『ゴーゴン(仮題)』

名前も知らない兵士

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8.春日くん③

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 袋の中には一枚の写真が入れられていた。

 それは、古い木製のテーブルに置かれた頭蓋骨だった。
 その頭蓋には、5本、いや6本だろうか……蛇腹状の蛇の骨らしきものと繋がっている。

 私はゾッとした。

 
「何だかわかる?」
 
「……わかんない」
 
「……だよね。とある男爵だった、ある蒐集家の遺品整理から辿り着いたんだ」
 
「キモいね」
 
「『ゴーゴン一族』の遺骨の写真だよ……!」
 
 春日は真っ直ぐ私の眼を見ている。そしてはっきりと私に言った。
 
「君のご先祖様……ってわけだ」

 
 私は一瞬、頭の中が真っ白になった.

 
「ゴーゴンって何?めっちゃ引くんですけど」
 
「あ……やっぱり?」
 
「サイテー」
 
 真剣に、あるいは嬉々として話をしているように見えた。
 春日に対して私は苛立ちを覚えていた。少しじゃない。
 
「メドゥーサさ。……君は、豊かな頭髪の中に毒蛇を紛れ込ませて……瀬名を病院のベッドに送った」
 
 急に、私は、あの日の瀬名クンと一緒にいる景色がフラッシュバックした。

「現代で一人の女が密かに頭部に宿す蛇を隠して人間を石にして殺していく」
 
「瀬名クンは石になってないでしょうが。しょーもな」
 
「はははは」
 
 春日は快活に笑う。
 
「つまんないなぁ、この話……」
 
「まあまあ、どちらかといえばサイコスリラーとして物語が展開していく。どう?世に出れば俺の傑作になるね!」
 
 春日は今後の映画脚本の話をしているのだ。
 私に対する疑念というわけではなく、私から想起させられた、インスパイアされた架空の物語のことを言っているのだ。
 いや、そう私に思い込ませようとしているのかもしれない。
 
「仮題『ゴーゴン』……脚本はあらかた出来てんだけどな」
 

 ?

 
 脚本はすでに出来ている?

 
「なんっか……微妙なんだよなぁ。そんな時にホレ、君とバッタリ!瀬名のことを急に思い出してさ……!ははっ」

 
 私は諦めた。

 何をか。彼の生命を、だ。

 私はカクテルグラスを一口飲み、にこりと笑って春日に向いた。

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