87 / 148
一章
楔(2)
しおりを挟む
ザァァァァアアアア――――
ぴちゃ ぴちゃ
――――ァァァァアアアア
ずぶっ ずぶっ
インナースーツ越しに打ち付ける、雨。
生地に染み入ってくるその冷たい水は、わたしの身体から熱を奪う。
なにも覆うもののない素足は、濡れた地面をこすり、湿った音を立てる。
小石を踏むたびに、刺すように痛い。
水溜りに足をつけるたび、灼けるように冷たい。
痛くて、冷たくて、痺れて。
すぐに……なにもわからなくなる。
(……あ)
そういえば、フーガくん、さいしょ、裸足だったよね。
この世界ではじめてあったとき、かれはいまの自分と同じ格好をしていた。
そうして同じように、この樹林帯を歩いていた。
足裏が気になるのか、ちょっと歩き方が変だった。
歩く速さも、途中からちょっぴり遅くなっていた。
かれと同じ体験をしていると思うと、少し心が暖かくなる。
暖まる心と、冷えていく身体。
痺れていく手足。
(……う)
……つめたい。
ちょっとさむい、かも。
でも、そんなに長く歩くわけじゃないから。
だから、だいじょうぶ。
わたしは、あるける。
そこまで、たどりつくことができる。
さまようように、歩き続ける。
迷うことはない。
まっすぐ、まっすぐ。
歩き続けるだけだから。
*────
(……ふーが、くん)
いっぱい、歩いたなぁ。
フーガくんと再会して。川から拠点へ。
拠点からマキノさんのところへ。
マキノさんのところから拠点へ。
拠点から北の倒木へ。北の倒木から拠点へ。
拠点から川へ。川から南へ。
モンターナさんのところから南の岩壁へ。
岩壁を登って、岩壁の果てへ。
岩壁の果てから、岩壁の下へ。
岩壁の下から岩場へ。岩場から拠点へ。
拠点から川へ。川から北へ。
セドナの中央へ。セドナの中央からまた拠点へ。
そうして――それだけだ。
わたしがあるいた道のりは、それだけ。
そのすべてが、フーガくんと歩いた道のり。
フーガくんと過ごした、しあわせな時間。
(……手、大きかった、なぁ――)
ずっと不思議に思っていることがある。
わたしはそんなにわかりやすい人間だろうか。
そんなことはないと思う。むしろ逆だと。
どちらかといえば、陰気で、根暗で、口下手で。
感情表現も下手で、想いもうまく伝えられなくて。
それなのに。
『ちょっと首まわりが撚れてるかも。――任せてみ』
なんで。
『カノンは、今回の探索でなにか、したいこととかある?』
どうして。
『――いいぞ』
なんで、フーガくんは。
わたしのして欲しいことが、わかるんだろう。
わたしのして欲しいことを、してくれるんだろう。
わたしはそんなにいやしい顔をしていたのかな。
ねだるような顔を、してしまっていたのかな。
4年前の、あの日と同じように。
彼におねだりを、してしまっていたのかな。
(――っちがう。……ちが、う)
ちがうんだ。
わたしは、もう、ちがうはずだ。
変わらなかったけど。
変われなかったけど。
でも、もう、わかってはいるはずなんだ。
4年前のあの日、わたしがねだったものと。
この世界で、わたしがねだっていたものが。
同じでないということに。
ちがうということに。
わたしは、そのちがいを知って、この世界に来た。
それらは一緒にしてはいけないのだと知って。
今度こそ、まちがえることはないと誓って、フーガくんに手紙を出した。
4年前のあやまちを、やりなおすために。
離れてしまった彼との距離を、もう一度、縮める。
あやまちの、やりなおしの機会を、もらうために。
でも。
でも――
*────
どれくらい歩いたのか。
やがてそれは、わたしの前に姿を現した。
(……。)
まるで暗い色のカーテンのように前方を閉ざす、岩の壁。
拠点の真南にある、花崗岩の岩場。
以前、フーガくんと散策した場所
トンボみたいな生き物に出逢ったり、花崗岩を拾ったりした場所。
そして―― それだけでは、ない。
暗い色に染まる岩壁の、わたしの目線より高いところにある、段差の上。
そこに、黒より黒い穴が、開いている。
そこに、亀裂が空いている。
岩壁を縦に裂くようにして開く、大きな亀裂が。
(……。)
わたしは、かつて、その亀裂を覗き込んだ。
そして、その亀裂の先にあるものを知った。
あのとき、わたしはとまることができた。
フーガくんがいたから。
フーガくんのくれたケープが、わたしを引き留めてくれたから。
あの岩壁の果ての向こう側に行きかけたときも。
かれは、わたしの手を引いてくれた。
致命的な過ちを犯そうとしていたわたしを、とめてくれた。
あの向こう側に行っては行けなかった。
死に戻りしてはいけなかった。
だって、そんなことをしたら。
かれがくれたケープを、永遠に失ってしまうだろう。
それは、ゆるさない。
わたしがわたしを、ゆるさない。
首元に手をやる。
(……。)
そこには、ケープはない。
ここには、フーガくんはいない。
(……っ)
だから、いいんだ。
もう、わたしは、とまらなくていい。
亀裂への入り口がある、岩場の上に手を掛け、無理やりに這い上がる。
擦れた膝に鈍い痛みが走ったが、どうでもいい。
こんな身体なんて、どうでもいい。
わたしにとっては道具でしかない。
わたしの愉しみのための、道具でしか。
暗い亀裂がある。
中は、漆黒の闇。
いまは夜目をつけてきていない。
そもそも、いまは深夜、大雨、星明りさえ射さない夜闇。
この状況では、夜目があってもなにも見えないだろう。
とてもではないが、この暗闇の中を、まともに進めるはずがない。
ならば、まともに進まなければいいだけだ。
ひとは明かりがないところを歩けない。
でもそれは、本当に歩けないというわけじゃない。
なにかにぶつかるのがこわい。
なにかに足を取られるのがこわい。
なにが起こるかわからないのがこわい。
自分の身体が傷つくのがこわい。
そうした不安が、歩みを鈍らせる。
でも、わたしはしっている。
かつて、あの世界でそれを学んだ。
いや、あの世界で学ぶ前から知っていた。
わたしは明かりがないところを歩くことができる。
走ることすらできる。
こわくないから。
なにかにぶつかることも、足を取られることも。
なにかに襲われることも、迷って出られなくなることも。
わたしは、それを恐れていない。
わたしは、その先にあるものを怖れていない。
暗がりに、足を踏み入れる。
亀裂の中は、なにも見えない。
中からは、なにも聞こえない。
入り口から入った雨音が、反響するだけ。
でも、わたしはこの亀裂の先を知っている。
フーガくんと一緒に、この暗がりを覗き込んだとき。
夜目の力によってそれを見た。
この暗がりの、一番奥にあるもの。
ほんの少しの、小さな、光。
それが、意味するもの。
この亀裂の先にあるもの。
この亀裂を抜けた先にあるもの。
暗闇の中を、一歩、二歩。
進んで、そして。
……そこで立ち止まる。
そうして、首元に触れる。
わたしをとめるくさびは、ない。
そうして、少し俯く。
いいのかな。ほんとうに――いいの?
……。
そうして――後ろを振り返る。
(……ぁ――)
亀裂の外の世界。
まっくらな、カオリマツの樹林帯。
打ち付ける雨。止まない雨。
そこには、誰もいない。
フーガくんは、いない。
(……っ)
ああ。
もう、とまらなくていいんだ。
……行こう。
この深い暗闇の中へ。
一方通行の、暗闇の中へ。
この暗闇の先にある、
わたしのどろどろを落とすことができるところへ。
*────
岩場の傍に立つ、カオリマツの老木だけが。
この亀裂に吸い込まれていった、少女の姿を見ていた。
擦りむいた膝から流れ落ちた血は、雨によって流れ去り。
小さな素足がつけた足跡も、雨によって消し去られ。
亀裂の中に消えていった少女の、足跡を示すものは、
――もう、なにも残っていない。
ぴちゃ ぴちゃ
――――ァァァァアアアア
ずぶっ ずぶっ
インナースーツ越しに打ち付ける、雨。
生地に染み入ってくるその冷たい水は、わたしの身体から熱を奪う。
なにも覆うもののない素足は、濡れた地面をこすり、湿った音を立てる。
小石を踏むたびに、刺すように痛い。
水溜りに足をつけるたび、灼けるように冷たい。
痛くて、冷たくて、痺れて。
すぐに……なにもわからなくなる。
(……あ)
そういえば、フーガくん、さいしょ、裸足だったよね。
この世界ではじめてあったとき、かれはいまの自分と同じ格好をしていた。
そうして同じように、この樹林帯を歩いていた。
足裏が気になるのか、ちょっと歩き方が変だった。
歩く速さも、途中からちょっぴり遅くなっていた。
かれと同じ体験をしていると思うと、少し心が暖かくなる。
暖まる心と、冷えていく身体。
痺れていく手足。
(……う)
……つめたい。
ちょっとさむい、かも。
でも、そんなに長く歩くわけじゃないから。
だから、だいじょうぶ。
わたしは、あるける。
そこまで、たどりつくことができる。
さまようように、歩き続ける。
迷うことはない。
まっすぐ、まっすぐ。
歩き続けるだけだから。
*────
(……ふーが、くん)
いっぱい、歩いたなぁ。
フーガくんと再会して。川から拠点へ。
拠点からマキノさんのところへ。
マキノさんのところから拠点へ。
拠点から北の倒木へ。北の倒木から拠点へ。
拠点から川へ。川から南へ。
モンターナさんのところから南の岩壁へ。
岩壁を登って、岩壁の果てへ。
岩壁の果てから、岩壁の下へ。
岩壁の下から岩場へ。岩場から拠点へ。
拠点から川へ。川から北へ。
セドナの中央へ。セドナの中央からまた拠点へ。
そうして――それだけだ。
わたしがあるいた道のりは、それだけ。
そのすべてが、フーガくんと歩いた道のり。
フーガくんと過ごした、しあわせな時間。
(……手、大きかった、なぁ――)
ずっと不思議に思っていることがある。
わたしはそんなにわかりやすい人間だろうか。
そんなことはないと思う。むしろ逆だと。
どちらかといえば、陰気で、根暗で、口下手で。
感情表現も下手で、想いもうまく伝えられなくて。
それなのに。
『ちょっと首まわりが撚れてるかも。――任せてみ』
なんで。
『カノンは、今回の探索でなにか、したいこととかある?』
どうして。
『――いいぞ』
なんで、フーガくんは。
わたしのして欲しいことが、わかるんだろう。
わたしのして欲しいことを、してくれるんだろう。
わたしはそんなにいやしい顔をしていたのかな。
ねだるような顔を、してしまっていたのかな。
4年前の、あの日と同じように。
彼におねだりを、してしまっていたのかな。
(――っちがう。……ちが、う)
ちがうんだ。
わたしは、もう、ちがうはずだ。
変わらなかったけど。
変われなかったけど。
でも、もう、わかってはいるはずなんだ。
4年前のあの日、わたしがねだったものと。
この世界で、わたしがねだっていたものが。
同じでないということに。
ちがうということに。
わたしは、そのちがいを知って、この世界に来た。
それらは一緒にしてはいけないのだと知って。
今度こそ、まちがえることはないと誓って、フーガくんに手紙を出した。
4年前のあやまちを、やりなおすために。
離れてしまった彼との距離を、もう一度、縮める。
あやまちの、やりなおしの機会を、もらうために。
でも。
でも――
*────
どれくらい歩いたのか。
やがてそれは、わたしの前に姿を現した。
(……。)
まるで暗い色のカーテンのように前方を閉ざす、岩の壁。
拠点の真南にある、花崗岩の岩場。
以前、フーガくんと散策した場所
トンボみたいな生き物に出逢ったり、花崗岩を拾ったりした場所。
そして―― それだけでは、ない。
暗い色に染まる岩壁の、わたしの目線より高いところにある、段差の上。
そこに、黒より黒い穴が、開いている。
そこに、亀裂が空いている。
岩壁を縦に裂くようにして開く、大きな亀裂が。
(……。)
わたしは、かつて、その亀裂を覗き込んだ。
そして、その亀裂の先にあるものを知った。
あのとき、わたしはとまることができた。
フーガくんがいたから。
フーガくんのくれたケープが、わたしを引き留めてくれたから。
あの岩壁の果ての向こう側に行きかけたときも。
かれは、わたしの手を引いてくれた。
致命的な過ちを犯そうとしていたわたしを、とめてくれた。
あの向こう側に行っては行けなかった。
死に戻りしてはいけなかった。
だって、そんなことをしたら。
かれがくれたケープを、永遠に失ってしまうだろう。
それは、ゆるさない。
わたしがわたしを、ゆるさない。
首元に手をやる。
(……。)
そこには、ケープはない。
ここには、フーガくんはいない。
(……っ)
だから、いいんだ。
もう、わたしは、とまらなくていい。
亀裂への入り口がある、岩場の上に手を掛け、無理やりに這い上がる。
擦れた膝に鈍い痛みが走ったが、どうでもいい。
こんな身体なんて、どうでもいい。
わたしにとっては道具でしかない。
わたしの愉しみのための、道具でしか。
暗い亀裂がある。
中は、漆黒の闇。
いまは夜目をつけてきていない。
そもそも、いまは深夜、大雨、星明りさえ射さない夜闇。
この状況では、夜目があってもなにも見えないだろう。
とてもではないが、この暗闇の中を、まともに進めるはずがない。
ならば、まともに進まなければいいだけだ。
ひとは明かりがないところを歩けない。
でもそれは、本当に歩けないというわけじゃない。
なにかにぶつかるのがこわい。
なにかに足を取られるのがこわい。
なにが起こるかわからないのがこわい。
自分の身体が傷つくのがこわい。
そうした不安が、歩みを鈍らせる。
でも、わたしはしっている。
かつて、あの世界でそれを学んだ。
いや、あの世界で学ぶ前から知っていた。
わたしは明かりがないところを歩くことができる。
走ることすらできる。
こわくないから。
なにかにぶつかることも、足を取られることも。
なにかに襲われることも、迷って出られなくなることも。
わたしは、それを恐れていない。
わたしは、その先にあるものを怖れていない。
暗がりに、足を踏み入れる。
亀裂の中は、なにも見えない。
中からは、なにも聞こえない。
入り口から入った雨音が、反響するだけ。
でも、わたしはこの亀裂の先を知っている。
フーガくんと一緒に、この暗がりを覗き込んだとき。
夜目の力によってそれを見た。
この暗がりの、一番奥にあるもの。
ほんの少しの、小さな、光。
それが、意味するもの。
この亀裂の先にあるもの。
この亀裂を抜けた先にあるもの。
暗闇の中を、一歩、二歩。
進んで、そして。
……そこで立ち止まる。
そうして、首元に触れる。
わたしをとめるくさびは、ない。
そうして、少し俯く。
いいのかな。ほんとうに――いいの?
……。
そうして――後ろを振り返る。
(……ぁ――)
亀裂の外の世界。
まっくらな、カオリマツの樹林帯。
打ち付ける雨。止まない雨。
そこには、誰もいない。
フーガくんは、いない。
(……っ)
ああ。
もう、とまらなくていいんだ。
……行こう。
この深い暗闇の中へ。
一方通行の、暗闇の中へ。
この暗闇の先にある、
わたしのどろどろを落とすことができるところへ。
*────
岩場の傍に立つ、カオリマツの老木だけが。
この亀裂に吸い込まれていった、少女の姿を見ていた。
擦りむいた膝から流れ落ちた血は、雨によって流れ去り。
小さな素足がつけた足跡も、雨によって消し去られ。
亀裂の中に消えていった少女の、足跡を示すものは、
――もう、なにも残っていない。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる