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13.瀬名クン
しおりを挟む私は小学生の時の『あの日』のことは深追いしなかった。
春日の親友と言える人間を、少なくとも当時仲の良かった同級生を、私は二人知っている。しかし、今は私は動くべきではないだろう。
電話で話した感じ、私が宿す蛇に関して、これ以上追わなくて良いのでは、とも思った。
春日は私に執着しているだけ。恋愛感情でだ。初恋の相手が私だということは知っている。
もう放っておけば良い。
確かに春日が書いた脚本内容は気になるし、瀬名クンの事件は私が大きく関与している。
そのことをどのように表現されているか確かめなければならないし、瀬名クンに固執しているのは、春日だけではない可能性がある。けれど、『あの日』は私にとって事故だった。
私も忘れなければならない。
私はまたもや呟いた。
「“それ何“」
私の脳裏に『瀬名クン』の笑顔が鮮明に読みがえった。
小学5年生の時のことだ。
忌まわしい『あの日』の事件が起きたのは。
瀬名クンは私の初恋の男の子だった。
給食時間を終えた昼下がり、清掃時間を過ごす生徒たちは各々の定められた場所に散っていた。教室のゴミ箱をまとめた私は、焼却炉に燃えるゴミを捨てるためゴミかごを手に取り校舎の裏に向かった。
校舎裏には木々に囲まれた細道があって、ちょっとした林みたいになっている。
ここは背の低い植栽から背の高い高木まで植えられている。隠れる場所がたくさんあって、私は特にこの場所を気に入っていた。
なぜなら、長い昼休み時間は、たまにここに隠れて自慰行為をしていたからだ。誰にも見られない。
細道を抜けて焼却炉にゴミを投げ捨て、林道の小道を抜けようとした時、茂みに隠れていた男子が私を脅かした。それが瀬名クンだった。
私は声にならない声を上げて、必死で落ち着こうとした。叫び声を上げると眠っている蛇が姿を現す可能性があったからだ。その当時、頭部の蛇に名前はない。
すぐさま平静を保った私は、瀬名クンにプリプリと怒った。
大丈夫だ、心配ない、私に別に問題ないよ、そう頭部の蛇に対して心の中で言っていた。
だから……
お願いだから、頭から顔を出さないで。
大丈夫だ。心配ない。この子は起きない。
本当に偶然だった。事故だった。
その日はアイツが顔を出すなんて思ってもなかった。
ゴミかごを手に取り、教室に戻ろうとした時、瀬名クンが私を呼び止めた。
私は振り返り、彼のキョトンとした顔を見た。
「それ何?」
後ろ髪の中から、細い黒蛇が首をもたげ、瀬名クンを見つめていた。
私は慌てて、何でもないと言い放ち、教室に走って逃げた。
それが瀬名クンと会話した最後だった。
瀬名クンは、その日の6時間目の授業で突然倒れて病院に運ばれた。
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