。殺される方の確率も上がるしな」
カナエの強さが知られるとなれば、送られてくる暗殺者や実行犯に当たる者の腕も上がる。
騎士たちにはある程度カナエの強さが知られているだけに今でも相当に上位の者が送られてくるけれど、宮にはカナエに知られないように遠距離近距離含め多数の見張りをつけているし、あぁ見えてハルマン、ジェフ、マリーも接近戦のスペシャリストだ。
それに弱々しい演技をする必要はないが、危ないと思えば抵抗せずに大人しく助けを待つように頼んである。
もちろん、緊急時以外は。
「……なんでカナエなんだろう、そう言う目に合うの。俺なら良かったのに」
「それはライオネル殿下が1番思っているだろうな。自らも王子と言う身でありながら、伴侶であるカナエの方が狙われる機会が多いんだ」
「自分に来るなら容赦しないのにって感じだよね、ライオネルの考えだと」
「そうだ。カナエに手を出されるとカナエの優しさが仇になる可能性も否定は出来ないからな……とは言え、その優しさがカナエをカナエたらしめるのも事実で、俺達が愛してやまない部分だから難しいな」
「確かに、それでこそカナエって感じ。今回はどう収めるつもりなんだろ」
「判断を下すのがライオネル殿下なら主犯の家は取り潰し、斬首刑や絞首刑も視野に入れた対応になるだろう。何故なら国賓として招いた聖女の……おまけの誘拐だ。命を持って償わせる以外には無いだろう」
「だよね……カナエなら?」
「なにも無かったんだからそこまでしなくてもいいと、
せいぜい領地没収辺りで手を打とうとするだろうな」
「うわ、甘すぎてびっくりする」
「そのお陰でタンザナイト家はライオネル殿下とカナエに忠誠を誓ったんだが、他への示しがつかないと殿下があれこれと調整していた。ただ、前伯爵夫人と原因となったその娘はどうしてとうるさいが、当の前伯爵自身とアルスにレインもカナエに感謝している」
「その夫人と娘は、殺される方がまだマシだって言ってんの?」
「逆だ、未だにどうして自分がこんな目にと言っていると聞いた。カナエやリドル、マシュが俺達に愛されているのが気に食わずに騒ぎ立てているだけだがな」
「俺とマシュにそう思うのは分かるけど、なんでカナエにまで」
「……自分で言うのもなんだが、俺達は3人共家柄も顔も良く、物理的にも権力的にもそれぞれ力があるからな。俺達のうち1人でもフリーで居てみろ、1日に何十通と手紙が届くほどだ」
「あー……そうだった。カナエと居るの当たり前過ぎてつい忘れるけど、俺の家族って聖女と王子と宰相様の息子と栄誉騎士いる騎士団家系の人たちだった」
そうだろう?と同意して笑うと、頷いたリドルがふわと欠伸をしたから毛布をかけ直してやる。
出会った頃はそれこそ幼い男の子で、リドルと話をする時は時には膝をついて目を合わせていたのに、今では立派な青年に変貌した。
俺達のとても大切な家族で、親子と言うほど歳が離れている訳でもないために呼び方に関してはいつも悩むところではあるが俺に取ってリドルは大切な弟であり、弟子であり、息子だと思う。
もう寝ろと目元を覆ってやればおやすみと呟いたリドルが直ぐに寝息を立てた。
そうして1日、2日とカナエの居ない日を過ごして3日目の夜半過ぎ。
夕方に戻っていたユキに決行の時間を伝える手紙を届けて貰っていたから、俺達も最終確認をする。
「では、手筈通りに踏み込むとして、取り逃しのないように頼むよ。あと、無益な殺生は禁止だ」
「それならスリープポーションとパラライズポーションと……あ、サイレンスもあると便利だと思うから持っていくね」
「……リドル、鼎の弟子だなーってすっごい痛感した」
「奇遇だな、ツカサ。俺もだ」
「なんでだよ!こんな時に使ってこそだろ!」
「それはそうなんだけど、それを両手に持ってついてくる気満々なところだよね!流石鼎の弟子!」
「……あ、そっちか。って行くよ!俺だってカナエ助けたいし!」
「カティスがドン引きしてるんだけどね!」
本気で行く気か?と言う顔でカティスがリドルを見ていて、リドルは不満そうな顔をした。
口を尖らせるところまで似ているなと思ってしまう。
「俺はカナエみたいに戦える薬師になりたいから。殺すことは……嫌だけど……」
「それは騎士団の仕事であって、薬師の仕事では無いからね。君たち薬師にまでそんな武器の使い方をさせることになるのは、身を守る時だけで良いし……叶うならそんなことにならない方が良いよ」
「ただし、殺ると決めたら容赦するな。カナエもモンスターには容赦しないのは知ってるだろ?」
「うん。容赦しない。俺の師匠はカナエだけじゃなくてみんなもだから……教えて貰ったことは、守る」
リドルの言葉に皆が頷いて、拳を交わしてから動き始める。
何人かに出くわしたけれど、デバフポーションを投げ付けると覿面に効果を発揮するのが心強い。
パラライズポーションで麻痺させた後にスリープハイポーションで深く眠らせると、武器を取り上げて縄で縛り上げて転がしておく。
難なく最上階まで上り詰めて、カナエの閉じ込められた部屋に辿り着いた。
ラニーが鍵の複製を手に入れていたから、それを使って軟禁部屋と化していた部屋の扉を開く。
当人はと言えば暇そうにベッドに座っていて、手のひらサイズに姿を変えたユキの嘴を撫でていた。
開け放した窓の向こう側には鉄格子が嵌められていて、視界に入るだけでも腹が立つ。
「あ、来た。ビアンキ、足のこれ外してー。あっち、ほとんど壊れかけてるから手で行けると思う」
ベッドに座ったままカナエが差し出した右足には鉄製の足枷が嵌められていて、けれど繋がれた先、壁に打ち込まれた鎖の留め具部分は明らかに腐食していて、カナエ自身も逃げる準備を済ませていたことが分かる。
カナエの足を見ることはあっても、物陰にある石壁に打ち込んだ側までは誰も気付いていなかったのだろう。
「足首から外すのは後でな。怪我させたくねぇし」
「ん、任す」
バコっと繋ぎ目を壊したビアンキにリドルがうわと驚いた声を上げて、カナエが俺達の後ろに居たリドルに気が付いた。
視察に出て戻ってくると部屋を出たカナエが予定の時刻になっても戻らず、夜更けになってから動きがあった。
「……3日過ぎても動きが無ければ、予定通り端末を使って戻ってくるそうだ」
カナエを親として慕う聖獣のユキの足に括り付けられた手紙を読んで、ライオネル殿下もビアンキも、またツカサとリドル、カティスもソファに沈みこんだ。
端末を取り上げられていなければ余り心配する必要が無いことは、俺達自身が良く知っている。
ビアンキから回された手紙には傍にはラニーがついているとも書いてあって、そろそろ潜入任務を引退したいとボヤいている部下の顔を思い出す。
そうは言ってもカナエにこう言ったことがあるときに身の安全を任せることが出来る相手はそう多くないため、異動届けは常に俺とライオネル殿下に弾かれている。
本人もまたこれで異動が延期になったことは悟っただろうが……詫びの意味も込めて、しばらく思いを寄せているらしい薬室の者と合わせてセルソに行かせてやろうかと考えて、ツカサに手紙を渡しながら今後のスケジュールを思い返すとまた当面難しいなと思い至った。
アシュムルを無事に出たとして、すぐにモドゥリアから宮に戻って……2ヶ月後であれば大丈夫だろうか。
「さて……カナエの区切った期限は3日。明日、明後日とカナエに関しての情報収集と合わせて、聖女は健在だと示すためにツカサには浄化も行って貰おう。ツカサは私と共に視察と浄化、エドワルドは騎士団、カティスは薬室や救護院で情報を集めてくれ。ビアンキは貴族達から頼む。私達がこの計画を知っていたと知られないようにだけ気を付けてくれ」
手紙には他にも塔の上っぽい、城は見えるけど通常マップの範疇外、ラニー曰く正統な王権復活派の貴族の仕業で間違い無いともあった。
正統なと言ってもエヴェキア王も私生児と言うだけで王家の血は入っているんだが、不思議なものだ。
それに誘拐事件が起きて半日だと言うのにカナエから齎された情報は簡潔明瞭。
そしてその結びは、3日は大人しく待ってるから早く助けに来い、だった。
計画的に誘拐されたことは分かっている。
とは言え心配ではあるが。
「……前もって分かってても、誘拐されるのって怖くないのかな」
リドルの呟きにみんながリドルを見て、そして笑った。
「鼎ならリドルが誘拐された方が怖いって言うよ!」
「自分を囮にするのは慣れてるからな、あいつ」
「いい加減辞めて欲しいけれど、カナエが自分で言う通りカナエは餌として極上品だからね。色々な意味で」
聖女と呼ばれるツカサには厳重な警備がついていて、おいそれと手が出せない、ように見せかけて、カナエには護衛として就いているのは俺だけどしておく。
ツカサに手を出すことは難しいけれど、ツカサと仲の良いことがアシュムルでも知れ渡っているカナエなら警備が薄いと見られる、あえて警戒心が薄いかのように我儘にあちこちうろうろと下町を歩き回るカナエに振り回されて俺のカナエを見失った、と見せかけてわざと誘拐された、と言うのが本当のところだ。
ツカサが誘拐されるより俺が誘拐された方が対象しやすいだとか、大っぴらに浄化して回った方がツカサの力を示しやすいしアシュムルのみんなも助かるだとか、あの中に俺のこと買う予定だった奴が居るなら倍返ししたいだけだとか、最後にはお前らがちゃんと助けてくれたら問題ないとまで言われて最後まで反対していた殿下も折れた。
確かにツカサと並んでカナエがアシュムルの謁見室に姿を見せた際に、あれは……とカナエから目を離さなかった者が数人居た。
あれがマラカイト元公爵が誘拐したカナエを売り払おうとしていた、アシュムルの貴族なのだろう。
キツく見られがちな黒いツリ目も黒い髪も、身内以外には何事にも素っ気なくすぐに興味が無いと口にする薄めの唇も、傍に居るのが俺やビアンキであるが故か相対的に細身に見られがちな身体も、全てが制服欲を唆られると言うのはカナエと関わったことのある者から出た意見でもあるし、正直なところ俺達もそう思う。
そしてカナエ自身も嫌だけどと前置きしつつ、そう見られてるってことだろ?と受け入れている。
ただ、純粋に物理的な力以外ではカナエが俺達の誰よりも強いと言う事実は余り知られて居ないため、カナエが進んで囮になった理由だけれど……心配するなと言う方が難しい話ではあると、カナエにはそろそろ理解して欲しいところだ。
「カナエのことは余り心配しなくてもいい。私としてはカナエの本当の価値を知られたく無いから、早く助けたいけれどね」
「カナエの本当の価値?」
「カナエの持つあの黒髪や黒曜石のような瞳ももちろん何事にも変え難いけれど、それよりも何よりもカナエの持つ知識、発想、それを実現しようとする手腕と言うところだ。リドルも良く知っているだろう?」
「あー……うん」
「聖女であり薬師であることもカナエの魅力の1つではあるけれど、私が特別に好きなのはあの頭の中身だよ。言い返してくる言葉も私には思い付かない発想も、全てが魅力的だからね」
「インシエーメの新アイテムも、カナエの遊びからどれだけ生まれたことか。アサシンごっこって毒薬作って遊んでるのは笑ったけど、そう言うのは俺達には無い発想だからな」
「毒の特性を知れば解毒剤が出来るからって自分で実験しようとしてるの止めたおれのことはもっと褒めてくれていいよ!?」
「それはありがとう」
「軽いな!!!」
もう!とツカサが言うのに皆が笑って、前は作っては端末の中で処理していると聞いた試作品も、今は幾つかはインシエーメに渡しているらしい。
あまりに危険だとカナエが判断したものは相変わらず端末内で破棄していると聞いた。
人の好奇心と言うものは時として身を滅ぼすと知っているカナエだからこそ、自分なりのルールを守っている。
「それにしてもカナエを拉致してどうするつもりなのだろうね?カナエが拉致されたからと私達が言うことを聞くと思っているのかな」
「カナエの誘拐ごときで言うこと聞くなら、その方がカナエに怒られるな」
「言い方はどうかと思うけど同感!今のカナエなら本当に誘拐されたって自分でどうにかするしねー」
本当の意味で身内にしか知られていない事実に、カナエとツカサは神と呼ばれている者の助力を得ることが出来る。
時として神自ら姿を見せに来る程に神に慕われている聖女であり聖騎士であるカナエとツカサは、それでも必要以上に敬われるとこを厭い、ただ俺達や慕う者と居たいと共にあることを選んだ。
選んでくれた。
「カナエは長旅の疲れにより寝込んでいると通達を出そう。同伴者はリドル。カナエの弟子でありうちの子だから、カナエの面倒を見るとしてもこれ以上の適任者は居ないからね。面会は全て断ること、リドルにしても必ず騎士団を通じてのみ接触を取らせること。そもそもリドルに合わせる必要も無いけれど、接触を計って来た中に指示した名前があったらその要件を確認して、どんな様子だったか教えてくれ」
それから幾つか指示を出したライオネル殿下とビアンキは共に他の指示を出してくると1度部屋を出た。
ツカサがリドルの肩を叩いて、カナエなら大丈夫だと笑って見せる。
「リドル、いつも通りにね。俺達が焦ったら余計にカナエが危なくなるかもしれないから」
「うん……大丈夫。俺よりカナエの方が不安だよね」
「いやー……けろっとしてると思うよ?なんせカナエだし」
「カナエだしって」
「いや、ツカサの言う通りだ。初めて誘拐された時も2度目も、助けた後に俺達が格好良くてどきどきしたとビアンキに抱かれていたからな」
「は?」
「これが本当なんだよねー……1回目はまぁ変な薬飲まされてたから仕方ないって言ってたんだけど、2回目はブチ切れてるビアンキとエドワルドが格好良くて我慢出来なかったってライオネルに言って、めっちゃ怒られてた」
「俺には呆れられると思って言わなかったそうだがな」
「まあまあ、モドゥリアに知らせる人が必要だったのも確かだし。起きてきたと思ったら違う意味でへろへろよろよろだったからびっくりしたけど、まあでも鼎なりに怖いのから逃げるのに必要だったのかもって思うと怒れなかったよね」
「しばらくの間、何もしない日は寝付きが悪かったからな」
「やっぱりそうだったんだ。人混み苦手なのに行こうってしょっちゅう買い物行ってたのも多分、怖いから余計に大丈夫って思うためだったんだろうなって思う」
今になって思い返せば、と言う話だけれど、カナエが何を思って、考えて、そうして動いていたのか。
助けになれていたのか、なれているのか。
聞いてみたいなと思うけれど、当人は何処かの塔の上に居るから聞くことが叶わない。
「あっ俺達も一言ずつ手紙書こうよ!そんでユキに運んで貰おう!」
運んでくれる?とツカサがユキに聞くと、任せろと言いたそうに小鳥に姿を変えたユキがぴ!と鳴いた。
戻って来たライオネル殿下とビアンキもそれぞれに一言ずつ小さな紙に書き寄せて、ユキの脚に結び付けるとツカサが結界の足輪に魔力を込めて、ユキが羽ばたいて去る。
「リドル、その……一緒に寝るか?」
不安なのかなかなか眠ろうとしないリドルに声をかけてみたら、ものすごく驚かれた顔で見られた。
いや、その、そんなに驚かなくても良いと思うのだが。
「セルソに居た頃は、カナエとマシュと共に眠ったこともあるだろう?不安が薄れるのなら、と思ったのだが」
決してやましい気持ちなどは無いんだと付け足していたら、ぽかんとしたリドルが吹き出した。
カナエに似たけらけらと言うのが似合う笑い声を上げて、それから首を振る。
「不安は不安だけどカナエにヤキモチ妬かれてどうなるか分かんないから遠慮しとく。でもありがとう、なんかすごい気持ち落ち着いた。そうだよな、だってカナエだし」
そう言うと寝るねとベッドに向かったから、横になるのを見届ける。
ついでに眠りにつくまで見届けようと椅子に座ったら不思議そうな顔をされたけれど、拒否の言葉は出てこないから好きにすることにした。
「そうだ。わざわざ大人しくしていると書いていると言うことは、カナエは手の内を晒す気は無いと言うことだからな……手の内を晒せば、余計に狙われる」
「今でもこんな風なのに?」
「そうだ。殺される方の確率も上がるしな」
カナエの強さが知られるとなれば、送られてくる暗殺者や実行犯に当たる者の腕も上がる。
騎士たちにはある程度カナエの強さが知られているだけに今でも相当に上位の者が送られてくるけれど、宮にはカナエに知られないように遠距離近距離含め多数の見張りをつけているし、あぁ見えてハルマン、ジェフ、マリーも接近戦のスペシャリストだ。
それに弱々しい演技をする必要はないが、危ないと思えば抵抗せずに大人しく助けを待つように頼んである。
もちろん、緊急時以外は。
「……なんでカナエなんだろう、そう言う目に合うの。俺なら良かったのに」
「それはライオネル殿下が1番思っているだろうな。自らも王子と言う身でありながら、伴侶であるカナエの方が狙われる機会が多いんだ」
「自分に来るなら容赦しないのにって感じだよね、ライオネルの考えだと」
「そうだ。カナエに手を出されるとカナエの優しさが仇になる可能性も否定は出来ないからな……とは言え、その優しさがカナエをカナエたらしめるのも事実で、俺達が愛してやまない部分だから難しいな」
「確かに、それでこそカナエって感じ。今回はどう収めるつもりなんだろ」
「判断を下すのがライオネル殿下なら主犯の家は取り潰し、斬首刑や絞首刑も視野に入れた対応になるだろう。何故なら国賓として招いた聖女の……おまけの誘拐だ。命を持って償わせる以外には無いだろう」
「だよね……カナエなら?」
「なにも無かったんだからそこまでしなくてもいいと、
せいぜい領地没収辺りで手を打とうとするだろうな」
「うわ、甘すぎてびっくりする」
「そのお陰でタンザナイト家はライオネル殿下とカナエに忠誠を誓ったんだが、他への示しがつかないと殿下があれこれと調整していた。ただ、前伯爵夫人と原因となったその娘はどうしてとうるさいが、当の前伯爵自身とアルスにレインもカナエに感謝している」
「その夫人と娘は、殺される方がまだマシだって言ってんの?」
「逆だ、未だにどうして自分がこんな目にと言っていると聞いた。カナエやリドル、マシュが俺達に愛されているのが気に食わずに騒ぎ立てているだけだがな」
「俺とマシュにそう思うのは分かるけど、なんでカナエにまで」
「……自分で言うのもなんだが、俺達は3人共家柄も顔も良く、物理的にも権力的にもそれぞれ力があるからな。俺達のうち1人でもフリーで居てみろ、1日に何十通と手紙が届くほどだ」
「あー……そうだった。カナエと居るの当たり前過ぎてつい忘れるけど、俺の家族って聖女と王子と宰相様の息子と栄誉騎士いる騎士団家系の人たちだった」
そうだろう?と同意して笑うと、頷いたリドルがふわと欠伸をしたから毛布をかけ直してやる。
出会った頃はそれこそ幼い男の子で、リドルと話をする時は時には膝をついて目を合わせていたのに、今では立派な青年に変貌した。
俺達のとても大切な家族で、親子と言うほど歳が離れている訳でもないために呼び方に関してはいつも悩むところではあるが俺に取ってリドルは大切な弟であり、弟子であり、息子だと思う。
もう寝ろと目元を覆ってやればおやすみと呟いたリドルが直ぐに寝息を立てた。
そうして1日、2日とカナエの居ない日を過ごして3日目の夜半過ぎ。
夕方に戻っていたユキに決行の時間を伝える手紙を届けて貰っていたから、俺達も最終確認をする。
「では、手筈通りに踏み込むとして、取り逃しのないように頼むよ。あと、無益な殺生は禁止だ」
「それならスリープポーションとパラライズポーションと……あ、サイレンスもあると便利だと思うから持っていくね」
「……リドル、鼎の弟子だなーってすっごい痛感した」
「奇遇だな、ツカサ。俺もだ」
「なんでだよ!こんな時に使ってこそだろ!」
「それはそうなんだけど、それを両手に持ってついてくる気満々なところだよね!流石鼎の弟子!」
「……あ、そっちか。って行くよ!俺だってカナエ助けたいし!」
「カティスがドン引きしてるんだけどね!」
本気で行く気か?と言う顔でカティスがリドルを見ていて、リドルは不満そうな顔をした。
口を尖らせるところまで似ているなと思ってしまう。
「俺はカナエみたいに戦える薬師になりたいから。殺すことは……嫌だけど……」
「それは騎士団の仕事であって、薬師の仕事では無いからね。君たち薬師にまでそんな武器の使い方をさせることになるのは、身を守る時だけで良いし……叶うならそんなことにならない方が良いよ」
「ただし、殺ると決めたら容赦するな。カナエもモンスターには容赦しないのは知ってるだろ?」
「うん。容赦しない。俺の師匠はカナエだけじゃなくてみんなもだから……教えて貰ったことは、守る」
リドルの言葉に皆が頷いて、拳を交わしてから動き始める。
何人かに出くわしたけれど、デバフポーションを投げ付けると覿面に効果を発揮するのが心強い。
パラライズポーションで麻痺させた後にスリープハイポーションで深く眠らせると、武器を取り上げて縄で縛り上げて転がしておく。
難なく最上階まで上り詰めて、カナエの閉じ込められた部屋に辿り着いた。
ラニーが鍵の複製を手に入れていたから、それを使って軟禁部屋と化していた部屋の扉を開く。
当人はと言えば暇そうにベッドに座っていて、手のひらサイズに姿を変えたユキの嘴を撫でていた。
開け放した窓の向こう側には鉄格子が嵌められていて、視界に入るだけでも腹が立つ。
「あ、来た。ビアンキ、足のこれ外してー。あっち、ほとんど壊れかけてるから手で行けると思う」
ベッドに座ったままカナエが差し出した右足には鉄製の足枷が嵌められていて、けれど繋がれた先、壁に打ち込まれた鎖の留め具部分は明らかに腐食していて、カナエ自身も逃げる準備を済ませていたことが分かる。
カナエの足を見ることはあっても、物陰にある石壁に打ち込んだ側までは誰も気付いていなかったのだろう。
「足首から外すのは後でな。怪我させたくねぇし」
「ん、任す」
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