2 / 14
本編
2
「勉強したのは、わかったんだけど……さっき言ったことより前に言うことがあるよな……?」
そうニコラスが告げると、ルーカスは、はっ!とした表情になりそれからすぐに困った様に眉を下げた。
「……すまない、自分である程度拡張は済ませているのだが、僕のおまんこはまだおちんぽが欲しくてうずうずしちゃわないんだ」
「……」
「子宮も作ってはみたんだが、やはりおちんぽを入れなければ完成されないようで」
「え!!!!子宮作った!?」
「あぁ、子宮が無ければ孕めないだろう?卵巣も抜かりない」
(このチート野郎……!抜かりない、キリッじゃねぇよ!)
「……~っ!!ほんっっと……体調は?大丈夫なのか……?」
「体調は、今のところ問題ない。……すまない、君に迷惑はかけない、ただ……君の子どもが欲しくて……」
「っ、だからっ!それはなんでなんだよ」
「……!そ、っれは……」
もうここまで来れば、分かりそうなものだが、ニコラスは、どうしてもルーカスの口から聞きたかった。
この国では同性婚も珍しくないため、子宮を作る男性もいる。だがそれは、婚姻後の話だ。
しかし、この目の前の男は、婚約者でもないニコラスの子どもが欲しいために、自分の体を改造したのだ。
ツヤツヤの漆黒の髪。好奇心でキラキラ輝く金色の瞳。無表情に見えて機嫌のいい時や、好物を前にすると少し上がる口角。その好物が子どもが好きそうな食べ物ばかりな所。グリーンピースは嫌いで、最後に少しずつ丸飲みしている所。もふもふの動物が好きで、飼いたいけど、死んでしまったら悲しい、と泣きそうになる所。
傷つけてしまうかも、と人と関わるのを躊躇う臆病で繊細な所、そのくせ変なところで大胆になる所。
……あぁ、そうだ。
卒業したら、もうこんなに気安い関係ではいれない、と無意識に蓋をしていたらしい心は、少しのヒビでこんなにも溢れてしまった。
諦めなくていい、捨てなくてもいいのだ。
「……俺腹括ったからさ」
「ニコラス……?」
「ルーカス。俺のことどう思ってる?どうして俺の子どもが欲しいんだ?」
「……そ、れは……」
「言って、ルーカス。お願い」
「……好きだ、君が……ニコラスが好きなんだ……でも君は僕なんか好きにならないだろう?だからせめて子どもを産む事を容認してくれないか……?君に迷惑はかけない。認知しろとも、養育費を請求するつもりもない……だからっ」
「はぁ……」
「……っ、ニコラス」
ニコラスのため息を聞いたルーカスは、やっぱりこんな勝手な願いは聞き入れて貰えないのだろう、と泣きそうになった。だが、今泣く訳にはいかない。もとより難題を吹っかけているのだから、ここで泣いてしまってニコラスの心労を増やす訳にはいかない。
「やっぱ飛躍しすぎだよ、ルーカスは」
「……」
「一人で思い詰める前に、言って欲しかった」
「……ニコラス」
「俺の気持ち、勝手に決めつけんな」
「……っ、すまない」
「……好きだ」
「……え?」
「好きだよ、ルーカス」
「そ、れは……?」
家族以外に愛してくれる人なんていない、と諦めきっていたルーカスはニコラスが何を言っているのかよく分からなかった。
公爵家の生まれで、魔力量が多すぎる上、多属性持ち。その上無口で無表情なルーカスは、今まで身内以外に親しい人間などいなかった。
人々は、身分とルーカス自身に怯え、避けていく。
何度もルームメイトが変わったし、学園に通っているからといって、気安く話せる人間などいない。
でも、ニコラスは違う。
いつも色んな人に囲まれて、ニコニコと笑っている。勉強だって、剣術だってそつなくこなすし、教師陣からの覚えもいい。
自分なんかとは全然違う。
だから、羨ましかった。
ニコラスがではなく、ニコラスに学園でも気軽に話しかけられる人間が。
ベタベタとニコラスの腕に絡みついて、柔らかな乳房を押し付けている女共が。
独り占めしたかった。
その笑顔も声も、全部自分のものになればいい、そう思って、どうにか部屋に閉じ込められないかと考えた。
足の腱を切れば、歩けなくなるし、そうなればずっと付きっきりで介護が出来ると思った。
でも、だめだ。
そんな事をしてしまったら、ニコラスの良さはきっと失われてしまう。
どんなニコラスでも大好きだけれど、僕なんかのために一生を棒に振らせてはいけない。
僕なんかみたいな奴は、ニコラスの近くにいてはいけない。
そう思ったルーカスは、せめてひっそりとニコラスの子どもを育てていきたかった。
そう思っていたのに。
目の前のニコラスは今、なんと言ったのだろうか。
顔を覗き込まれて、黄緑色の瞳と目が合う。
榛色の髪がさらりと首筋に流れていた。
「そ、れは……」
「うん」
「……ザーメンが口から溢れるぐらい、ぱんぱんして僕の雄子宮を孕ませてくれるということなのだろうか」
「普通の人間はそんなに出せないな?」
あなたにおすすめの小説
また恋人に振られたので酒に飲まれていたらゴツい騎士に求婚していた件
月衣
BL
また恋人に振られた魔導省のエリート官吏アルヴィス。失恋のショックで酒に溺れた彼は勢いのまま酒場に現れた屈強な王宮騎士ガラティスに求婚してしまう。
翌朝すべての記憶を保持したまま絶望するアルヴィスだったが当のガラティスはなぜか本気だった。
「安心しろ。俺は誠実な男だ。一度決めたことは覆さない」
逃げようとするエリート魔導師と絶対に逃がさない最強騎士
貢ぎ体質な男が捕まる強制恋愛コメディのつもりです!!
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
春を拒む【完結】
璃々丸
BL
日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。
「ケイト君を解放してあげてください!」
大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。
ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。
環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』
そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。
オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。
不定期更新になります。