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19話
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あれから数日後。
俺の目覚めは快感と共に訪れる事となっていた。
チュッ、チュルッ……ジュポッ、ジュポッ……
「ん……おはようございます」
「ん、おあよ♡ジュズズッ」
「おはよー♪今日も朝から元気だね♡」
ランプの灯りでハッキリはしないが……夜明けよりやや前だと思われる時間、朝の挨拶を俺の股間からしてくるのはリーナさんの友人2名である。
数日前の湯浴み体験から、彼女達は毎日1人か2人俺の家に泊まるのが日常になっていた。
あの日、結局全員へお邪魔することになり、暗くなる前には帰したのだが……
そこで身綺麗になった上、ちょっとした変化もあったことで誤魔化すのも難しく、その結果俺の家での湯浴みが注目される事になった。
で、やはりあの娘達だけというのは不和を招くということで……村長の要請もあり、お湯の管理をしやすいように5人一組、使うのはシャワーのみということで他の村人にも利用させてあげることにしたのだ。
もちろん、魔石を使う以上は無料というわけにはいかず、1人200コールを頂くことにしている。
これは小さい魔石を1つ買うより少し高いが、安いと毎日来る人が増え、せっかく増えた魔石がまた減ってしまうのを抑えるためだ。
父によるともっと高くしてもおかしくはないらしいが、高くしすぎて揉め事になるのは困るしな。
それで俺は浴場を営む人という扱いで、空いている時間や仕事上がりで来る客に対応するのだが、男性客はともかく女性客に脱衣所や浴室での説明とサポートはできない。
まぁ、俺ぐらいの歳なら構わんと言う人もいるが……
とにかく、そこでリーナさんやその友人達に手伝ってもらう話になり、お礼に手伝ってくれた日は無料で入浴をさせてあげているという事になったのだ。
基本的に店仕舞いはやや暗くなる頃で、その後に入浴して暗い中を帰らせるのは危険だから俺の家に泊まる、という設定だが……
「はあぁぁ……昨日も気持ち良かったね♪」
「ジュジュッ……ふぅ、そうね。次はまた2日後かぁ」
「まぁ、この後の湯浴みで1、2回はするでしょ?」
「でしょうね。これだけ元気だし」
と、俺のモノを弄りながら話す彼女達。
そのやり取りからわかる通り、泊まれば当然のようにヤるようになっていて、朝の身支度にシャワーを使わせてそういう事になるのもいつもの事だった。
そして彼女達は俺の負荷を考慮してローテーションを組んでおり、泊まるのが1人か2人になっているので浴場の手伝いとして来るのも1日2人までとなっているのだ。
泊まるとなれば夕食の問題があるが、そこは熱源なしでお湯を用意できる俺がいるので材料さえあればなんとかなっている。
そんな感じで朝を迎えた俺は女性2人と共に浴室へ向かい、気持ち良く身体を洗い合った。
「んー、ちゅっ。じゃ、またね♪」
「またねー♪」
そう言うと2人はやや明るくなってきた外へ出て、自分たちの家へ帰って行く。
前世に比べると充実しすぎな朝だな……と思いつつ、今日も早速浴場"ジオの湯"の開店準備に取り掛かった。
実は、早朝からの客が少々だが来るからだ。
程なくして、若めの夫婦がやって来た。
「お、おはよう。いいかな?」
「おはようございます。どうぞ」
俺がそう応えると、2人は5人分の金を払って中に入る。
これはまぁ、夜にお楽しみだった夫婦が、朝の身支度として入浴を希望しているのだ。
今一緒に入っていった奥さん、好みではないが事後感が強めで中々の色気があった。
こういうのを人目に触れさせたくない人が、早い時間からこの浴場を利用しに来るわけだ。
その家に財政的に問題がなければ人口の増加を望む村長の口添えもあり、5人分の料金を支払うのであればということで対応することにした。
ただ……
パンパンパンパン……
ンッ♡アンッ♡
ハァ、ハァ、ハァ……
一緒に入浴しているうちに盛り上がったらしいが、後で顔を合わせるのが気不味いので控えてほしいところである。
「じゃあ、また……♡」
入浴前より色気の増した奥さんはそう言って、お疲れ気味の旦那さんを連れて帰った。
仕事に影響が出ないといいが……まぁ、そもそも浴場での本番行為は認めてないし、俺が文句を言われることはないだろう。
というわけで後始末を終え、朝食を取るために実家へ向かった。
これが最近の俺の生活だったのだが……この後、ある知らせが届く事によって状況が変わる。
それは、領主から兵を寄越すという知らせだった。
自分の家でちょっとした細工物をしていると、外から俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
ドンドンドン!
「おーい!ジオくーん!」
ん?この声は……朝風呂でヤッてた夫婦の旦那さんだな。
ドアの覗き穴から確認し、予想通りだったのでドアを開けた。
「はーい、どうしました?」
「ああ、ちょっといい?実は村長に領主様からの知らせが届いてね」
「ああ、街道を塞いだ魔物の件ですか?」
「うん。詳しい話は今から村長の家で聞いて。そのために呼びに来たんだ」
「はあ、わかりました」
なんで俺が?と思いつつ、家の施錠をして村長宅へ向かう。
ドン、ドン!ドドドン!
「こーんちわー」
カチャ、キィッ……
「来たか」
「あれ、父さん?何でここに?」
ちょっと変わったリズムでドアを叩くと、中から顔を出したのは父だった。
今日は農作業に出ていたはずだが……
「ああ、魔物達が街道を塞いだ件で呼び出されてな。まぁ、入れ」
「はーい」
父に招かれて村長宅に入ると、そのまま会議室のような部屋に連れて行かれた。
椅子などはなく、飲み会に使われたりもする部屋らしいが。
「来たか」
「はい。こんにちは」
「おう。そこに座りな」
父と同じセリフで迎えられ、示された場所に座り込むと……隣に父が座って村長が話し始める。
「西側の街道が塞がれた話は覚えてるな?」
「はい」
「その件が無事に領主様へ届いたようだが……さっき返事が届いてな。簡単に言うと寄越せる兵は10人かそこらだそうだ」
「えぇ……」
リョーガさん達の話では雨のような投石があったと聞くし、その程度で対処できる数だとは思えないんだが。
「物凄く強い人達なんですか?」
一縷の望みを掛けて村長にそう聞いてみるが……彼は首を横に振った。
「いや。言っちゃあなんだが、ここの領主様ぐらいの家にそこまでの兵なんか居ないな」
「おおぅ……だとしたら、もっと多くの兵が居たりするんじゃないですか?」
「いや、数もそこまで多くはないな」
「えぇ……じゃあ、元々兵が少ないから10人だけってことですか?」
「それもあるんだが……リョーガによると南側でも川に架かる橋を落とされていて、それも魔物の集団がやったらしいんだ。聞いてないか?」
「あぁ、聞きました。そっちも魔物の仕業だとは聞いてませんでしたけど」
「そうか。あっちは別の領だから、向こうの領主様に報告されたらしくてな。こちらの件よりも早く報告されたようで、調べに行った兵が橋の近くで街道を見張っているゴブリンを見つけたそうだ」
「えぇ?じゃあ、西へ向かう街道を使えなくしたのはどっちも魔物の集団ってことですか?」
「そうなるな。まぁ、同じ集団なのかはまだわからんが。で、南側の件が早く進んだ結果こっちの領主様に兵の派遣……つまり手伝いを出してくれって話が来て、こっちの話が届く前にそれに応じていたから出せる兵が少なくなっているらしい」
領主の仲が良好だからそうなったのかもしれないが……普段なら良い事でもこういうときはかなり困るな。
まぁ逆の立場になる場合もあっただろうし、領主の仲が悪くてお互いの嫌がらせによる疲弊をするよりは良いんだろうけど。
「で、どうするんですか?10人ぐらいの戦力で戦うんですか?」
「いや、報告された数に対しては流石に戦力が足りんだろう。おそらく寄越されるのは調査だけを担当する兵達だな」
だとすると、西側の街道が復旧されるのはだいぶ遅くなるな。
まぁ、魔物が片付けば俺が街道の復旧をしてもいいんだが……
「はぁ、なるほど……で、何で俺が呼ばれてるんですか?」
そう聞くと村長は父と目を合わせ、お互いに頷くと用件を切り出した。
「実はな……その兵達の指揮というか、監督をするのが領主様の娘さんでな。それでまぁ、お前の浴場で彼女を持て成してもらいたいんだ」
「えぇ……持て成すって言っても湯浴みさせるだけしかできませんし、偉い人にどんな感じで接したら良いかわからないんですが」
あくまでも前世の知識だが、礼儀がなってないだけで殴られたり、最悪殺される可能性さえあるかもしれない。
抵抗はするにしても、それによって両親が咎められるかもしれないんだよな。
なので全力でお断りしたいところなのだが……そこで父が口を開く。
「そこまで気にしなくても大丈夫だ。その……ここの領主様は貴族の中ではそこまで偉くないし、2人居る息子も含めて子供達にそこまで強い権限はないらしい」
そんなに家格の高い貴族ではないのか。
ただ……その話をどこまで信じていいものか。
「父さんはその娘さんの事に詳しいの?」
「まぁ、あくまでも部外者が知れる範囲の事だがな。住んでいる村の住人と普通に交流はあるそうだぞ」
父の言葉に続き、村長が別の情報も出してくる。
「商人経由の話だと、もうしばらくしたら婚約者探しで王都に向かうらしいとは聞いたな。可能なら上位の貴族家に嫁がせて、相手の家から色々と支援してもらおうって事だろう」
政略結婚か……まぁこういう世界というか、時代なのかな。
村長が出した情報は俺をその娘に同情させるためのようだが……ある程度は効果があった。
そういう道具にされるような扱いってことに同情はできるし、村人に怖がられているような娘でないのなら……まぁ、いいか。
「わかりました。浴場に関しては引き受けますよ。ただ魔石の在庫がだいぶ減ってるんですが……」
リョーガさんの護衛に湯浴みをさせる際に貰った分も含めて結構持っていたのだが、最近の浴場経営によってそれはお金へ変換されていっている。
すぐに尽きるわけではないが、その娘さんの要求によっては無駄に多く使う事になるかもしれない。
というわけで、魔石の補給を訴え出てみた。
「ああ、そのことについてはリョーガから伝えてあって、ある程度は用意してあるそうだぞ」
「そうなんですか。じゃあ、俺の力についても教えてあるって事ですかね?」
「どこまでかはわからんが、村の者が知っている程度のことは伝えてあるんじゃないか?」
「ですかね。まぁ、偉い人に知られるのは覚悟してたからいいんですけど」
そう言った俺に父が確認してくる。
「……いいのか?」
「まぁね。さっきも言った通り覚悟はしてたし」
「そうか」
父が頷いてそう返すと村長が席を立った。
「じゃあ、話がまとまったところで準備するか」
「ああ、急がないとな」
父も立ちながらそう応えると、2人して慌ただしく外へ出ようとする。
「え?返事を出してそれが届いて、準備をしてこっちに来るならまだ余裕はあるんじゃない?」
そう聞いた俺に、2人は揃ってこう答えた。
「「いや?今日中に来るぞ?」」
え、今日会う覚悟はまだなんですけど。
俺の目覚めは快感と共に訪れる事となっていた。
チュッ、チュルッ……ジュポッ、ジュポッ……
「ん……おはようございます」
「ん、おあよ♡ジュズズッ」
「おはよー♪今日も朝から元気だね♡」
ランプの灯りでハッキリはしないが……夜明けよりやや前だと思われる時間、朝の挨拶を俺の股間からしてくるのはリーナさんの友人2名である。
数日前の湯浴み体験から、彼女達は毎日1人か2人俺の家に泊まるのが日常になっていた。
あの日、結局全員へお邪魔することになり、暗くなる前には帰したのだが……
そこで身綺麗になった上、ちょっとした変化もあったことで誤魔化すのも難しく、その結果俺の家での湯浴みが注目される事になった。
で、やはりあの娘達だけというのは不和を招くということで……村長の要請もあり、お湯の管理をしやすいように5人一組、使うのはシャワーのみということで他の村人にも利用させてあげることにしたのだ。
もちろん、魔石を使う以上は無料というわけにはいかず、1人200コールを頂くことにしている。
これは小さい魔石を1つ買うより少し高いが、安いと毎日来る人が増え、せっかく増えた魔石がまた減ってしまうのを抑えるためだ。
父によるともっと高くしてもおかしくはないらしいが、高くしすぎて揉め事になるのは困るしな。
それで俺は浴場を営む人という扱いで、空いている時間や仕事上がりで来る客に対応するのだが、男性客はともかく女性客に脱衣所や浴室での説明とサポートはできない。
まぁ、俺ぐらいの歳なら構わんと言う人もいるが……
とにかく、そこでリーナさんやその友人達に手伝ってもらう話になり、お礼に手伝ってくれた日は無料で入浴をさせてあげているという事になったのだ。
基本的に店仕舞いはやや暗くなる頃で、その後に入浴して暗い中を帰らせるのは危険だから俺の家に泊まる、という設定だが……
「はあぁぁ……昨日も気持ち良かったね♪」
「ジュジュッ……ふぅ、そうね。次はまた2日後かぁ」
「まぁ、この後の湯浴みで1、2回はするでしょ?」
「でしょうね。これだけ元気だし」
と、俺のモノを弄りながら話す彼女達。
そのやり取りからわかる通り、泊まれば当然のようにヤるようになっていて、朝の身支度にシャワーを使わせてそういう事になるのもいつもの事だった。
そして彼女達は俺の負荷を考慮してローテーションを組んでおり、泊まるのが1人か2人になっているので浴場の手伝いとして来るのも1日2人までとなっているのだ。
泊まるとなれば夕食の問題があるが、そこは熱源なしでお湯を用意できる俺がいるので材料さえあればなんとかなっている。
そんな感じで朝を迎えた俺は女性2人と共に浴室へ向かい、気持ち良く身体を洗い合った。
「んー、ちゅっ。じゃ、またね♪」
「またねー♪」
そう言うと2人はやや明るくなってきた外へ出て、自分たちの家へ帰って行く。
前世に比べると充実しすぎな朝だな……と思いつつ、今日も早速浴場"ジオの湯"の開店準備に取り掛かった。
実は、早朝からの客が少々だが来るからだ。
程なくして、若めの夫婦がやって来た。
「お、おはよう。いいかな?」
「おはようございます。どうぞ」
俺がそう応えると、2人は5人分の金を払って中に入る。
これはまぁ、夜にお楽しみだった夫婦が、朝の身支度として入浴を希望しているのだ。
今一緒に入っていった奥さん、好みではないが事後感が強めで中々の色気があった。
こういうのを人目に触れさせたくない人が、早い時間からこの浴場を利用しに来るわけだ。
その家に財政的に問題がなければ人口の増加を望む村長の口添えもあり、5人分の料金を支払うのであればということで対応することにした。
ただ……
パンパンパンパン……
ンッ♡アンッ♡
ハァ、ハァ、ハァ……
一緒に入浴しているうちに盛り上がったらしいが、後で顔を合わせるのが気不味いので控えてほしいところである。
「じゃあ、また……♡」
入浴前より色気の増した奥さんはそう言って、お疲れ気味の旦那さんを連れて帰った。
仕事に影響が出ないといいが……まぁ、そもそも浴場での本番行為は認めてないし、俺が文句を言われることはないだろう。
というわけで後始末を終え、朝食を取るために実家へ向かった。
これが最近の俺の生活だったのだが……この後、ある知らせが届く事によって状況が変わる。
それは、領主から兵を寄越すという知らせだった。
自分の家でちょっとした細工物をしていると、外から俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
ドンドンドン!
「おーい!ジオくーん!」
ん?この声は……朝風呂でヤッてた夫婦の旦那さんだな。
ドアの覗き穴から確認し、予想通りだったのでドアを開けた。
「はーい、どうしました?」
「ああ、ちょっといい?実は村長に領主様からの知らせが届いてね」
「ああ、街道を塞いだ魔物の件ですか?」
「うん。詳しい話は今から村長の家で聞いて。そのために呼びに来たんだ」
「はあ、わかりました」
なんで俺が?と思いつつ、家の施錠をして村長宅へ向かう。
ドン、ドン!ドドドン!
「こーんちわー」
カチャ、キィッ……
「来たか」
「あれ、父さん?何でここに?」
ちょっと変わったリズムでドアを叩くと、中から顔を出したのは父だった。
今日は農作業に出ていたはずだが……
「ああ、魔物達が街道を塞いだ件で呼び出されてな。まぁ、入れ」
「はーい」
父に招かれて村長宅に入ると、そのまま会議室のような部屋に連れて行かれた。
椅子などはなく、飲み会に使われたりもする部屋らしいが。
「来たか」
「はい。こんにちは」
「おう。そこに座りな」
父と同じセリフで迎えられ、示された場所に座り込むと……隣に父が座って村長が話し始める。
「西側の街道が塞がれた話は覚えてるな?」
「はい」
「その件が無事に領主様へ届いたようだが……さっき返事が届いてな。簡単に言うと寄越せる兵は10人かそこらだそうだ」
「えぇ……」
リョーガさん達の話では雨のような投石があったと聞くし、その程度で対処できる数だとは思えないんだが。
「物凄く強い人達なんですか?」
一縷の望みを掛けて村長にそう聞いてみるが……彼は首を横に振った。
「いや。言っちゃあなんだが、ここの領主様ぐらいの家にそこまでの兵なんか居ないな」
「おおぅ……だとしたら、もっと多くの兵が居たりするんじゃないですか?」
「いや、数もそこまで多くはないな」
「えぇ……じゃあ、元々兵が少ないから10人だけってことですか?」
「それもあるんだが……リョーガによると南側でも川に架かる橋を落とされていて、それも魔物の集団がやったらしいんだ。聞いてないか?」
「あぁ、聞きました。そっちも魔物の仕業だとは聞いてませんでしたけど」
「そうか。あっちは別の領だから、向こうの領主様に報告されたらしくてな。こちらの件よりも早く報告されたようで、調べに行った兵が橋の近くで街道を見張っているゴブリンを見つけたそうだ」
「えぇ?じゃあ、西へ向かう街道を使えなくしたのはどっちも魔物の集団ってことですか?」
「そうなるな。まぁ、同じ集団なのかはまだわからんが。で、南側の件が早く進んだ結果こっちの領主様に兵の派遣……つまり手伝いを出してくれって話が来て、こっちの話が届く前にそれに応じていたから出せる兵が少なくなっているらしい」
領主の仲が良好だからそうなったのかもしれないが……普段なら良い事でもこういうときはかなり困るな。
まぁ逆の立場になる場合もあっただろうし、領主の仲が悪くてお互いの嫌がらせによる疲弊をするよりは良いんだろうけど。
「で、どうするんですか?10人ぐらいの戦力で戦うんですか?」
「いや、報告された数に対しては流石に戦力が足りんだろう。おそらく寄越されるのは調査だけを担当する兵達だな」
だとすると、西側の街道が復旧されるのはだいぶ遅くなるな。
まぁ、魔物が片付けば俺が街道の復旧をしてもいいんだが……
「はぁ、なるほど……で、何で俺が呼ばれてるんですか?」
そう聞くと村長は父と目を合わせ、お互いに頷くと用件を切り出した。
「実はな……その兵達の指揮というか、監督をするのが領主様の娘さんでな。それでまぁ、お前の浴場で彼女を持て成してもらいたいんだ」
「えぇ……持て成すって言っても湯浴みさせるだけしかできませんし、偉い人にどんな感じで接したら良いかわからないんですが」
あくまでも前世の知識だが、礼儀がなってないだけで殴られたり、最悪殺される可能性さえあるかもしれない。
抵抗はするにしても、それによって両親が咎められるかもしれないんだよな。
なので全力でお断りしたいところなのだが……そこで父が口を開く。
「そこまで気にしなくても大丈夫だ。その……ここの領主様は貴族の中ではそこまで偉くないし、2人居る息子も含めて子供達にそこまで強い権限はないらしい」
そんなに家格の高い貴族ではないのか。
ただ……その話をどこまで信じていいものか。
「父さんはその娘さんの事に詳しいの?」
「まぁ、あくまでも部外者が知れる範囲の事だがな。住んでいる村の住人と普通に交流はあるそうだぞ」
父の言葉に続き、村長が別の情報も出してくる。
「商人経由の話だと、もうしばらくしたら婚約者探しで王都に向かうらしいとは聞いたな。可能なら上位の貴族家に嫁がせて、相手の家から色々と支援してもらおうって事だろう」
政略結婚か……まぁこういう世界というか、時代なのかな。
村長が出した情報は俺をその娘に同情させるためのようだが……ある程度は効果があった。
そういう道具にされるような扱いってことに同情はできるし、村人に怖がられているような娘でないのなら……まぁ、いいか。
「わかりました。浴場に関しては引き受けますよ。ただ魔石の在庫がだいぶ減ってるんですが……」
リョーガさんの護衛に湯浴みをさせる際に貰った分も含めて結構持っていたのだが、最近の浴場経営によってそれはお金へ変換されていっている。
すぐに尽きるわけではないが、その娘さんの要求によっては無駄に多く使う事になるかもしれない。
というわけで、魔石の補給を訴え出てみた。
「ああ、そのことについてはリョーガから伝えてあって、ある程度は用意してあるそうだぞ」
「そうなんですか。じゃあ、俺の力についても教えてあるって事ですかね?」
「どこまでかはわからんが、村の者が知っている程度のことは伝えてあるんじゃないか?」
「ですかね。まぁ、偉い人に知られるのは覚悟してたからいいんですけど」
そう言った俺に父が確認してくる。
「……いいのか?」
「まぁね。さっきも言った通り覚悟はしてたし」
「そうか」
父が頷いてそう返すと村長が席を立った。
「じゃあ、話がまとまったところで準備するか」
「ああ、急がないとな」
父も立ちながらそう応えると、2人して慌ただしく外へ出ようとする。
「え?返事を出してそれが届いて、準備をしてこっちに来るならまだ余裕はあるんじゃない?」
そう聞いた俺に、2人は揃ってこう答えた。
「「いや?今日中に来るぞ?」」
え、今日会う覚悟はまだなんですけど。
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