あの丘の上でまた君と会えたなら...

yuki

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1章 【夢】

1.【夢の中】

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---------------   夢を見ていた。 ---------------

 「おーい!とーのくーんー!」

幼いような可愛い声が後ろから聞こえてきた。
僕はそっと振り返る。

「んー」

これは、夢、なのだろうか。
うっすら目がぼんやりするような感じがする。

「もー!とーのくんってばさっきから
何してるのー?何回も呼んだんだよ!」

「...?あーごめんごめんちょっとぼーっとしてた」

なんというかこれは現実では無いと思う。
体が思うように動かないし、何故か喋れない。
できることといえば目の前の少女と
幼い僕のやり取りを見るだけだ。

「ねえ、早くかくれんぼしよ?」

どうやらさらはかくれんぼがしたいらしい。
かくれんぼなんて言葉すら久しぶりに聞いた。

「うん!」

「じゃあ私が鬼ね!」
「とーの君は早く隠れてね?
10秒待つから!」

「おっけー!」

そうして僕は彼女から遠ざかっていく。
僕は公園の滑り台の後ろに隠れた。
2...1...スタート!とさらが走り出した。

「とーのくんどこだー!」



僕はまだバレていない。



.....



 ----- 七瀬彩良 -----

それが彼女の名前だ。
髪を見てみればとても綺麗。
顔を見ればとても可愛い。
幼いときでさえこんなにも可愛いなんて、
今こそ言えるが僕はこんな可愛い子といるなんて
幸せすぎるな。

...そう、幼い時、はな。


僕は、彼女と離れ離れになってしまったのだ。
僕が10歳の時に、僕は何も言わずに引っ越してしまった。
僕も親も連絡先を交換していなかったため、今ではもう
関わりは無くなった。
まあ、今ではそんな事どうでも良くなってしまったのかもしれない。

.....



「とーのくーんどこー?」

どうやらまだ見つかっていないらしい。
公園に真ん中らへんでキョロキョロしている。
さらをずっとみていても飽きない。

「あ!」

そうしてこんな事を思っているといつの間にか
こっちを見てきた。

まさか気づかれた?

「んふふー」

そうしてだんだんさらが僕の方向に近づいてくる。
そして、

「とーのくんみっけ!」

「うわー見つかっちゃったかー」

「もうとーのくんバレバレだって!」
「すぐ見つけちゃったよ!」

見ていた限り、手こずっている様にしか見えなかったが、
まあなんも言わないでおくか。

「じゃあ今度は僕が鬼をやるね!」
「早く隠れてね。」

「うん!分かった。」

そうして僕は目を瞑り、

10...9...8...


2...1...

「さあ見つけるぞー」

そうして僕はとりあえず公園の真ん中に
行ってみた。
と、思っていたらもう見つけてしまった。
どうやら僕がさっき隠れていた場所と同じとこに隠れているらしい。

なぜそこを選んだんだ?

「んー?」

僕は気づかれないようにだんだんさらのいる滑り台に近づいていく。

「んー?どこだー?」
「んー分からないなぁ」

そう言いながらもどんどんさらに近づいていく。
自分でも思うが僕は小さい頃からいい性格してるな。




「あ...」








目の前が急に歪んできた。
めまいがすごい。
立ちくらみもしてきた。

僕は足の膝を着いて四つん這いのような状況になってしまった。

「あ....」

「と...の...ん...ど.た..の...」
「い...す..ぐ..う...しゃを...」

さらが何か言っているようだが
何も聞こえない。

もう何も考えられない...




目の前が真っ暗になってしまった...

あぁ...この死んだような感覚...









_____悪くないな...____





「ここは...ん?」

見慣れない景色が僕の目に入ってきた。
見ている光景が少し高い。
そうして下を見ると、、
どうやらこの体は幼い時の僕ではなく、ちゃんと
今の僕のようだ。
ちゃんと声も出る。
鮮やかな緑や水色が見える。
だけど目がぼんやりしていてはっきりとは見えない。
まだこれも夢なのだろうか...

「そこのあなた」

後ろから声がした。
そっと振り返るとそこにはテーブルがあり、椅子に座っている占い師のような格好をしたおばあさんと見える人がいた。

「こっちに来て」

そう言われると僕はおばあさんの方向に向かって歩いていった。

「あなた、名前は?」

「...斗埜(とうの)と言います。」

「とうのくん...苗字は?」

「綾瀬」

「へぇ~なるほど。」

何やら嫌なほほえみを浮かべているようだ。

「あなたの事を占ってあげるわ。」
「最近の悩みはある?」

「まあ、特には無いですけど。」

「じゃあこの瓶をもって。」

テーブルの上にはラムネ瓶のようなものがある。
それも3個ほど。

「はい」

そうして僕は瓶を持ち上げる。
意外と重いような、軽いような、

「!?」

おばあさんが急に震え出した。
なに?僕も怖くなってくるんだけど。

「君は、少し闇を、抱えている、様だね。」

おばあさんが震えながら言っている。

「大丈夫、少ししか、闇はないから。」
「意外と、すごい物、ね。」

どうやらおばあさんが何か言っているが
言っている言葉の意味が分からないな。

「とりあえず瓶を下ろして」

急におばあさんは冷静になって言った。

「はい」

「あなたは何か闇を抱えている」
「こう、大きくぶわっというような、小さくふわっというような、」

「それは、大丈夫なのでしょうか?」

「ええ!もちろん」

「なにかいいことがあればそんなの吹き飛ぶわよ。」
「今日、夢がさめれば、あなたにはいい事が起きるはずよ。絶対にいい事が起きる。」

そんな事を言われているうちに目の前から遠ざかっていくように真っ暗になっていった。
夢から覚めるのか?

だけどそれとはまた違う感覚。
黒いなにかに入っていく。

ベットで寝ているようなこの無重力状態がとても気持ちい。
まるで死んだような感覚。


____悪くは無いよな。____




目の前が完全に真っ暗になった。
音も何も聞こえない。
この夢を見るのが今日が初めてだ。
おばあさんが言っていた今日なにかいいことがあるはずという言葉となにか関係しているのだろうか。

まあ、どうでもいいか。






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