【完結】バイトの後輩があまりにもショタで困る

のりたまご飯

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第二章 寒凪

朝風呂と身支度と

翌日。暖かな布団の中で俺はゆっくりと目覚めた。
眠い目を擦りながら横をみると、隣の布団には気持ちよさそうに枕を抱えて横向きですやすや寝ているりょうやの姿がある。

深夜に起こったことを思い出すだけで混乱する。
全くあれは一体なんだったんだ…。本当は夢だったのだろうか。
しかし寝小便はしていないぞ。確かに俺はトイレに行った。それだけは確実だ。

今は忘れるしかないだろう。後輩についてたくさん詮索するのも意味がない上に失礼だからな。
時刻は7時半を回ったところだろうか。昨日店長から聞いた通り、今日は10時に箱根を出るらしい。
本当に温泉だけをつかりにきたらしい。他の予定とかは考えたりしなかったのだろうか。
こんなことを聞いてもしょうがない。風呂に入れるならもう一度入っておこう。

そう思い、浴衣を少しだけ直し、カードキー1枚を持って大浴場へと向かう。
部屋には「温泉行ってくる」という書き残しだけを残しておいた。

朝風呂はなかなかに気持ちのいいものだった。
普段時間がないのも相まって朝風呂など滅多に入らないのだが、そこが温泉との違いだろうか。
布団から出る気になれない冬の寒さも、お湯に浸かればどうってことない。
40度ほどの熱湯が、冷たい空気と体を完全にシャットアウトしてくれるからだ。
美肌成分のお湯のおかげで肌もツルツルだしな。

10分もしないうちに浴槽から上がると、最後にかけ湯で体を流し、そのまま大浴場を後にした。
こっそり持ってきた150円でコーヒー牛乳を購入し、蒸発した水分を補給する。
体に染み渡るとはこのことだ。冷たくも少し甘いコーヒー牛乳は、オーバーヒートした体を正常体温に戻してくれる働きを持つ。
風呂上がりの飲み物といえばコーヒー牛乳だ。日本人の99%がそう思ってくれることだろう。

結局大浴場ではりょうやを見かけなかった。
やはりまだ起きてないか。

部屋に戻ると、布団を半分ぐらい被って起き上がっているりょうやが見えた。
目を細めており、とても眠そうだ。昨日の疲れだろうか。もう少し寝させてあげたい気持ちは山々なのだが、あいにく朝食のバイキングに間に合わなくなるため、仕方なく起こすことにする。

「おーい、りょうや~?」

手を顔の前で数回振ると、ビクッとしてこっちをみる。

「わっ…せんぱい…おはようございます…」

何故かこちら側を見た後にりょうやの顔がほんのり赤くなる。
昨日の夜飲ませすぎてしまったか…?

「大丈夫か?二日酔いとかしてないか?」

「えっ、あっ…いえ、お酒は多分抜けて…ます」

何故かこっちと目を合わせたがらない。

「はよ起きろよ~、朝ご飯間に合わなくなるぞ~」

顔を近づけても後退りをするので、頭を撫でながら俺が立ち上がる。

俺にはわかる。これは意識している顔だ。
そしてその矛先はおそらく俺。やはり昨日の深夜の…あれ、なのだろう。


店長からは単独行動との連絡があったので、りょうやと二人で朝食会場へと向かう。
メニューに多少の変更はあるが、基本的に同じような感じで料理が置かれているビュッフェスタイルだ。
もちろん文句なしの最高の朝食だった。毎日家でもこんなのが食べられたらどれだけいいことだろう。

チェックアウトは10時、あと30分といったところで部屋に戻る。

「あと30分でチェックアウトだな。忘れ物気をつけろよ~」

「はい...」

りょうやはさっきから何やら元気がないように見える。
元気がないというか、俺を意識しているというか。

昨日の分の着替えをカバンの中に入れ、昨日の晩酌のゴミを袋に片付ける。
来た時よりも美しく。小学校の遠足の頃から言われたことを俺は今でも守っている。
布団式の旅館は、シーツを洗うので、あえて布団を戻さないのがポイントだ。

一通り片付け終わると、時刻はすでに9時50分を指していた。
最後に一回忘れ物のチェックをすると、荷物を持って部屋の外へと出る。
カードキー2枚をしっかりと上着のポケットに入れ、隣の店長の部屋へと向かう。

「店長~」

ノックを数回すると、中から清々しい姿をした…店長がでてきた。

「おっ、中野くん。」

「チェックアウトなのでそろそろ行きましょ」

「そうだね。そっちは忘れ物ない?」

「大丈夫です」

「よしっ、じゃあ帰ろっか」

というわけでチェックアウトをすまし、ホテルから出る。
「帰る」と店長が直々におっしゃられたので、おそらくもうこの後に予定は組んでいないのだろう。知ってたけど。

続く
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