離婚して実家に帰り幼馴染と再会したら、彼女はシングルマザーになっていた。

さとうはるき

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就寝。

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 シャワーを蒼太君と浴び、テントへ戻った。力也君と凛子ちゃんは交代でシャワー室へ。遅れて由希子ちゃんが戻ってきた。

 力也君と凛子ちゃんがシャワー室から戻ってくると、力也君がクーラーボックスからビール缶を取り出してグビグビと飲んだ。僕も一緒にビールを飲む。

 夕ご飯はたこ焼き。ガスコンロたこ焼き機で作る。凛子ちゃんと由希子ちゃんが食材の準備をしている。蒼太君も二人のお手伝い。

 たこ焼きの準備が出来たので、たこ焼きパーティーが始まった。出来立てのアツアツたこ焼きはビールとよく合う。

 夕ご飯を食べ終え後片付けをする。歯磨きも炊事場で邪魔にならないように終わらせた。消灯は午後十時。現在時刻は午後八時。

 蒼太君が目を擦り眠そうにしている。蒼太君に合わせて早めの就寝。その時、僕は焦ってしまった。僕は凛子ちゃん親子と同じテントで寝るということになっていた。力也君と男二人でテントで寝ると思っていた。

 凛子ちゃんと何か起きるのを期待しているというのはない。間違いは起こさない。でも、お酒を飲んでいる僕は寝ぼけて、何かをする可能性がないとも言えない。

 僕以外の大人の三人は当たり前の様に、僕と凛子ちゃん親子が同じテントで寝る準備をしている。力也君と由希子ちゃんが夫婦だからなのか、同じテントで寝るのが自然なのだろうか?

 そんな事を考えていると、蒼太君が僕の足に抱きつく。かなり眠そうだ。

 離れない蒼太君をテントへ僕が連れて行く。四人用のテントの方へ。吊るさずに置いていたランタン風のLEDライトを最弱の明かりにする。中に寝袋が川の字で三つあり、蒼太君を真ん中の寝袋へ誘導する。

 蒼太君は寝袋へ入るとすぐに寝息をたてた。それから遅れて凛子ちゃんがテントの中へ。

「ありがと。蒼太といつの間に仲良くなったの? シャワー室で何かあった?」

 凛子ちゃんが僕のすぐ隣に座り、僕の耳元でささやくように質問をする。耳がくすぐったい。お酒のせいなのか、心拍数が上がっているのが分かる。

「特に何も——」

 凛子ちゃんと距離が近すぎたので、体を少しのけぞらせ返答しようとすると、凛子ちゃんは人差し指を自分の口に当て、『しー』と小さな声で言った。そして髪を耳にかけて僕の方へ向けた。

 僕は凛子ちゃんの耳へ近づく。彼女の髪からシャンプーのいい香りがする。

「特に何もなかったけど、少しおしゃべりしたからかな? 蒼太君の学校生活とかね」

 女性にこんなにも近づいたのはいつぶりだろう。元嫁との恋人の期間と結婚生活の記憶を辿っても思い出せない。

 凛子ちゃんが僕から少し離れて、自分の耳を押さえている。

「も~、近すぎ。くすぐったいよ~」

 小声で喋りながら、少し恥ずかしそうにしている凛子ちゃん。

「あっ、ごめん」

 僕も小声で謝罪。僕が謝ると薄暗いテントの中で凛子ちゃんが声を殺して笑った。

 中学生の頃と変わらない凛子ちゃんの笑顔。もしあの日、あの時……中学卒業式に告白をしていたら、今とは違う人生があったのだろうか……元妻と出会わなかったのだろうか……。

「テツ、どうしたの? 難しい顔してるよ」

「なんでもないよ。寝よっか」

 たられば的なこと、元妻のことを考えていると、先程まで浮かれていた気持ちが冷めていく。

 ぐっすりと眠っている蒼太君を真ん中に、僕と凛子ちゃんはそれぞれの寝袋に入った。そしてすぐ近くにあるランタンの明かりを消した。
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