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親友と再会
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出前で頼んだ、お昼ご飯の極上寿司を食べ終えると、父はぐっすりとこたつで眠ってしまった。
僕は母が入れてくれたお茶をひと口飲んで、暑くて脱いで、近くに置いた上着の内ポケットから茶封筒を取り出した。
「母さん、借りてたお金返すね。ありがとう」
母は茶封筒を受け取った。
「なんだか多い気がするけど?」
受け取った茶封筒の厚みで、母は気づいたみたいだ。
「うん。少し多めに入れた。これから一緒に住むからね」
「そんなこと気にしなくていいのに。でも、ありがと、貰うわね」
母は茶封筒を持って部屋を出た。それからしばらくして戻って、もとの場所に座った。
「それにしてもびっくりしたわよ。久しぶりの電話で、お金を貸してって言われた時は」
「ごめん。あの時、誰にもバレずに、金銭的なことを頼れるのは母さんだけだったから」
僕は就職してから給料は全て、元妻に渡していた。最初の一年間は、雀の涙程度の小遣いはあったけど、二年目からは、その小遣いもなくなった。だから、探偵や弁護士の費用は母に相談して借りていた。
「ねぇ、テツ、本当に終わったのよね?」
心配そうに母は僕に尋ねる。
「うん。心配しなくていいよ。全部終わったから。慰謝料、財産分与も弁護士さんに全てやってもらったし、それに僕に関わらせないように、接近禁止命令も法的にしたから、しばらくは大丈夫。禁止命令の有効期間が終わっても、また申請するから大丈夫だよ」
「そうなのね。それを聞いて、安心したわ。だけど……油断は禁物ね」
「うん。そうだね」
元妻は今頃、浮気相手の同期と仲良くやっているだろう。まぁ、どうでもいいけど。
「テツは凛子ちゃんには、会ったのよね」
「うん。会ったよ。息子の蒼太君にもね。おじさんとおばさんには会えなかったけどね」
「あの二人は、世界一周クルージングの旅をしているわ」
「そうなの? 世界一周の旅って、すごいね」
「二人の夢だったからね。今頃は船の上で、はしゃいでいるわよ、きっと」
「母さんは、世界一周旅行に行きたいとか思わないの?」
「私は思わないかな。家でのんびり過ごす方が良いわね。お父さんと一緒にね」
父さんが羨ましい。母さんに愛されて。僕も父さんと母さんのような家庭を作りたかった。
「ねぇ、母さん」
「何?」
「蒼太君のお父さんって誰なの?」
「それは……分からないわ。父親は私たちの知らない人らしいけど……気になるの?」
「気にはなるよ。幼馴染だし」
「凛子ちゃんが言いたくないことだから、本人に直接聞いちゃダメよ。絶対嫌われるわよ」
「聞かないよ。僕もそこまでバカじゃないから」
母と会話をしていて見ていない、つけっぱなしのテレビから、午後三時の時報が聞こえた。
「テツ、このあとどうするの?」
「力也君のお店に行こうと思ってる」
「それはいいわね。お父さんが力也君のお店に毎週行って、毎回酔っ払って、ベラベラとテツのことを喋っているみたいだから、これまでの事情は全て知ってるはずよ」
「そうなの?」
母との会話の途中にピンポンと、玄関のインターホンが鳴った。母が玄関へ行った。
「テツ、久しぶりだな。元気にしてたか?」
「力也君?! どうして?!」
「さっき凛子の店に行ったら、テツが帰ってきてるって聞いてさ。だから来た」
母と一緒に現れたのは、保育園の頃に知り合って、一番仲が良かった友達。もともとイケメンだったけど大人になって、さらにカッコよくなっていた。
僕は母が入れてくれたお茶をひと口飲んで、暑くて脱いで、近くに置いた上着の内ポケットから茶封筒を取り出した。
「母さん、借りてたお金返すね。ありがとう」
母は茶封筒を受け取った。
「なんだか多い気がするけど?」
受け取った茶封筒の厚みで、母は気づいたみたいだ。
「うん。少し多めに入れた。これから一緒に住むからね」
「そんなこと気にしなくていいのに。でも、ありがと、貰うわね」
母は茶封筒を持って部屋を出た。それからしばらくして戻って、もとの場所に座った。
「それにしてもびっくりしたわよ。久しぶりの電話で、お金を貸してって言われた時は」
「ごめん。あの時、誰にもバレずに、金銭的なことを頼れるのは母さんだけだったから」
僕は就職してから給料は全て、元妻に渡していた。最初の一年間は、雀の涙程度の小遣いはあったけど、二年目からは、その小遣いもなくなった。だから、探偵や弁護士の費用は母に相談して借りていた。
「ねぇ、テツ、本当に終わったのよね?」
心配そうに母は僕に尋ねる。
「うん。心配しなくていいよ。全部終わったから。慰謝料、財産分与も弁護士さんに全てやってもらったし、それに僕に関わらせないように、接近禁止命令も法的にしたから、しばらくは大丈夫。禁止命令の有効期間が終わっても、また申請するから大丈夫だよ」
「そうなのね。それを聞いて、安心したわ。だけど……油断は禁物ね」
「うん。そうだね」
元妻は今頃、浮気相手の同期と仲良くやっているだろう。まぁ、どうでもいいけど。
「テツは凛子ちゃんには、会ったのよね」
「うん。会ったよ。息子の蒼太君にもね。おじさんとおばさんには会えなかったけどね」
「あの二人は、世界一周クルージングの旅をしているわ」
「そうなの? 世界一周の旅って、すごいね」
「二人の夢だったからね。今頃は船の上で、はしゃいでいるわよ、きっと」
「母さんは、世界一周旅行に行きたいとか思わないの?」
「私は思わないかな。家でのんびり過ごす方が良いわね。お父さんと一緒にね」
父さんが羨ましい。母さんに愛されて。僕も父さんと母さんのような家庭を作りたかった。
「ねぇ、母さん」
「何?」
「蒼太君のお父さんって誰なの?」
「それは……分からないわ。父親は私たちの知らない人らしいけど……気になるの?」
「気にはなるよ。幼馴染だし」
「凛子ちゃんが言いたくないことだから、本人に直接聞いちゃダメよ。絶対嫌われるわよ」
「聞かないよ。僕もそこまでバカじゃないから」
母と会話をしていて見ていない、つけっぱなしのテレビから、午後三時の時報が聞こえた。
「テツ、このあとどうするの?」
「力也君のお店に行こうと思ってる」
「それはいいわね。お父さんが力也君のお店に毎週行って、毎回酔っ払って、ベラベラとテツのことを喋っているみたいだから、これまでの事情は全て知ってるはずよ」
「そうなの?」
母との会話の途中にピンポンと、玄関のインターホンが鳴った。母が玄関へ行った。
「テツ、久しぶりだな。元気にしてたか?」
「力也君?! どうして?!」
「さっき凛子の店に行ったら、テツが帰ってきてるって聞いてさ。だから来た」
母と一緒に現れたのは、保育園の頃に知り合って、一番仲が良かった友達。もともとイケメンだったけど大人になって、さらにカッコよくなっていた。
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