永遠の双子

茶々あやめ

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目覚ましのベルが小さく鳴る前に、麗華は瞼を開けていた。カーテンの隙間から差し込む朝の光が、白いシーツの上に淡く広がっている。枕元では、まだ眠そうに身じろぎする純明ちゃんの横顔があった。

「お姉ちゃん、おはよう……」
「おはよう、純明ちゃん。今日もいい天気よ」

純明ちゃんは片目をこすりながら、布団から顔を出した。寝癖のついた髪が少し跳ねていて、その仕草さえも愛らしい。

「ねえ、お姉ちゃん。今日は一限からでしょ?」
「そうよ。純明ちゃんが起こしてくれたから、遅刻せずに済みそうね」
「僕、役に立てたかな」
「ええ、とっても」

麗華は微笑みながら弟の頬を軽くつつく。その温もりが心に満ちて、今日という日がすでに輝き出すようだった。

二人で布団を整えてから、並んで洗面所に向かう。冷たい水で顔を洗い、鏡に並ぶ姿はまるで昔から変わらない朝の儀式のようだった。

「お姉ちゃん、歯磨き粉、僕の方に寄ってるよ」
「あら、ごめんなさい。はい、どうぞ」
「ありがと」

純明ちゃんの笑顔に、麗華も自然と口元がほころぶ。小さなやりとりの一つひとつが、かけがえのない宝石のように感じられる。

朝食はいつものトーストと卵、それにコーヒーとオレンジジュース。二人で分担して準備するのが習慣になっていた。

「純明ちゃん、卵は半熟でいい?」
「うん、半熟が好き。黄身がとろっとしてるのが一番おいしいよ」
「ふふ、知ってるわ」

フライパンの上で卵がぷつぷつと音を立て、香ばしい匂いがキッチンに満ちていく。トーストの焼ける香りと混ざり合い、家全体を包み込む。

「いただきます」
「いただきます、お姉ちゃん」

向かい合って座り、同時に手を合わせる。その光景は当たり前のようでいて、麗華にとっては世界で一番幸せな瞬間だった。

「お姉ちゃん、今日の講義、ちょっと難しいんじゃない?」
「そうかしら。でも純明ちゃんが一緒にいてくれるから、大丈夫」
「僕もがんばるよ」
「頼もしいわね」

小さな笑い声が、食卓の上で弾んだ。

食後にはコーヒーの湯気がふんわりと立ちのぼり、純明ちゃんは新聞を広げる。麗華は隣でスケジュール帳を開き、今日の予定を確認する。

「お姉ちゃん、午後は空いてるんだね」
「ええ、だから一緒に寄り道しましょうか。純明ちゃんの好きな図書館でも」
「ほんと? うれしいな」

その喜ぶ顔を見るだけで、麗華は胸が温かくなった。世界のすべてがここにある――そう信じられるほどに。

こうして麗華と純明ちゃんの朝は、穏やかに過ぎていった。
外の街がどんな喧騒に包まれていようと、二人だけの小さな世界には、やさしい時間が絶え間なく流れていた。
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