「刀には竜、花は咲かず」~孤独なおっさん武術家と毒舌アイドルの異世界タッグ~

アサバハヤト

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第一章 竜の巻 ようこそ、異世界へ。

1-18 支配者

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 俺とロキールの戦場は、燃え盛る飛行機残骸が照らすスクラップ置き場の只中だ。錆びた鉄骨が月光に鈍く光り、ガソリンの焦げる匂いが鼻を刺す。血と汗が土に染み、焼けた肉の臭いが喉に絡む。遠くで残骸の爆ぜる音が響き、黒煙が空を汚す。

 盗賊たちが周囲を取り囲み、槍を手に顔を歪めて驚愕する。「まさかあいつ、若頭と互角するなんて!」と一人が叫び、仲間が唾を吐いて応じる。

 怪獣たちが鋭い爪を土に擦り、不安げにそわそわと唸る。牙が月光に光り、低い唸り声が戦場に重なる。

 戦場の前方で、瑚依が膝を抱えて座り込み、血と涙に濡れた顔を上げる。目を潤ませ、俺を凝視する。歯を食いしばり、息を詰まらせる。監視する盗賊が槍を突き立て、彼女を囲む輪を固める。
 
 俺は和泉守兼定を両手で握り直し、腰を沈めて八卦掌の扣歩で踏み込む。空手の突きを刀に宿し、柄を右拳で固め、ロキールの胸を狙って突き出す。刀身が月光を切り裂き、風が耳元で唸る。彼が右のマチェットを振り下ろし、刃をガキンと弾く。火花が飛び散り、衝撃が腕を震わせる。俺は擺歩で左に体を捻り、詠春拳の連続斬りを刀に込めて振り上げる。ロキールの胴を乱打する連撃が革鎧を切り裂き、肉が裂ける湿った音が響く。血が噴き出し、熱い滴が俺の顔を濡らし、土に赤い筋を引く。

 「ちっ!」ロキールが舌打ちし、左手のマチェットを俺の首へ突き上げる。刃が革の臭いを帯びて迫る。俺は単換掌の術理で斜め後方に退歩しつつ、右膝を上げ、ムエタイの膝蹴りを彼の左膝裏に叩き込む。ガクン! 痛みが走り、彼の膝が揺れる。刀を斜めに構え、マチェットを擦り上げる。ガギィン! 金属が擦れ、耳を劈く軋み音が響く。血が彼の左腕から滴り、土に黒い染みを広げる。連歩で側面に回り込み、左手を地面に突き、砂を掴んで投げつける。砂粒がロキールの目を襲い、彼が顔を歪めて目を閉じる。隙を突き、俺は遊撃戦の渦中で右足を振り上げ、彼の右膝を狙う。鈍い衝撃音が響き、彼が膝を震わせて地面に沈む。

 ロキールが目を擦り、右のマチェットを俺の腹へ振り抜く。血走った目が殺意を放つ。俺は体を捻り、刀で受け止める。ガシャン! 刃が軋み、熱い衝撃が腕を貫く。俺は腰の後ろから盗賊のクロスボウ矢を抜き、素早く右太ももへ突き刺す。矢が肉を貫き、骨に当たる感触が手に伝わる。血が噴き出し、彼の足を濡らす。「うがっ!」と彼が呻き、体が前のめりに傾く。俺は超人的な力を刀に込め、連歩で側面から絡め取るように振り下ろす。刀身がロキールの右腕を狙い、革鎧ごと肉を裂く。肉が裂ける音が響き、血が彼の顔を濡らし、土に赤黒い染みを広げる。

 互角に見えた戦いが、俺の異世界の力が徐々に上回り始める。息が荒く、汗と血が額を濡らし、鉄と血の臭いが喉に絡む。

 ロキールが後退し、目が血走る。

 「認めてやる。お前は強い。だが!」彼が左手のマチェットを俺へ投げ飛ばす。

 刃が空を切り、月光に鈍く光る。俺は左腕を上げて払い、革ジャンが裂けて血が滲む。刀を右手に握り、彼に刃先を突きつける。

 次の瞬間、ロキールがリボルバーを抜き、瑚依を狙う。銃口が彼女の額に定まる。瑚依が凍り付き、唇が震えて声にならない呻きを漏らす。瞳が恐怖で濡れ、膝がガクガクと崩れかける。

 俺は土を蹴り、瑚依の前に体を滑り込ませる。銃声が夜を裂き、弾丸が俺の腹を貫く。焼けるような衝撃が内臓を抉り、血が噴き出して土を濡らす。和泉守兼定が手から滑り落ち、地面に突き刺さる。両膝が崩れ、腹を抑える左手が血まみれになる。鮮紅が指の間から溢れ、熱い滴が土に落ちる。視界が揺れ、頭がクラクラする。

 「お前の弱点も明らかだ!」ロキールが哄笑を上げ、血と汗に濡れた顔を歪める。

 彼が近づき、俺の腹を革靴で蹴りつける。鈍い衝撃が骨に響き、血が口から溢れる。

 「調子乗るな平和ボケが!」もう一蹴りで肋骨が軋み、息が詰まる。

 「所詮お前もこの程度だ!」さらに蹴り上げ、土に血が飛び散る。

 「ほかの空人と同じく、善人ツラして自己満足なアホが!」彼が俺の胸を力強く蹴り、肋骨が軋む。

 「こっちが!」一蹴りで腹に熱い痛みが走り、血が土に噴き出す。

 「毎日!」膝が俺の肩を叩き、骨が軋んで肩が下がる。
 
 「命のやり取り!」顔に踵が当たり、鼻血が噴き出して土に混じる。

 「してんだよ!」最後に腹を踏み潰し、内臓が圧迫されて吐き気が襲う。

 盗賊たちの歓声が野獣の咆哮のように響き、瑚依の絶叫が混じる。

 「いやあああああああ!」彼女の声が喉を裂き、涙と血が土に滴る。意識が朦朧とし、肺が焼けるように熱い。耳鳴りが世界を埋め、視界が赤黒く染まる。
 
 まだ同じか。

 これだけ鍛えてきたのに、まだ足りねえまま終わるのか?

 強さこそ正義だ。圧倒的な力の前じゃ、信念も正義もくそくらえだ。

 野良猫を守れなかった。外祖父と外祖母、母も守れなかった。幸せを握り潰した。

 夢を守れなかった。妹を守れなかった。ミミを置き去りにした。Kを見殺しにした。

 ハイジャッカーを倒しても、黒竜の理不尽な力に、乗客たちを守れなかった。

 俺は、何のために生きてきたんだ?

 その時、心の奥から別の声が響く。低く、冷たく、俺じゃない声だ。

 「支配者になるためだ。」

 「すべてを支配するためだ。」

 「認めろ。お前はそういう人間だ。」

 「あの瑚依って小娘を押し倒して、めちゃくちゃになるまで犯してやりたいだろ。」

 ......

 頭に幻が広がる。

 全裸の瑚依が俺に縋り、汗と涙で濡れた肌が擦れる。彼女の熱い体が俺の胸に押し付けられ、柔らかい乳房が潰れて震える。

 「やめて! お願い!」と彼女の絶叫が耳に突き刺さり、背中に爪が食い込んで熱い痛みが走る。俺の手が彼女の腰を掴み、柔肉が指に沈む感触がリアルすぎる。

 彼女の首筋に息を吹きかけると、肌が鳥肌立ち、甘い汗の臭いが鼻を焼く。

 「痛い! 抜いて! いやああ!」と瑚依が叫び、体をよじって逃れようとする。俺の硬い欲望が彼女の内腿を押し開き、熱い粘膜が俺を締め付ける。

 「あ、あ、あ、硬い、そこダメ! 死んじゃう!」彼女の声が喉を裂き、涙と唾液が俺の胸に滴る。俺の指が彼女の尻に食い込み、汗と血の混じった臭いが肺に絡む。

 幻覚のはずなのに、彼女の震える太ももが俺の腰に擦れ、湿った熱が俺を包む。吐き気が喉を締め上げるほど鮮明だ。俺の息が荒くなり、彼女の首筋を焼く熱が現実のように感じる。

 ......
 
 違う! 俺はそんなクズ野郎じゃねえ!

 「悪党になる覚悟で、閻魔になったんだろ。」

 「今さら何善人のふりしてんだ。」

 違う! 俺はすべての悪党と立ち向かうために、悪党になったと決めただけだ。手段と目的を混同しちゃいけねえ!

 「認めろ! お前は力が欲しい!」

 目の前で、盗賊たちが獰猛な笑みを浮かべてゲラゲラと下品な笑い声を上げた。瑚依は目からぽろぽろ涙を流し、鼻水を滴らせ、無様な姿になった。

 そして、その顔が少しずつ変わり、Kの姿に重なる。

 それはこの10年間何度も夢に見てきたKではない。ニュースで聞いた、かつて親友だったJ氏に侵されたKの悲惨な姿——首に紫の絞め跡が残り、冷たくなった体が汚され、土に横たわる、見たこともない想像の中だけの亡骸だった。

 やめろ! やめるんだ!

 「すべてを支配し、気に入らねえ奴を破壊する力が。」

 違う! 俺は! そんなつもりじゃ!

 「野望と向き合え。」

 黙れ。

 「己と向き合え。」

 黙れ!

 「俺の力を、受け入れろ!」

 黙らないと、黙らせてやる!

 その瞬間、体に異変が走る。全身の傷が熱くなり、血が脈打つ。奥底の何かが目覚め、火山が噴火するような激しい怒りが弾ける。一瞬で脳を襲い、思考が真っ白に焼ける。

 視界が赤く染まり、心臓が耳元で鳴り響く。瑚依の泣き声も盗賊の歓声も消え、俺の中に燃える何かだけが残る。
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