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第一章 開戦
第10話 お調子者のヒロ
若い帝国兵、ヒロは震えながらその光景を見た。
地面から黒煙が上がると、兵達は忽ち倒れて動かなくなった。
丈の短い薄布の服を着た女達が地面から湧き出し、次々と帝国兵を斬り殺していく。地上に生きた者が居なくなると、血に濡れた女達は地面に消えていなくなった。
魔女。その姿は御伽噺に聞いた魔女そのものだ。壕を越えてあそこに踏み込めば、死ぬ。
緒戦で指揮官と熟練の兵士を失った帝国軍は、指揮系統を失い、生き残った部隊長の一人が指揮官となった。
己が突入するのを恐れた彼は、塹壕の手前に布陣したまま、若い兵士達を散発的に塹壕網へ突入させていった。
ヒロの順番が迫る。ここにいれば死ぬ。死に怯えるヒロの肩を、同期のナオが叩いた。『逃げよう。』彼も、同じ思いだった。
日が暮れて、夜が来ると彼等は闇に紛れて部隊を抜け出した。
脱走兵は、見つかれば即死刑。だが、後方への脱走は厳しく見張られているかわりに、前方への監視は甘かった。あっさりと森に入った彼等は王城の方角へ歩き始めた。
戦えば死ぬ。逃げても死ぬ。魔女に見つかれば死ぬ。軍に残っても死ぬ。生き残る目は、降伏しかない。
森の中には、跨鬼衆の罠が張り巡らされていた。
「ヒロ」泣き声がヒロを呼んだ。「だめだ。先に行ってくれ。」暗闇に、ナオが立ち止まっていた。
意味がわからずナオに駆け寄ろうとしたヒロを、ナオが止めた。「近付くな、罠だ。」声が震えている。
無数の鉤針が結ばれた天蚕糸が、ナオの体に絡みついていた。ナオを置いては行けない。怯えながら、慎重に指を伸ばしたヒロの背後から、低い声が聞こえた。「脱走兵か?」「ひっ!」ヒロは震え上がった。
恐る恐る振り向くヒロに変わって、ナオが答えた。「そうだ。」「希望は?志願か?帰郷か?」帝国兵の元へ戻ることは、死を意味した。「志願兵になれば、報酬は出るのか?」勇敢にも、ナオは尋ねた。「無論だ。王国兵の初任給は二十万パウエル。但し一年間は試用期間としてその四分の一が支払われる。」生々しい答えが帰ってきた。
そういう事ね。志願兵は最前線に送られ、使い捨てられる。生き残った強者だけが正規兵になれる。それでも、生き残る道は残る。二人は兵役を志願した。
糸を解かれ、森の縄牢で一夜を過ごした彼らは、翌朝、王国兵として迎えられた。
王国兵となった二人が送られたのは、予想に反して最前線ではなかった。
王立士官学校。若い貴族を中心に、士官候補生が経済、科学、政治、医学、軍事を総合的に学ぶ。宿舎と食事は無料。手当を支給されて教育を受ける、夢のような生活が待っていた。
ヒロはそこで初めて、学ぶ事の意味を知った。学ぶとは、文字の羅列を暗記する事では無い。世界を識る事なのだと。軍事教練は厳しかったが、学ぶ事は楽しかった。
王都での生活は、ヒロの認識を根本から変えた。王都は、戦争当事国、それも侵略を受ける側の国としては有り得ない程、活気に満ちていた。士官学校では、男も女も、貴族も平民も、流民の子でさえ垣根なく学校生活を送る。そこに偏見は無かった。
彼等は学校生活を満喫した。受け取った手当で街に繰り出し、買い物をして珈琲を飲み、そして女生徒に恋をした。
彼等は戦地実習として、塹壕の近衛兵の補助にあたった。
塹壕の中は地獄の熱暑だった。リゼの指示で水と食料を配り、負傷兵を王都へ運んだ。その時ヒロは、あれ程恐ろしかった魔女の正体を見た。
まだ幼さの残る少女が、熱中症で昏倒していた。
彼女が着ているものは、薄い上等な絹の下着。それが血と泥で汚れ、汗に濡れて肌に張り付いていた。薄桃色の突起が透け、裾からは淡い茂みが見え隠れしている。
咄嗟に目を逸らし、裾を直しながら彼は思った。貴族だ。貴族の娘が、あまりの過酷さに鎧を脱ぎ捨て、それでも祖国を守る為に戦っている。
ヒロは、胸に熱いものを感じた。
またある日の昼休みに、凛々しい貴族の娘、エリシアに声を掛けられて、ヒロは舞い上がった。
身なり良く、長い金色の髪を綺麗に整えた彼女は、帝国兵の様子を知りたがった。祖国の為に、戦う覚悟が伺えた。
ヒロは気付けば、忘れかけていた帝国兵時代の理不尽や不満を、たっぷりと語って聞かせていた。
その後も彼女は話しかけてきた。話題はいつも授業と、戦争の話。ヒロとナオの脱走劇を、英雄譚のように喜んで聞いた。いつしか二人は、カフェで議論を交わすようになった。
気付けばヒロは、彼女に恋していた。
「好きなんだ。俺の恋人になってくれ。」ヒロは若く、無鉄砲だった。
身分違いの娘に、ストレートな告白をぶつけた。エリシアは驚いて一瞬目を見開き、顔を伏せて言った。「私は貴族の娘です。夫となる男性以外と交際する事は許されません。」
分かっていた。エリシアのような美女がヒロと付き合ってくれる筈がないと。でも、ヒロを笑ったりせず、真っ直ぐな返事をくれた。告白して良かった。
ヒロは晴れやかな気持ちだった。のだが。「それでも、良いのですか?」「は?」続く予想外の言葉に、ヒロはパニックに陥った。え?どう言う意味?結婚するって言えば付き合ってくれるの?
この時のヒロの対応は誠意あるものではなかった。貴族でない彼にエリシアの言葉の重さが理解できなかった事もあるだろう。彼女欲しさに、彼は不誠実な言葉を吐いた。
キリッと、表情を繕い、「はい!この空の星が全て燃え尽きても、俺が貴女を守ります。結婚してください!」
もしかしたら、生まれて初めて彼女が出来るかもしれない。上手く行けば一夜の関係も?そんな事ばかり考えながら、ヒロは勢いよく言い切った。結婚なんて、まだヒロには想像も出来なかった。
そんな、不誠実な求婚に対し、エリシアは「はい。」と、確かな返事を返した。家柄と才気に恵まれたエリシアもまた、まだ若く、青く、浅はかな娘だったのだ。
約束された将来を投げ打って故国を守る為の兵役に志願し、今また一時の感情に流されて身分違いの婚約を交わしてしまう。ヒロと彼女の間には、結婚に対する考えに決定的な違いがあるというのに。
その日から、二人は恋人同士として学園生活を過ごした。
行動が変わる訳ではない。二人は今まで通り机を並べて学び、街で珈琲を飲み、語り合った。
でも、交際を始めた二人の心には、確かな変化があった。
男子というものは本当に単純で愚かな生き物だ。
一週間が経つ頃、ヒロはすっかりその気になっていた。エリシアに真っ直ぐな好意を向けられたヒロはもう、彼女を心から愛していた。その目にはもう、エリシアしか映らない。
彼女と結婚して家庭を作り、一生彼女を幸せにするのだと、彼はもう、心からそう信じていた。
だが楽しい日々は長くは続かない。告白から二週間後、飛び級で卒業したエリシアは、出征して祖国防衛の戦いに身を投じた。
ヒロは、一日も早く兵士となってエリシアと王国を守る事を堅く誓ったのだった。
この時、若い二人の交わしたこの青くささやかな約束が、近い将来王国の存亡を左右する事になるとは、まだ二人は知る由もなかった。
地面から黒煙が上がると、兵達は忽ち倒れて動かなくなった。
丈の短い薄布の服を着た女達が地面から湧き出し、次々と帝国兵を斬り殺していく。地上に生きた者が居なくなると、血に濡れた女達は地面に消えていなくなった。
魔女。その姿は御伽噺に聞いた魔女そのものだ。壕を越えてあそこに踏み込めば、死ぬ。
緒戦で指揮官と熟練の兵士を失った帝国軍は、指揮系統を失い、生き残った部隊長の一人が指揮官となった。
己が突入するのを恐れた彼は、塹壕の手前に布陣したまま、若い兵士達を散発的に塹壕網へ突入させていった。
ヒロの順番が迫る。ここにいれば死ぬ。死に怯えるヒロの肩を、同期のナオが叩いた。『逃げよう。』彼も、同じ思いだった。
日が暮れて、夜が来ると彼等は闇に紛れて部隊を抜け出した。
脱走兵は、見つかれば即死刑。だが、後方への脱走は厳しく見張られているかわりに、前方への監視は甘かった。あっさりと森に入った彼等は王城の方角へ歩き始めた。
戦えば死ぬ。逃げても死ぬ。魔女に見つかれば死ぬ。軍に残っても死ぬ。生き残る目は、降伏しかない。
森の中には、跨鬼衆の罠が張り巡らされていた。
「ヒロ」泣き声がヒロを呼んだ。「だめだ。先に行ってくれ。」暗闇に、ナオが立ち止まっていた。
意味がわからずナオに駆け寄ろうとしたヒロを、ナオが止めた。「近付くな、罠だ。」声が震えている。
無数の鉤針が結ばれた天蚕糸が、ナオの体に絡みついていた。ナオを置いては行けない。怯えながら、慎重に指を伸ばしたヒロの背後から、低い声が聞こえた。「脱走兵か?」「ひっ!」ヒロは震え上がった。
恐る恐る振り向くヒロに変わって、ナオが答えた。「そうだ。」「希望は?志願か?帰郷か?」帝国兵の元へ戻ることは、死を意味した。「志願兵になれば、報酬は出るのか?」勇敢にも、ナオは尋ねた。「無論だ。王国兵の初任給は二十万パウエル。但し一年間は試用期間としてその四分の一が支払われる。」生々しい答えが帰ってきた。
そういう事ね。志願兵は最前線に送られ、使い捨てられる。生き残った強者だけが正規兵になれる。それでも、生き残る道は残る。二人は兵役を志願した。
糸を解かれ、森の縄牢で一夜を過ごした彼らは、翌朝、王国兵として迎えられた。
王国兵となった二人が送られたのは、予想に反して最前線ではなかった。
王立士官学校。若い貴族を中心に、士官候補生が経済、科学、政治、医学、軍事を総合的に学ぶ。宿舎と食事は無料。手当を支給されて教育を受ける、夢のような生活が待っていた。
ヒロはそこで初めて、学ぶ事の意味を知った。学ぶとは、文字の羅列を暗記する事では無い。世界を識る事なのだと。軍事教練は厳しかったが、学ぶ事は楽しかった。
王都での生活は、ヒロの認識を根本から変えた。王都は、戦争当事国、それも侵略を受ける側の国としては有り得ない程、活気に満ちていた。士官学校では、男も女も、貴族も平民も、流民の子でさえ垣根なく学校生活を送る。そこに偏見は無かった。
彼等は学校生活を満喫した。受け取った手当で街に繰り出し、買い物をして珈琲を飲み、そして女生徒に恋をした。
彼等は戦地実習として、塹壕の近衛兵の補助にあたった。
塹壕の中は地獄の熱暑だった。リゼの指示で水と食料を配り、負傷兵を王都へ運んだ。その時ヒロは、あれ程恐ろしかった魔女の正体を見た。
まだ幼さの残る少女が、熱中症で昏倒していた。
彼女が着ているものは、薄い上等な絹の下着。それが血と泥で汚れ、汗に濡れて肌に張り付いていた。薄桃色の突起が透け、裾からは淡い茂みが見え隠れしている。
咄嗟に目を逸らし、裾を直しながら彼は思った。貴族だ。貴族の娘が、あまりの過酷さに鎧を脱ぎ捨て、それでも祖国を守る為に戦っている。
ヒロは、胸に熱いものを感じた。
またある日の昼休みに、凛々しい貴族の娘、エリシアに声を掛けられて、ヒロは舞い上がった。
身なり良く、長い金色の髪を綺麗に整えた彼女は、帝国兵の様子を知りたがった。祖国の為に、戦う覚悟が伺えた。
ヒロは気付けば、忘れかけていた帝国兵時代の理不尽や不満を、たっぷりと語って聞かせていた。
その後も彼女は話しかけてきた。話題はいつも授業と、戦争の話。ヒロとナオの脱走劇を、英雄譚のように喜んで聞いた。いつしか二人は、カフェで議論を交わすようになった。
気付けばヒロは、彼女に恋していた。
「好きなんだ。俺の恋人になってくれ。」ヒロは若く、無鉄砲だった。
身分違いの娘に、ストレートな告白をぶつけた。エリシアは驚いて一瞬目を見開き、顔を伏せて言った。「私は貴族の娘です。夫となる男性以外と交際する事は許されません。」
分かっていた。エリシアのような美女がヒロと付き合ってくれる筈がないと。でも、ヒロを笑ったりせず、真っ直ぐな返事をくれた。告白して良かった。
ヒロは晴れやかな気持ちだった。のだが。「それでも、良いのですか?」「は?」続く予想外の言葉に、ヒロはパニックに陥った。え?どう言う意味?結婚するって言えば付き合ってくれるの?
この時のヒロの対応は誠意あるものではなかった。貴族でない彼にエリシアの言葉の重さが理解できなかった事もあるだろう。彼女欲しさに、彼は不誠実な言葉を吐いた。
キリッと、表情を繕い、「はい!この空の星が全て燃え尽きても、俺が貴女を守ります。結婚してください!」
もしかしたら、生まれて初めて彼女が出来るかもしれない。上手く行けば一夜の関係も?そんな事ばかり考えながら、ヒロは勢いよく言い切った。結婚なんて、まだヒロには想像も出来なかった。
そんな、不誠実な求婚に対し、エリシアは「はい。」と、確かな返事を返した。家柄と才気に恵まれたエリシアもまた、まだ若く、青く、浅はかな娘だったのだ。
約束された将来を投げ打って故国を守る為の兵役に志願し、今また一時の感情に流されて身分違いの婚約を交わしてしまう。ヒロと彼女の間には、結婚に対する考えに決定的な違いがあるというのに。
その日から、二人は恋人同士として学園生活を過ごした。
行動が変わる訳ではない。二人は今まで通り机を並べて学び、街で珈琲を飲み、語り合った。
でも、交際を始めた二人の心には、確かな変化があった。
男子というものは本当に単純で愚かな生き物だ。
一週間が経つ頃、ヒロはすっかりその気になっていた。エリシアに真っ直ぐな好意を向けられたヒロはもう、彼女を心から愛していた。その目にはもう、エリシアしか映らない。
彼女と結婚して家庭を作り、一生彼女を幸せにするのだと、彼はもう、心からそう信じていた。
だが楽しい日々は長くは続かない。告白から二週間後、飛び級で卒業したエリシアは、出征して祖国防衛の戦いに身を投じた。
ヒロは、一日も早く兵士となってエリシアと王国を守る事を堅く誓ったのだった。
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