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一章
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仮想現実における死というのは、呆気ないものだ。
少なくとも『犬』における死は呆気なかった。
ぽろり、と手のひらから零れ落とすように。
ぷつり、と電源が切れるように。
ぱたり、と本が倒れるように。
視界が失われる。
音が聞こえなくなる。
そうして――死ぬ。
それだけだ。
次の瞬間には、死に戻っている。
死んでから、拠点で復活するまでのわずかな時間。
その間に失われるのは、視覚と聴覚の同調だけ。
なにも見えず、なにも聞こえなくなって。
だけど別に、そうして死んでいる間も、自分自身の意識が途切れるわけではない。
死んだ後、暗闇の中で。
ああ、死んだか、と。
ただ、思うだけだ。
だから『犬』の世界がどんなに現実的に感じられたとしても。
まるで自分自身がその世界の中にいるように感じられたとしても。
『犬』における死という体験は、そこまでショッキングなものではなかった。
所詮は仮想現実、というより、所詮はデュアルチューニングシステム。
ヘッドマウントディスプレイを用いて視覚と聴覚のみを同調させているだけでは、真に迫った死という体験は元より体験不可能な事象であったと言えるだろう。
だから。
死、そのものは――別に怖くはなかったのだ。
だから。
本当に怖かったのは――死ぬまでなのだ。
*────
『犬』というゲームにおいて本当に恐れられていたもの。
『犬』のプレイヤーが、本当に恐れていたもの。
それは、死という刹那的な喪失体験ではなく、死ぬまでの持続的な恐怖体験の方だった。
死の間際、死ぬまでの過程。
その間に味わう恐怖こそが、『犬』における死が強く倦厭された理由だった。
それこそが、ハードなゲーマーを呼び寄せた、『犬』というゲームの暗い魅力だった。
死ぬ。
殺される。
蹂躙される。
避けられぬ死が確定してから、走馬灯を見始める直前まで。
ちゃんと意識がある、時間感覚もはっきりしている、正気の状態。
何秒か、何十秒か続く、その絶望の時間こそが、恐怖された。
だって、その時間、その恐怖は。
視覚と聴覚しか同調させていないことには、関係ないだろう。
味覚と嗅覚が同調していないことなんて、ほとんど関係がない。
唯一触覚が同調していないことだけは、その恐怖を多少和らげていたかもしれない。
だけど、それだけだ。
触覚がなくなったというだけで、死に直面する恐怖がなくなるのか。
そんなことはない。
なぜなら死への恐怖は、五感に起因するものではないからだ。
その恐怖は、ひとえに人間の想像力に起因する。
五感はただ、その想像の素材を提供するだけだ。
ましてや視覚と聴覚は、人間の状況認識のなかで、非常に大きな比重を担っている。
その二つの感覚があれば、死を恐怖するのに、十分事足りてしまう。
見て、聞いて、自分の身に迫る死を想像し――恐怖する。
自分が失われるという恐怖。
自分の存在が脅かされるという恐怖。
生物の根源に根差すその衝動が、思考を縛り付けるのだ。
死ぬ。
殺される。
いやだ。
やめてくれ。
死にたくない。
殺されたくない。
その瞬間は、もはやこの世界がゲームの世界であることなど忘れ去る。
そういう誤魔化し方ができるような思考の余裕が、奪われてしまう。
それほどに、死を目前にしたプレイヤーの思考は狭くなってしまう。
視覚と聴覚しか同調していないから、そこまで怖くもないはずだろう、って?
それはデュアルチューニングシステムを味わったことがない人にしか言えない強がりだろう。
視覚と聴覚が、同調させられているということ。
それはつまり、恐怖の素材となる体験を味わう主要器官が占有されているということだ。
耳元に這い寄る不快な騒めきも。
眼前に迫る鋭利な爪も。
加速度的に迫る地面も。
身体から吹きだす鮮血も。
破れた皮膚の下にある赤黒い肉も。
抉られた肉の下に見える血塗れの骨も。
絞り出されるように漏れる呻き声も。
耳朶に水が入り込む音も。
徐々に弱まりゆく心音も。
掠れる視界も薄れる光も。
そのすべてを、まるで現実のように味わうことになる。
死ぬまでに認識する、視覚聴覚的な恐怖のすべてを味わうことになる。
それらすべてが、自己の喪失という本能的な恐怖と結びついて、思考を凍らせる。
いっそ死んでしまえば、却って楽なのだ。
だって、死んでしまえば、すべてが元通りになるのだから。
腱を残して千切れた手足も。
焼け焦げて変色した皮膚も。
視界を染める白熱も。
なにも見えない暗闇も。
生理的嫌悪を覚える蟲の蠢きも。
自分を噛み千切る獣の顎も。
鼓膜を穿つ轟音も。
肺に満ちる水の音も。
空を切る風の音も。
身体が潰れ壊される音も。
なにもかもが、なくなる。
自分を恐怖させていた、一切合切をなかったことにできる。
ゆえに、死への恐怖体験において、その果てに訪れる死という事象は正しく救済だ。
だって、死んでしまった方が、楽だろう。
別にゲームの世界なのだから。
それでなにかが終わるわけじゃない。
むしろ無用な苦痛から逃れられる分、さっさと死んだ方が賢いとすらいえる。
アイテムロストは痛いが、それも大抵は取り返しがつく程度だ。
だが――残念ながら『犬』には手軽に死ねる手段が用意されていなかった。
自殺ボタン、余命タイマー。 緊急帰還予定機能。
拠点外での、この世界からのダイブアウト。
それらの処理が実行されるまでに、少なくとも1分の所要時間がある。
どんなに死にたいと思っても、逃れたいと思っても。
少なくとも1分は、その恐怖を味わうことになる。
そして、皮肉なことに。
自殺ボタンを押したいと思うほど、絶望的な状況というものは。
たった1分耐えることすら、どうしようもなく耐え難いのだ。
1分あれば、死への恐怖を前にした人の心は、粉々に折れ砕けてしまう。
ゆえに――
『犬』というゲームの死は、恐れられた。
『犬』のプレイヤーは、死を恐れた。
でもそれは、死そのものを怖れていたんじゃない。
死ぬ間際に味わうことになる、極限の恐怖体験を、恐れていたんだ。
死に際してのアイテムロストも、たしかに痛い。
だがその仕様も、単にプレイヤーに合理的な死を選ばせないためだけではなく、死そのものを極力避けさせるための、一種の予防療法だったのではないかとすら思える。
『犬』というゲームには、申し訳程度の年齢制限があった。
でも正直なところ、その程度の制限で、果たしてそれが許されていいのか、当時の俺は疑問に思ったものだ。
死ぬということ。
殺されるということ。
視覚と聴覚に限ったうえでとはいえ、それを疑似的に体験できた『犬』というゲームは、ちょっとヤバいゲームだったのではないかと。
俺はいまでも、そう思っている。
*────
「――ッくそっ!!」
背後に重たい音を聞きながら、森の中を駆け――すぐに突き当たる。
当然だ。この閉鎖空間は、たかだか40m四方しかない。
あの獣がいたのはこの空間の中央付近だ。
元より逃げ場など、ない。
「カノンっ!! ポータルを試すぞっ!!」
「うっ、うんっ……!!」
俺たちは、この場所に転移してきたんだ。
俺たちの背後にあったばらばらの金属片。
あれは、かつてポータルだったはずだ。
俺たちは、ポータルからポータルへと、正しく転移されたはずなんだ。
そして、あちらからこちらへの転移が正常に成されたのならば。
こちらからあちらへの転移もまた、成されるはずなのだ。
そうでなければ、おかしいだろうっ!?
「……だめっ、なにも……」
「くそっ、なんでだっ!!」
散らばる金属片を乱暴に踏みにじる。
そもそも、なんで俺たちは転移したんだっ!?
どう見ても壊れてただろ、あのポータルはっ!!
突然起動して、行きだけ飛ばしておいて、帰りは保証しないとか冗談じゃないっ!!
(……落ち着け。冷静になれ)
起動しないもんは、仕方ない。
現状でやるべきことを考えよう。
背後を振りかえる。
樹々の向こうに見える巨獣の動きは、鈍く、重たい。
それも当然だろう、いかにあの巨体とはいえ、あの獣の身体には、数十キロにも及びそうな鉄杭2本が、いまだに穿たれたままなのだ。
たった20メートルほどしか距離を離せていないとしても、追い縋られるまでに多少の猶予はある。
「――すまん、カノン。10秒くれ」
「……。――うんっ!!」
外界の一切をカノンに放り投げ、思考の深層に没頭する。
*────
俺たちの絶対的方針。
それは、この場所から生還することだ。
ニアリーイコール、このポータルの残骸を使って、元の場所に転移することだ。
最悪それができない場合のみ、転移を諦め、この檻からなんとか脱出して、どこともしれない森の中で、無期限サバイバル生活を始めることも――
――いや、駄目だ。
その手段はそもそも取れない。
なぜなら、まだ、モンターナがいるからだ。
彼もまた、ここに来るかもしれない。
ポータルに関する問題がなんら解決されないまま、ここに来てしまうかもしれない。
そのとき、俺たちがここに居らず、あの獣だけがここに居るという状況はまずい。
なにせ、俺たちは彼と連絡が取れないのだ。
その状況で彼がどのような選択を取るかを考えれば、その状況を作るわけにはいかない。
それは彼を見捨てるも同然だ。
つまり、この場所から離れるという選択肢自体が、現状ありえない。
それに、彼には期待しているところもある。
俺が彼に『来るな』と言ったのは、それも含めてのことだ。
ポータルの残骸の傍で、突如として発生した転移。
それに巻き込まれた俺たちは、その状況をまったく理解することはできなかったが――
まだあちら側にいる彼ならば、あるいは。
起動した後のポータルを確認できる彼ならば、あるいは。
いったいなにが起こってそうなったのか。
なぜポータルの残骸が転移処理を実行したのか。
どうすれば、その処理を意図的に引き起こすことができるのか。
そのあたりを解明してくれるかもしれない。
そうして、帰還の手段を模索したうえで、俺たちのもとに来てくれるかもしれない。
つまり、俺たちがやるべきことは一つだ。
しばらくの間は、この場所で、モンターナを待つ。
盤上その一手だ。それ以外の手はない。
モンターナを見捨てるわけにはいかないということ。
モンターナがなにかしらの帰還方法を持ってきてくれるかもしれないということ。
それらを考えれば、採るべき方針はそれしかない。
実に明瞭、簡潔だ。
(……ダイブアウトという手段も、ない、な)
この場所でダイブアウトすること自体は可能だ。
だが、モンターナと入れ違いになった時点で致命的なことになる。
現実で彼にメッセージを送ったところで、彼もまたダイブアウトしているのでなければ意味がない。
それに、単なる人読みだが、彼はダイブアウトして俺たちに連絡を取るという手法を選ばない気がする。
恐らくはあちら側の廃墟の中で、俺たちの行方を探っているはずだ。
同時にこの状況の打開策を、必死で考えてくれているはずだ。
そんな彼が満を辞してこの場所にやってきたとき、俺たちがダイブアウトしているのでは話にならない。
それに――拠点外でのダイブアウトには1分の所要時間がある。
ダイブアウトを繰り返しての時間稼ぎ、というのは難しい。
どの道、なんらかの方法でこの場をやり過ごすことになる。
(……つまりは、モンターナが来るまで、この空間の中で耐久できればいい)
40m四方しかないとはいえ、森の樹々という遮蔽もある。
いつまで持ちこたえられるかはわからないが、数時間程度ならやってやれなくはない。
それでモンターナが来なかったのなら、一旦ダイブアウトしよう。
さすがにモンターナも、俺たちが朝方まで粘っているとは――
『今日の活動の目安は――まぁ、遅くとも丑三つまでとしようか。』
(……そう、かッ!!)
モンターナと別行動を始める前、たしかモンターナは、そんなことを言っていた。
丑三つまで。すなわち、午前2時から午前2時半ごろまで、だ。
その時間までは、おそらくモンターナは粘るだろう。
その時間までは、俺たちも粘るかもしれないと考えて。
ならば、俺たちが粘るべきリミットも、そのあたりだ。
それまでに救援が来ることを願って、耐久する。
現在時刻は、午後零時を少し回ったあたりのはず。
無理な話ではない。
ならば――あとは待つだけだ。
どうやって、耐久する?
ひたすら逃げ回る、ある程度応戦する、いっそ無力化を試みる?
(……まずは、検証から、だな)
現状、わからないことが多すぎる。
理解不能こそが、もっとも避けにくい死因。
2時間もの間耐久する必要があるというのなら、敵の正体もわからないまま逃げ続けるわけにはいかない。
回り込むように、遠巻くように、その場しのぎの逃走を繰り返し続けるわけにはいかない。
どんな奇手で、予想外に殺されるかわかったもんじゃない。
そもそも――
(まだ、なにもわかっていない)
なぜ、あの獣は動いていられるのか。
あの獣は、死んでいるのか、生きているのか。
そもそも、あれは本当にアミーなのか。
もしもそうならば、かつては無様にぶち転がされた怨敵だ。
当時の万全の装備を以てしてもまるで歯が立たなかった相手。
当時と比べて、いまあるのは、小さな石楔と、一振りのナイフ。
それでどうにかできるとは、思えないが――
さいわいなことに、身体を穿つ鉄の杭が、あの獣の動きを鈍らせているようにも見える。
ならば、観察する隙はあるはずだ。
非力な人間にも、相対する隙はあるはずだ。
多少のハンデを背負ってくれているというのなら。
俺たち人間にも、生存の芽はある。
――よし、真っ向から相対しよう。
そして、観察しよう。隙を探そう。
撃退とは言わない。無力化とは言わない。
今宵のミッションは、俺とカノンが、丑三つ時まで生存すること。
ただ、それだけでいいのだ。
*────
思考の海から浮上する。
前方、白い獣の姿は、いまだ樹々の向こうに見える。
思考時間も、なんとか予算内に間に合ったようだ。
「――ごめん。お待たせ、カノン」
「えっ。……もう、考え、終わった?」
「うん。あいつをやり過ごしながら、2時ごろまでモンターナを待つ。
それが、モンターナを含めた俺たち3人の生存と生還の最善策だ。
……この空間から脱出するとかは悪手だ。いまは考えなくていい」
「……んっ。わかった、けど……どうやっ、て?」
「真正面から相対する」
「えっ」
「いまの俺たちに必要なのは持久戦だ。
そして、そのためには観察が必要だ。
遠巻きに逃げるだけじゃなくて、
あいつの挙動を観察する必要がある。
ついでに、このあたりの地形の把握も同時にやる」
「……わかった。」
無茶なことを言われているだろうに、必要以上のことは言わず、問い返さず、こくりと頷いてくれる。
その信頼が、いまはありがたい。
ゆっくり説明している時間も、なさそうだからな……ッ!!
正面を見れば、ゆっくりと獣が近づいてくる。
身体に刺さった、2本の鉄杭。
それはまるで、その身体が突き出しているかのようで。
最初からそのような形をしていた、歪な獣のようで。
「……で、だ。
2人一緒にいると、あいつがなにに反応するのか、わかりづらい。
あいつを反応させる要素が増えると、検証しにくいんだ。
だからまず、カノンは俺とあいつの相対を外から見ててくれ。
それで、あいつの反応したもの、あいつのおかしいとこ。
この場所のこと、周囲の地形のこと。
なんでもいいから、気づいたことをあとで教えてくれ」
「……。」
「頼んでもいいか?」
「……死なない、よね?」
不安そうな、怯えたような表情を浮かべるカノンの頭に手をやる。
そうして、少し強めにぐりぐりと撫でる。
「ぁ……んっ……」
「ワンダラー舐めんなよ?」
「……うんっ!!」
「おっけー。じゃ、戦場はさっきの空き地にしようか。
向こうの方が挙動を観察しやすいし、モンターナが来た場合も安全だ。
カノンは、その辺の樹の後ろから観察しててくれ。
だけど、油断するなよ。あいつ以外にも、だ」
「……あいつ以外、って」
「この空間のすべて、だ。
――思い出せよ、カノン。
お前も、ワンダラーなんだぜ?」
「……んっ!!」
彼我の距離は、もう10mもない。
あの獣が十全に能力を発揮できるなら、1秒と少し後に俺の頭を抉り飛ばせるだろう。
いつか、そうしたように。
(……はっ)
だが、そうはならない。
そうさせるつもりもない。
あのときとは、ちがう。
8年前の俺とは、ちがう。
あの頃の俺はワンダラーではなかった。
ただのゲーム好きな高校生だった。
あれから長い時間を経た。
前半の4年間は、『犬』のなかで、ワンダラーとして。
後半の4年間は、現実で、さまざまな活動を通じて。
いろんな経験を積んできたのだ。
だから、この身体を震わせるのは、恐怖ではない。
かつて刻まれた恐怖への震えではなく、ただの――武者震いだ。
おまえと再び相見えることが、悦ばしい。
おまえと再び相対できることが、嬉しい。
かつて自分を殺した存在と、およそ同等の存在。
そんな存在と、再び死合うことができる。
それは、ゲームの中でしか味わえない、奇跡のような体験。
それは、なんて――愉しいんだろう。
「行くぞ、アミー――」
いや、おまえはアミーでは、ないな。
いまのおまえはどう見ても、俺たちの友ではない。
かつて俺たちと殺し合った、6匹の獣。
それらに与えられた仮称の先にある、7つ目の名前を、お前に与えよう。
……7つ目はちょっとカッコ悪いから、最後の名前にしておこうか。うん。
そっちの方が、それっぽいだろう。
では、あらためて――
「――行くぞ、 " Z " ッ!!」
これから始まるのは、一方的な狩りではない。
俺と――俺たちと、お前との、生存競争だ。
せいぜい、お前も生き足掻いてみせろッ!!
少なくとも『犬』における死は呆気なかった。
ぽろり、と手のひらから零れ落とすように。
ぷつり、と電源が切れるように。
ぱたり、と本が倒れるように。
視界が失われる。
音が聞こえなくなる。
そうして――死ぬ。
それだけだ。
次の瞬間には、死に戻っている。
死んでから、拠点で復活するまでのわずかな時間。
その間に失われるのは、視覚と聴覚の同調だけ。
なにも見えず、なにも聞こえなくなって。
だけど別に、そうして死んでいる間も、自分自身の意識が途切れるわけではない。
死んだ後、暗闇の中で。
ああ、死んだか、と。
ただ、思うだけだ。
だから『犬』の世界がどんなに現実的に感じられたとしても。
まるで自分自身がその世界の中にいるように感じられたとしても。
『犬』における死という体験は、そこまでショッキングなものではなかった。
所詮は仮想現実、というより、所詮はデュアルチューニングシステム。
ヘッドマウントディスプレイを用いて視覚と聴覚のみを同調させているだけでは、真に迫った死という体験は元より体験不可能な事象であったと言えるだろう。
だから。
死、そのものは――別に怖くはなかったのだ。
だから。
本当に怖かったのは――死ぬまでなのだ。
*────
『犬』というゲームにおいて本当に恐れられていたもの。
『犬』のプレイヤーが、本当に恐れていたもの。
それは、死という刹那的な喪失体験ではなく、死ぬまでの持続的な恐怖体験の方だった。
死の間際、死ぬまでの過程。
その間に味わう恐怖こそが、『犬』における死が強く倦厭された理由だった。
それこそが、ハードなゲーマーを呼び寄せた、『犬』というゲームの暗い魅力だった。
死ぬ。
殺される。
蹂躙される。
避けられぬ死が確定してから、走馬灯を見始める直前まで。
ちゃんと意識がある、時間感覚もはっきりしている、正気の状態。
何秒か、何十秒か続く、その絶望の時間こそが、恐怖された。
だって、その時間、その恐怖は。
視覚と聴覚しか同調させていないことには、関係ないだろう。
味覚と嗅覚が同調していないことなんて、ほとんど関係がない。
唯一触覚が同調していないことだけは、その恐怖を多少和らげていたかもしれない。
だけど、それだけだ。
触覚がなくなったというだけで、死に直面する恐怖がなくなるのか。
そんなことはない。
なぜなら死への恐怖は、五感に起因するものではないからだ。
その恐怖は、ひとえに人間の想像力に起因する。
五感はただ、その想像の素材を提供するだけだ。
ましてや視覚と聴覚は、人間の状況認識のなかで、非常に大きな比重を担っている。
その二つの感覚があれば、死を恐怖するのに、十分事足りてしまう。
見て、聞いて、自分の身に迫る死を想像し――恐怖する。
自分が失われるという恐怖。
自分の存在が脅かされるという恐怖。
生物の根源に根差すその衝動が、思考を縛り付けるのだ。
死ぬ。
殺される。
いやだ。
やめてくれ。
死にたくない。
殺されたくない。
その瞬間は、もはやこの世界がゲームの世界であることなど忘れ去る。
そういう誤魔化し方ができるような思考の余裕が、奪われてしまう。
それほどに、死を目前にしたプレイヤーの思考は狭くなってしまう。
視覚と聴覚しか同調していないから、そこまで怖くもないはずだろう、って?
それはデュアルチューニングシステムを味わったことがない人にしか言えない強がりだろう。
視覚と聴覚が、同調させられているということ。
それはつまり、恐怖の素材となる体験を味わう主要器官が占有されているということだ。
耳元に這い寄る不快な騒めきも。
眼前に迫る鋭利な爪も。
加速度的に迫る地面も。
身体から吹きだす鮮血も。
破れた皮膚の下にある赤黒い肉も。
抉られた肉の下に見える血塗れの骨も。
絞り出されるように漏れる呻き声も。
耳朶に水が入り込む音も。
徐々に弱まりゆく心音も。
掠れる視界も薄れる光も。
そのすべてを、まるで現実のように味わうことになる。
死ぬまでに認識する、視覚聴覚的な恐怖のすべてを味わうことになる。
それらすべてが、自己の喪失という本能的な恐怖と結びついて、思考を凍らせる。
いっそ死んでしまえば、却って楽なのだ。
だって、死んでしまえば、すべてが元通りになるのだから。
腱を残して千切れた手足も。
焼け焦げて変色した皮膚も。
視界を染める白熱も。
なにも見えない暗闇も。
生理的嫌悪を覚える蟲の蠢きも。
自分を噛み千切る獣の顎も。
鼓膜を穿つ轟音も。
肺に満ちる水の音も。
空を切る風の音も。
身体が潰れ壊される音も。
なにもかもが、なくなる。
自分を恐怖させていた、一切合切をなかったことにできる。
ゆえに、死への恐怖体験において、その果てに訪れる死という事象は正しく救済だ。
だって、死んでしまった方が、楽だろう。
別にゲームの世界なのだから。
それでなにかが終わるわけじゃない。
むしろ無用な苦痛から逃れられる分、さっさと死んだ方が賢いとすらいえる。
アイテムロストは痛いが、それも大抵は取り返しがつく程度だ。
だが――残念ながら『犬』には手軽に死ねる手段が用意されていなかった。
自殺ボタン、余命タイマー。 緊急帰還予定機能。
拠点外での、この世界からのダイブアウト。
それらの処理が実行されるまでに、少なくとも1分の所要時間がある。
どんなに死にたいと思っても、逃れたいと思っても。
少なくとも1分は、その恐怖を味わうことになる。
そして、皮肉なことに。
自殺ボタンを押したいと思うほど、絶望的な状況というものは。
たった1分耐えることすら、どうしようもなく耐え難いのだ。
1分あれば、死への恐怖を前にした人の心は、粉々に折れ砕けてしまう。
ゆえに――
『犬』というゲームの死は、恐れられた。
『犬』のプレイヤーは、死を恐れた。
でもそれは、死そのものを怖れていたんじゃない。
死ぬ間際に味わうことになる、極限の恐怖体験を、恐れていたんだ。
死に際してのアイテムロストも、たしかに痛い。
だがその仕様も、単にプレイヤーに合理的な死を選ばせないためだけではなく、死そのものを極力避けさせるための、一種の予防療法だったのではないかとすら思える。
『犬』というゲームには、申し訳程度の年齢制限があった。
でも正直なところ、その程度の制限で、果たしてそれが許されていいのか、当時の俺は疑問に思ったものだ。
死ぬということ。
殺されるということ。
視覚と聴覚に限ったうえでとはいえ、それを疑似的に体験できた『犬』というゲームは、ちょっとヤバいゲームだったのではないかと。
俺はいまでも、そう思っている。
*────
「――ッくそっ!!」
背後に重たい音を聞きながら、森の中を駆け――すぐに突き当たる。
当然だ。この閉鎖空間は、たかだか40m四方しかない。
あの獣がいたのはこの空間の中央付近だ。
元より逃げ場など、ない。
「カノンっ!! ポータルを試すぞっ!!」
「うっ、うんっ……!!」
俺たちは、この場所に転移してきたんだ。
俺たちの背後にあったばらばらの金属片。
あれは、かつてポータルだったはずだ。
俺たちは、ポータルからポータルへと、正しく転移されたはずなんだ。
そして、あちらからこちらへの転移が正常に成されたのならば。
こちらからあちらへの転移もまた、成されるはずなのだ。
そうでなければ、おかしいだろうっ!?
「……だめっ、なにも……」
「くそっ、なんでだっ!!」
散らばる金属片を乱暴に踏みにじる。
そもそも、なんで俺たちは転移したんだっ!?
どう見ても壊れてただろ、あのポータルはっ!!
突然起動して、行きだけ飛ばしておいて、帰りは保証しないとか冗談じゃないっ!!
(……落ち着け。冷静になれ)
起動しないもんは、仕方ない。
現状でやるべきことを考えよう。
背後を振りかえる。
樹々の向こうに見える巨獣の動きは、鈍く、重たい。
それも当然だろう、いかにあの巨体とはいえ、あの獣の身体には、数十キロにも及びそうな鉄杭2本が、いまだに穿たれたままなのだ。
たった20メートルほどしか距離を離せていないとしても、追い縋られるまでに多少の猶予はある。
「――すまん、カノン。10秒くれ」
「……。――うんっ!!」
外界の一切をカノンに放り投げ、思考の深層に没頭する。
*────
俺たちの絶対的方針。
それは、この場所から生還することだ。
ニアリーイコール、このポータルの残骸を使って、元の場所に転移することだ。
最悪それができない場合のみ、転移を諦め、この檻からなんとか脱出して、どこともしれない森の中で、無期限サバイバル生活を始めることも――
――いや、駄目だ。
その手段はそもそも取れない。
なぜなら、まだ、モンターナがいるからだ。
彼もまた、ここに来るかもしれない。
ポータルに関する問題がなんら解決されないまま、ここに来てしまうかもしれない。
そのとき、俺たちがここに居らず、あの獣だけがここに居るという状況はまずい。
なにせ、俺たちは彼と連絡が取れないのだ。
その状況で彼がどのような選択を取るかを考えれば、その状況を作るわけにはいかない。
それは彼を見捨てるも同然だ。
つまり、この場所から離れるという選択肢自体が、現状ありえない。
それに、彼には期待しているところもある。
俺が彼に『来るな』と言ったのは、それも含めてのことだ。
ポータルの残骸の傍で、突如として発生した転移。
それに巻き込まれた俺たちは、その状況をまったく理解することはできなかったが――
まだあちら側にいる彼ならば、あるいは。
起動した後のポータルを確認できる彼ならば、あるいは。
いったいなにが起こってそうなったのか。
なぜポータルの残骸が転移処理を実行したのか。
どうすれば、その処理を意図的に引き起こすことができるのか。
そのあたりを解明してくれるかもしれない。
そうして、帰還の手段を模索したうえで、俺たちのもとに来てくれるかもしれない。
つまり、俺たちがやるべきことは一つだ。
しばらくの間は、この場所で、モンターナを待つ。
盤上その一手だ。それ以外の手はない。
モンターナを見捨てるわけにはいかないということ。
モンターナがなにかしらの帰還方法を持ってきてくれるかもしれないということ。
それらを考えれば、採るべき方針はそれしかない。
実に明瞭、簡潔だ。
(……ダイブアウトという手段も、ない、な)
この場所でダイブアウトすること自体は可能だ。
だが、モンターナと入れ違いになった時点で致命的なことになる。
現実で彼にメッセージを送ったところで、彼もまたダイブアウトしているのでなければ意味がない。
それに、単なる人読みだが、彼はダイブアウトして俺たちに連絡を取るという手法を選ばない気がする。
恐らくはあちら側の廃墟の中で、俺たちの行方を探っているはずだ。
同時にこの状況の打開策を、必死で考えてくれているはずだ。
そんな彼が満を辞してこの場所にやってきたとき、俺たちがダイブアウトしているのでは話にならない。
それに――拠点外でのダイブアウトには1分の所要時間がある。
ダイブアウトを繰り返しての時間稼ぎ、というのは難しい。
どの道、なんらかの方法でこの場をやり過ごすことになる。
(……つまりは、モンターナが来るまで、この空間の中で耐久できればいい)
40m四方しかないとはいえ、森の樹々という遮蔽もある。
いつまで持ちこたえられるかはわからないが、数時間程度ならやってやれなくはない。
それでモンターナが来なかったのなら、一旦ダイブアウトしよう。
さすがにモンターナも、俺たちが朝方まで粘っているとは――
『今日の活動の目安は――まぁ、遅くとも丑三つまでとしようか。』
(……そう、かッ!!)
モンターナと別行動を始める前、たしかモンターナは、そんなことを言っていた。
丑三つまで。すなわち、午前2時から午前2時半ごろまで、だ。
その時間までは、おそらくモンターナは粘るだろう。
その時間までは、俺たちも粘るかもしれないと考えて。
ならば、俺たちが粘るべきリミットも、そのあたりだ。
それまでに救援が来ることを願って、耐久する。
現在時刻は、午後零時を少し回ったあたりのはず。
無理な話ではない。
ならば――あとは待つだけだ。
どうやって、耐久する?
ひたすら逃げ回る、ある程度応戦する、いっそ無力化を試みる?
(……まずは、検証から、だな)
現状、わからないことが多すぎる。
理解不能こそが、もっとも避けにくい死因。
2時間もの間耐久する必要があるというのなら、敵の正体もわからないまま逃げ続けるわけにはいかない。
回り込むように、遠巻くように、その場しのぎの逃走を繰り返し続けるわけにはいかない。
どんな奇手で、予想外に殺されるかわかったもんじゃない。
そもそも――
(まだ、なにもわかっていない)
なぜ、あの獣は動いていられるのか。
あの獣は、死んでいるのか、生きているのか。
そもそも、あれは本当にアミーなのか。
もしもそうならば、かつては無様にぶち転がされた怨敵だ。
当時の万全の装備を以てしてもまるで歯が立たなかった相手。
当時と比べて、いまあるのは、小さな石楔と、一振りのナイフ。
それでどうにかできるとは、思えないが――
さいわいなことに、身体を穿つ鉄の杭が、あの獣の動きを鈍らせているようにも見える。
ならば、観察する隙はあるはずだ。
非力な人間にも、相対する隙はあるはずだ。
多少のハンデを背負ってくれているというのなら。
俺たち人間にも、生存の芽はある。
――よし、真っ向から相対しよう。
そして、観察しよう。隙を探そう。
撃退とは言わない。無力化とは言わない。
今宵のミッションは、俺とカノンが、丑三つ時まで生存すること。
ただ、それだけでいいのだ。
*────
思考の海から浮上する。
前方、白い獣の姿は、いまだ樹々の向こうに見える。
思考時間も、なんとか予算内に間に合ったようだ。
「――ごめん。お待たせ、カノン」
「えっ。……もう、考え、終わった?」
「うん。あいつをやり過ごしながら、2時ごろまでモンターナを待つ。
それが、モンターナを含めた俺たち3人の生存と生還の最善策だ。
……この空間から脱出するとかは悪手だ。いまは考えなくていい」
「……んっ。わかった、けど……どうやっ、て?」
「真正面から相対する」
「えっ」
「いまの俺たちに必要なのは持久戦だ。
そして、そのためには観察が必要だ。
遠巻きに逃げるだけじゃなくて、
あいつの挙動を観察する必要がある。
ついでに、このあたりの地形の把握も同時にやる」
「……わかった。」
無茶なことを言われているだろうに、必要以上のことは言わず、問い返さず、こくりと頷いてくれる。
その信頼が、いまはありがたい。
ゆっくり説明している時間も、なさそうだからな……ッ!!
正面を見れば、ゆっくりと獣が近づいてくる。
身体に刺さった、2本の鉄杭。
それはまるで、その身体が突き出しているかのようで。
最初からそのような形をしていた、歪な獣のようで。
「……で、だ。
2人一緒にいると、あいつがなにに反応するのか、わかりづらい。
あいつを反応させる要素が増えると、検証しにくいんだ。
だからまず、カノンは俺とあいつの相対を外から見ててくれ。
それで、あいつの反応したもの、あいつのおかしいとこ。
この場所のこと、周囲の地形のこと。
なんでもいいから、気づいたことをあとで教えてくれ」
「……。」
「頼んでもいいか?」
「……死なない、よね?」
不安そうな、怯えたような表情を浮かべるカノンの頭に手をやる。
そうして、少し強めにぐりぐりと撫でる。
「ぁ……んっ……」
「ワンダラー舐めんなよ?」
「……うんっ!!」
「おっけー。じゃ、戦場はさっきの空き地にしようか。
向こうの方が挙動を観察しやすいし、モンターナが来た場合も安全だ。
カノンは、その辺の樹の後ろから観察しててくれ。
だけど、油断するなよ。あいつ以外にも、だ」
「……あいつ以外、って」
「この空間のすべて、だ。
――思い出せよ、カノン。
お前も、ワンダラーなんだぜ?」
「……んっ!!」
彼我の距離は、もう10mもない。
あの獣が十全に能力を発揮できるなら、1秒と少し後に俺の頭を抉り飛ばせるだろう。
いつか、そうしたように。
(……はっ)
だが、そうはならない。
そうさせるつもりもない。
あのときとは、ちがう。
8年前の俺とは、ちがう。
あの頃の俺はワンダラーではなかった。
ただのゲーム好きな高校生だった。
あれから長い時間を経た。
前半の4年間は、『犬』のなかで、ワンダラーとして。
後半の4年間は、現実で、さまざまな活動を通じて。
いろんな経験を積んできたのだ。
だから、この身体を震わせるのは、恐怖ではない。
かつて刻まれた恐怖への震えではなく、ただの――武者震いだ。
おまえと再び相見えることが、悦ばしい。
おまえと再び相対できることが、嬉しい。
かつて自分を殺した存在と、およそ同等の存在。
そんな存在と、再び死合うことができる。
それは、ゲームの中でしか味わえない、奇跡のような体験。
それは、なんて――愉しいんだろう。
「行くぞ、アミー――」
いや、おまえはアミーでは、ないな。
いまのおまえはどう見ても、俺たちの友ではない。
かつて俺たちと殺し合った、6匹の獣。
それらに与えられた仮称の先にある、7つ目の名前を、お前に与えよう。
……7つ目はちょっとカッコ悪いから、最後の名前にしておこうか。うん。
そっちの方が、それっぽいだろう。
では、あらためて――
「――行くぞ、 " Z " ッ!!」
これから始まるのは、一方的な狩りではない。
俺と――俺たちと、お前との、生存競争だ。
せいぜい、お前も生き足掻いてみせろッ!!
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