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攻め視点
「リョウくーん、起きてー」
「ん、もぅちょっと・・・・・・」
(ほんと、今までどうやって起きてたんだか・・・・・・)
俺は今、このめちゃんこ可愛い男の子、リョウくんの家で彼と一緒に暮らしている。
ある日普通に外を歩いていたら、いきなり目眩がして倒れ込んだ。
そして目を覚ますと、目がくりくりで今まで見たことのないくらい可愛い男の子がいたのだ。
気絶してしまった彼を看病し、身の上話をすると一緒に住むことを提案してくれて、その話に一も二もなく飛びついた。
だって、リョウくんに一目惚れしたんだもん。
俺はリョウくんの家で、料理や洗濯、掃除などの家事をしている。
出会った日にリョウくんから話を聞いているうちに、どうやら俺は別の世界へ来てしまったことがわかった。世界の構造は大体同じなのだが、店の名前や有名人など少しの差異が複数あったからだ。
それに数日ここで暮らして、それ以外に大きな違いがあるのだと知った。
俺がリョウくんに一緒に住むことを誘われた後、流れた沈黙を破るために、俺はリョウくんの頬にある痛そうな傷を指差して『どうしたのそれ?』と聞いた。
すると彼は少し慌てて、『何でもない。転んだだけ』と誤魔化すように別の話題を振ってきた。
でも翌日から、リョウくんの身体に傷跡を見つけると、俺はもしかしたらリョウくんは学校でいじめに遭っているのかもしれないと思うようになった。
でも、あんな学校一のアイドルみたいな子をいじめるか・・・・・・?と、疑問もあった。
真剣な眼差しで優しく聞き出すと、リョウくんはその大きな目にいっぱいの涙を溜めて、少しずつ話し始めた。
そして話を聞いているうちに、俺は美醜が逆転した世界に来たことを理解した。だってこんなに可愛い子が底辺だなんて、信じられないし。それに、一人暮らしをしている理由も聞いたし。
だったら、微妙な顔をしている俺はこの世界ではかなり上位に入るのではないか。だからリョウくんは、俺の顔を見たり俺が近づいたりすると顔を真っ赤にするのだろうか。
美醜が逆転している世界から来たことは、黙っていることにした。こんな話をしたところで荒唐無稽なのはわかっているし、変に混乱させたくない。
それに、俺にとっての『美形』だから近づいたのだと思われたくはないからだ。もちろん一目で惹かれたのはその顔だが、今では一つ一つの仕草やしゃべり方まで全て愛おしく思えてしまっているのだから。
ん~やっぱリョウくんのほっぺはもっちもちだな~~。
先ほど寝起きのリョウくんのほっぺたを堪能させてもらい、『もうやめて~』と言うあの可愛い顔を思い出しながら、弁当箱におかずを詰めていく。頭の中のリョウくんも可愛くて、自然と鼻歌を歌ってしまう。
「ごちそうさまでした」
そう言ってシンクに置いた食器を洗い始めるリョウくんを、背後からぎゅっと抱きしめる。俺とさほど背丈は変わらないが、抱き包むことはできるのだ。
「もっ、もぅ・・・・・・!!」
上を向いてきた顔を見ると、困ったような嬉しそうなような表情で、俺はその顔に思わずキスをしてしまいたくなった。
(やっべぇ・・・・・・マジで一瞬気が飛んだわ。この破壊的な可愛さ!!!)
大きな黒目で俺の顔を捉え、頬は赤く染まっている。
あまりの衝撃に足の力が抜けて崩れ落ちるかと思った。
「んっふふふっ、ぎゅー」
「恥ずかしいから、もぅヤダ・・・・・・」
「フゲッ」
マジな気持ちを隠すためにふざけた態度で抱きつく腕に力を入れると、本当に恥ずかしそうに俯いたもんだから、悲鳴を上げて頽れてしまった。膝に力が入らん・・・・・・。
(ああ・・・・・・なんか、泣けてきた・・・・・・・・・・・・
あまりに可愛いすぎて)
心の奥からキュンッ!!っときた。
「ごっ、ごめんなさい・・・・・・!!!」
崩れ落ちたまま顔を覆って動悸を沈めようとしていると、上から泣きそうな声が聞こえた。リョウくんの顔を見上げると、唇を噛み今にも泣きそうな目を必死に耐えている様子だった。
「やっぱ、僕の顔なんか隠したほうが――
「ぁ~~・・・・・・かわいすぎる・・・・・・」
うわ。自分で聞いてもめっちゃ気持ち悪い声が出た。
引かれたかなー・・・と思ってそろりと顔を上げると、リョウくんの表情が石化していた。
「リョウくん?」
「今の、僕のこと?」
「そうだよ」
そうに決まってるじゃん!!この世界が異常であることは置いておいて、俺にはリョウくんは目に毒すぎるほどの美貌なのだ。
もう今まで通りのふざけた態度は取れない。この際に本音を吐いてしまおう。本当に可愛いと思っていることを認識してもらわないと。
そう思い、俺は立ち上がってリョウくんの両肩に手を置いた。
真面目に伝えようと目を合わすと、目の周りがほんのり赤くなっていてなぜか身長は同じはずなのにこちらを窺うように上目遣いになっている。
そして期待と怯えを含んでいる潤んだ目・・・・・・
「フグッ!!
お、俺、リョウくんのこと可愛いって・・・本当に思ってるからっ!!」
真面目に言おうと思った直後にあまりの可愛さにむせてしまった。伝えたいことは言えたが、結局リョウくんを直視できず口元も手で覆って照れ隠しをしてしまった。格好悪い・・・・・・。
それでも効果はあったのか、リョウくんは目を泳がせながら小さく『ぁ、ぁりがと・・・』と顔を真っ赤にさせて答えてくれた。
それに完全にヤられた俺は、リョウくんと同じくらい顔を赤くしながら食器は洗っておくからとリョウくんを登校へ促す。
弁当を嬉しそうに鞄に入れ、少し恥ずかしそうにして行くリョウくんを見送り、扉が閉まったと同時に俺は床にへたり込んだ。
「可愛い過ぎるだろ~・・・・・・」
今は居候の身だが、この世界で仕事を探し絶対に一人前になってリョウくんと一緒に暮らしたいと思う。もしそうなったら自分はリョウくんを家の中に閉じ込めてしまうかもしれない。今でも本当は学校になんか行って欲しくないのだ。
リョウくんに俺の美醜感覚を知られ彼の顔に惚れたことを知られるのと同じくらい、俺も彼が自分以外の奴を好きになってしまうことが怖い。
いくら美醜が逆転しているといっても俺のような美意識を持つ人間はいるだろうし、第一リョウくんは顔以外も全てが可愛いのだ。もしそんな人間が俺よりも美形だったら、リョウくんはそちらの方を好きになってしまうかもしれない。
リョウくんが俺じゃない奴を好きになるのも、俺じゃない誰かに好意を抱かれるのも、絶対に嫌だと思う。
それならリョウくんを家の中に閉じ込めて外の世界から引き離してしまい、俺だけを見てくれるような状況にしてしまいたい・・・・・・
と、一瞬頭を過ぎるほの暗い気持ちを切り替え、俺は今日もリョウくんのためにおいしいご飯を作るのだ。
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