5 / 11
第4話 真実
しおりを挟む
フローは言った。
自分の使命が(憎き勇者を倒す事)。
そして、その使命は達成した…と。
「ゆ、ゆゆ!勇者を倒す事!?しかも、達成したんですか!?!?で、でも、勇者は歴史上一度も大魔王に倒されてはないと…………?。」
俺は持っていた、自分の兜の事を忘れ、飛ぶ様に立ってしまった。兜はガチャン!と音を立て自分の足下に転がる。
「それはそうだろうな。お前は元々は人間だったとするとそんなデマが流れるのも仕方がない。
だが、あの時、放った勇者の技に当たってしまったのは一生の不覚だ…。私はその傷があるせいで傷から生涯魔力を永遠に垂れ流す事になってしまったよ…。」
落ち込むフローを見てタイムが言う。
「魔力は自然に有って当然の代物だけど、フローの魔力はもう無限と変わらないんだ。だから、出来る限り、周りの魔族に影響を与えない為にここでずっと暮らしてるんだ…。あ!上に結晶があるけどあれには触れちゃ駄目だよ!普通の魔力結晶じゃないから!」
「…な、なるほど。」
タイムはぴょんぴょん跳ねて片腕で天井を指す。
魔力が底無しか…。多分、今でも最強何だろうな…。と思ったが一つの疑問が脳裏を過ぎった。
「大魔王って聞くと何だか世界を壊すイメージあるんですが。大魔王は凄く優しいんですね!」
俺がそう言うとフローは首を横に振る。
「私は優しく何かないさ。あの時は憎悪、憤怒、復讐にだけ染まってしまった…。多くの仲間と生き物を自我をコントロール出来ずに壊し、また他者に私と同じ気持ちを持たせてしまった哀れな大馬鹿やろうさ。」
タイムが言う。
「あれは勇者が悪いよ!!だって、人間を盾にしたり魔物を捕まえて人質にとったり…。
とんでもないくらいに悪い奴だったよ!!」
タイムは頬を膨らませプンプンと怒っている。
可愛い…。
それにしても勇者がそんな事をするなんて…。
俺はこれまで魔族の事を誤解していたんだと感じた。確かに魔族は人間を大量に殺してきた。その分だけ人間はより強くなる為に頑張ってきた…。でも、それはお互い様だった。人間も魔族も変らない。ただお互いに憎悪と復讐でこれまでずっとこんな事を繰り返してしまったんだ。と。
俺は地面に転がっている。兜を拾った。そして、頭に被せる様に首の上に乗せた。
兜は首の部分に微かに隙間が有るもののくっついた。そして、片膝を地面に付き、フローに頭を下げた。
「…大魔王、私の知る限り人間は全員が全員悪い人では無いんです…。確かに勇者がそんな事をしてしまったのは事実かもしれない。ですが!人間にも慈愛と博愛、情愛を持った人達がいます!私は生まれて間もない者ですがお二人を見て分かります。他の魔族も人間と同じ慈愛と博愛、情愛に溢れているのだと…。」
フローもタイムも生まれて間もないリビングアーマーの話を真剣な眼差しで聴く。
「…ですから、もし宜しければ私にこの人界と魔界の両者の平和の為の媒介役として……………っ!!!」
その時だった。
俺は脳の中に何かが叩き付けられる様な感覚に襲われた。
「うがあっ!!!!!」
呻いた瞬間、脳裏にある記憶を思い出させた。
目の前は何も無い真っ白な空間。
そこに一人の女の人がいる。格好は真っ白なワンピースといった所だろうか?スカートの先はビリビリに破れており、膝上の所まで見えている。顔は見えない。
そして、彼女が呟く。
「世界を…私を…助けて」
この人は?と思った所で俺はふと目に手を当てる。頭がある。目の違和感に懐かしさを感じた。指に涙がついていた。
…涙が溢れていた。
なんで?と思ったが、ふと、女の人の方を向く。
「皆んなを…世界を…私を…助けて…。」と言った後。
最後に、「…勇者様」と今にも消えてなくなりそうな声だった。そして、俺は記憶の一部から現実の世界へ、舞い戻った。
自分の使命が(憎き勇者を倒す事)。
そして、その使命は達成した…と。
「ゆ、ゆゆ!勇者を倒す事!?しかも、達成したんですか!?!?で、でも、勇者は歴史上一度も大魔王に倒されてはないと…………?。」
俺は持っていた、自分の兜の事を忘れ、飛ぶ様に立ってしまった。兜はガチャン!と音を立て自分の足下に転がる。
「それはそうだろうな。お前は元々は人間だったとするとそんなデマが流れるのも仕方がない。
だが、あの時、放った勇者の技に当たってしまったのは一生の不覚だ…。私はその傷があるせいで傷から生涯魔力を永遠に垂れ流す事になってしまったよ…。」
落ち込むフローを見てタイムが言う。
「魔力は自然に有って当然の代物だけど、フローの魔力はもう無限と変わらないんだ。だから、出来る限り、周りの魔族に影響を与えない為にここでずっと暮らしてるんだ…。あ!上に結晶があるけどあれには触れちゃ駄目だよ!普通の魔力結晶じゃないから!」
「…な、なるほど。」
タイムはぴょんぴょん跳ねて片腕で天井を指す。
魔力が底無しか…。多分、今でも最強何だろうな…。と思ったが一つの疑問が脳裏を過ぎった。
「大魔王って聞くと何だか世界を壊すイメージあるんですが。大魔王は凄く優しいんですね!」
俺がそう言うとフローは首を横に振る。
「私は優しく何かないさ。あの時は憎悪、憤怒、復讐にだけ染まってしまった…。多くの仲間と生き物を自我をコントロール出来ずに壊し、また他者に私と同じ気持ちを持たせてしまった哀れな大馬鹿やろうさ。」
タイムが言う。
「あれは勇者が悪いよ!!だって、人間を盾にしたり魔物を捕まえて人質にとったり…。
とんでもないくらいに悪い奴だったよ!!」
タイムは頬を膨らませプンプンと怒っている。
可愛い…。
それにしても勇者がそんな事をするなんて…。
俺はこれまで魔族の事を誤解していたんだと感じた。確かに魔族は人間を大量に殺してきた。その分だけ人間はより強くなる為に頑張ってきた…。でも、それはお互い様だった。人間も魔族も変らない。ただお互いに憎悪と復讐でこれまでずっとこんな事を繰り返してしまったんだ。と。
俺は地面に転がっている。兜を拾った。そして、頭に被せる様に首の上に乗せた。
兜は首の部分に微かに隙間が有るもののくっついた。そして、片膝を地面に付き、フローに頭を下げた。
「…大魔王、私の知る限り人間は全員が全員悪い人では無いんです…。確かに勇者がそんな事をしてしまったのは事実かもしれない。ですが!人間にも慈愛と博愛、情愛を持った人達がいます!私は生まれて間もない者ですがお二人を見て分かります。他の魔族も人間と同じ慈愛と博愛、情愛に溢れているのだと…。」
フローもタイムも生まれて間もないリビングアーマーの話を真剣な眼差しで聴く。
「…ですから、もし宜しければ私にこの人界と魔界の両者の平和の為の媒介役として……………っ!!!」
その時だった。
俺は脳の中に何かが叩き付けられる様な感覚に襲われた。
「うがあっ!!!!!」
呻いた瞬間、脳裏にある記憶を思い出させた。
目の前は何も無い真っ白な空間。
そこに一人の女の人がいる。格好は真っ白なワンピースといった所だろうか?スカートの先はビリビリに破れており、膝上の所まで見えている。顔は見えない。
そして、彼女が呟く。
「世界を…私を…助けて」
この人は?と思った所で俺はふと目に手を当てる。頭がある。目の違和感に懐かしさを感じた。指に涙がついていた。
…涙が溢れていた。
なんで?と思ったが、ふと、女の人の方を向く。
「皆んなを…世界を…私を…助けて…。」と言った後。
最後に、「…勇者様」と今にも消えてなくなりそうな声だった。そして、俺は記憶の一部から現実の世界へ、舞い戻った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる