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学園入学の後に
26. 休憩入りまーす!
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「琴。とりあえず手首は触らないようにするけど、痛かったらすぐ言うように」
「うん…?お、踊るの?」
「この様子じゃ踊るしかない。…心配しなくても、俺に任せてくれれば大丈夫だ」
「それは…お兄ちゃんなら大丈夫だろうけど…」
お兄ちゃんがリードしてくれるならダンスの心配は全くと言っていいほどない。けど、なんで私とお兄ちゃんが踊ることに…?
私は頭に疑問符を浮かべたマヌケな顔のままワルツを踊り始めた。
~♪~♪~~♪♪♪~♪♪
「手は痛くないか?」
「うん、大丈夫!」
何で踊ってるのかはわからないけど、楽しくなってきた。みんなお兄ちゃんに注目してるから、視線も痛くないし!
~♪♪♪~♪~~♪
自然と笑顔になって、顔を上げる。
兄は私と目があったかと思うと、これでもかというくらい幸せそうな顔で私に笑いかけた。
「「「「「!!!!!!!!!!!!!」」」」」
バタバタバタッッッッ!!!!!!
…何やら声にならない声と何かが倒れる音が聞こえた。お兄ちゃんの笑顔恐るべし。
♪~♪~~~♪♪~♪~♪♪♪
やがて演奏が止まり、1曲終わったことがわかる。ダンスを終えると大きな拍手が返ってきた。
パチパチパチパチ!!!!!
2人で揃って礼をして、元の場所…奈々ちゃんたちのところへと戻る。
ふぅ、疲れた。
「素晴らしいワルツをありがとうございました!皆さん今一度、お2人に盛大な拍手をお願い致します!」
パチパチパチパチパチパチ!!!
「それでは生徒会長より開会の挨拶を──」
…
…
──────────
「琴乃ちゃんほんっとうに良かったよ~!もう最高だった!あ~!もう一回見たい!録画しておけば良かったなぁ」
「奈々ちゃん録画はちょっと…」
「あ、私ダンスは録画しておいたよ」
「!?菜摘ちゃん…!?」
「ナイス菜摘!!」
「それにしても奈々の言う通り本当にすごかったね。修司先輩と相馬先輩、更に藤崎先輩まで参戦してミナの取り合い。そこに颯爽と現れる京先輩」
「キャー!カッコいい~!」
「う、うん…間違ってはないね」
「しかも京先輩が3年生の先輩たちを牽制して…」
「うんうん!極め付けは2人のダンスに京先輩と琴乃ちゃんの笑顔の交わし合い!!はわ~…幸せな時間だった…」
「うん…」
奈々ちゃんのテンションは完全に振り切れてるし、菜摘ちゃんもすごく楽しそうだ。
私もダンスは何だかんだで楽しかったけど、その前の出来事は死活問題だったんですけどね…。射殺されるかと思ったよ。
「琴乃、お疲れさん」
「八紘~めちゃめちゃ疲れた」
「ん、オレンジジュース」
「わーい!ありがと!」
「それからケーキとチョコレートも適当に取ってきたから。ほら」
「流石八紘!ありが…ぐふっ!」
「ミーナ!!!ドレス可愛い!!」
「カイ…」
「やっとミーナのところに来れた~ヒロが邪魔するから全然辿り着けなかったよ~!」
「おまえがそうやって琴乃に抱き着こうとするからだろうが。あの空気の中でそんなことしたら場がカオスになるだけだ!」
「あの空気?」
「琴乃が3年に囲まれてたときだよ」
「ああ…」
私が絡まれてた時にカイが見当たらなかったのは、八紘が止めてたからか。…確かにあの場でカイが私に抱き着いてきたら、もっとひどいことになってたかも。
「おい、いつまでくっついてんだ」
「わっ!やめてよヒロ!」
首根っこを掴まれて引き剥がされるカイ。八紘は片手でカイを掴んだまま、私にケーキやチョコレートがのったお皿を渡した。ちゃんとフォークも付いている。
「ありがとう、八紘」
「どういたしまして。それで?琴乃はいつから京と踊ることになってたんだ?」
「そうだよ~!ミーナと踊るなんてズルい!!」
「違う違う。あれは突然指名されたの!お兄ちゃんは生徒会長と副会長の仕業だって」
「京はどうした?」
「生徒会の仕事でどっかに行っちゃった」
「また生徒会か…」
「生徒会長と副会長…お坊ちゃまとお嬢様だね」
「え?どういうこと?菜摘ちゃん」
「千石製薬ってミナも知ってるよね?」
「うん。海外でも有名な大手製薬会社だから」
「その千石製薬の社長子息が千石薫生徒会長で、娘が千石舞副会長だよ。双子なんだって」
「ええっ!知らなかった…」
千石製薬ってとんでもなくでかい会社だった気が…。私でも知ってるくらいだし。生徒会とんでもないな。
「琴乃は興味ないことにはとことん疎いよな」
「うっ…それは、そうだね」
「俺も知らな~い!」
「カイトはそもそも興味範囲外のことを覚える気がないだろ」
「えへへ~」
「言っておくけど褒めてねぇからな。…この学校は社長子息だの何だのが結構いるんだよ。魔王さ…美山もそうだし」
「依織さん?そういえば、今日見かけてないね」
「今日学校きてねーからな。定例会があるとかで。あいつの家は華道の家元なんだよ」
「へぇー…!似合う。けど、家元の娘とか大変そう」
「まぁそうかもな。姉貴がいるから比較的自由にしてるって言ってたが」
「あたしも美山さんが華道の家元の子なのは知ってるけど…柚木君は随分詳しいね。なんで?」
「同中だからな」
「それだけ?」
「それだけだ」
「ふ~ん…?そうなの?琴乃ちゃん」
「えっ?あ、うん。八紘と依織さんは同じ中学だよ。私も初めて会ったのは八紘の中学だから」
「そっかそっか~…(それなら柚木君と琴乃ちゃんをくっつけよう作戦のライバルにはならないかな?)」
「奈々ちゃん?どうかした?」
「ううん!なんでもないよ!あ、修司先輩だ!」
「え…わ、本当だ」
相馬先輩もいる…マズイ。そういえば、後で話しに来るって言ってたっけ。
「ごめん、みんな。私ちょっと人がいない場所で休憩して来る!」
「えー!ミーナ行っちゃうの?俺も行く!」
「1人になりたいから!ごめん!」
「あんまり遠くに行くなよ。それから、なんかあった時の約束忘れてねーよな?」
「大丈夫!」
「琴乃ちゃん、あたしまだ話し足りないからなるべく早く帰ってきてね!」
「私も。ミナが居た方が楽しいし」
「うん!わかった!」
奈々ちゃんと菜摘ちゃんの嬉しい言葉を聞きつつ、先輩たちにバレる前にホールを抜け出した。さて、どこに行こう?
「うん…?お、踊るの?」
「この様子じゃ踊るしかない。…心配しなくても、俺に任せてくれれば大丈夫だ」
「それは…お兄ちゃんなら大丈夫だろうけど…」
お兄ちゃんがリードしてくれるならダンスの心配は全くと言っていいほどない。けど、なんで私とお兄ちゃんが踊ることに…?
私は頭に疑問符を浮かべたマヌケな顔のままワルツを踊り始めた。
~♪~♪~~♪♪♪~♪♪
「手は痛くないか?」
「うん、大丈夫!」
何で踊ってるのかはわからないけど、楽しくなってきた。みんなお兄ちゃんに注目してるから、視線も痛くないし!
~♪♪♪~♪~~♪
自然と笑顔になって、顔を上げる。
兄は私と目があったかと思うと、これでもかというくらい幸せそうな顔で私に笑いかけた。
「「「「「!!!!!!!!!!!!!」」」」」
バタバタバタッッッッ!!!!!!
…何やら声にならない声と何かが倒れる音が聞こえた。お兄ちゃんの笑顔恐るべし。
♪~♪~~~♪♪~♪~♪♪♪
やがて演奏が止まり、1曲終わったことがわかる。ダンスを終えると大きな拍手が返ってきた。
パチパチパチパチ!!!!!
2人で揃って礼をして、元の場所…奈々ちゃんたちのところへと戻る。
ふぅ、疲れた。
「素晴らしいワルツをありがとうございました!皆さん今一度、お2人に盛大な拍手をお願い致します!」
パチパチパチパチパチパチ!!!
「それでは生徒会長より開会の挨拶を──」
…
…
──────────
「琴乃ちゃんほんっとうに良かったよ~!もう最高だった!あ~!もう一回見たい!録画しておけば良かったなぁ」
「奈々ちゃん録画はちょっと…」
「あ、私ダンスは録画しておいたよ」
「!?菜摘ちゃん…!?」
「ナイス菜摘!!」
「それにしても奈々の言う通り本当にすごかったね。修司先輩と相馬先輩、更に藤崎先輩まで参戦してミナの取り合い。そこに颯爽と現れる京先輩」
「キャー!カッコいい~!」
「う、うん…間違ってはないね」
「しかも京先輩が3年生の先輩たちを牽制して…」
「うんうん!極め付けは2人のダンスに京先輩と琴乃ちゃんの笑顔の交わし合い!!はわ~…幸せな時間だった…」
「うん…」
奈々ちゃんのテンションは完全に振り切れてるし、菜摘ちゃんもすごく楽しそうだ。
私もダンスは何だかんだで楽しかったけど、その前の出来事は死活問題だったんですけどね…。射殺されるかと思ったよ。
「琴乃、お疲れさん」
「八紘~めちゃめちゃ疲れた」
「ん、オレンジジュース」
「わーい!ありがと!」
「それからケーキとチョコレートも適当に取ってきたから。ほら」
「流石八紘!ありが…ぐふっ!」
「ミーナ!!!ドレス可愛い!!」
「カイ…」
「やっとミーナのところに来れた~ヒロが邪魔するから全然辿り着けなかったよ~!」
「おまえがそうやって琴乃に抱き着こうとするからだろうが。あの空気の中でそんなことしたら場がカオスになるだけだ!」
「あの空気?」
「琴乃が3年に囲まれてたときだよ」
「ああ…」
私が絡まれてた時にカイが見当たらなかったのは、八紘が止めてたからか。…確かにあの場でカイが私に抱き着いてきたら、もっとひどいことになってたかも。
「おい、いつまでくっついてんだ」
「わっ!やめてよヒロ!」
首根っこを掴まれて引き剥がされるカイ。八紘は片手でカイを掴んだまま、私にケーキやチョコレートがのったお皿を渡した。ちゃんとフォークも付いている。
「ありがとう、八紘」
「どういたしまして。それで?琴乃はいつから京と踊ることになってたんだ?」
「そうだよ~!ミーナと踊るなんてズルい!!」
「違う違う。あれは突然指名されたの!お兄ちゃんは生徒会長と副会長の仕業だって」
「京はどうした?」
「生徒会の仕事でどっかに行っちゃった」
「また生徒会か…」
「生徒会長と副会長…お坊ちゃまとお嬢様だね」
「え?どういうこと?菜摘ちゃん」
「千石製薬ってミナも知ってるよね?」
「うん。海外でも有名な大手製薬会社だから」
「その千石製薬の社長子息が千石薫生徒会長で、娘が千石舞副会長だよ。双子なんだって」
「ええっ!知らなかった…」
千石製薬ってとんでもなくでかい会社だった気が…。私でも知ってるくらいだし。生徒会とんでもないな。
「琴乃は興味ないことにはとことん疎いよな」
「うっ…それは、そうだね」
「俺も知らな~い!」
「カイトはそもそも興味範囲外のことを覚える気がないだろ」
「えへへ~」
「言っておくけど褒めてねぇからな。…この学校は社長子息だの何だのが結構いるんだよ。魔王さ…美山もそうだし」
「依織さん?そういえば、今日見かけてないね」
「今日学校きてねーからな。定例会があるとかで。あいつの家は華道の家元なんだよ」
「へぇー…!似合う。けど、家元の娘とか大変そう」
「まぁそうかもな。姉貴がいるから比較的自由にしてるって言ってたが」
「あたしも美山さんが華道の家元の子なのは知ってるけど…柚木君は随分詳しいね。なんで?」
「同中だからな」
「それだけ?」
「それだけだ」
「ふ~ん…?そうなの?琴乃ちゃん」
「えっ?あ、うん。八紘と依織さんは同じ中学だよ。私も初めて会ったのは八紘の中学だから」
「そっかそっか~…(それなら柚木君と琴乃ちゃんをくっつけよう作戦のライバルにはならないかな?)」
「奈々ちゃん?どうかした?」
「ううん!なんでもないよ!あ、修司先輩だ!」
「え…わ、本当だ」
相馬先輩もいる…マズイ。そういえば、後で話しに来るって言ってたっけ。
「ごめん、みんな。私ちょっと人がいない場所で休憩して来る!」
「えー!ミーナ行っちゃうの?俺も行く!」
「1人になりたいから!ごめん!」
「あんまり遠くに行くなよ。それから、なんかあった時の約束忘れてねーよな?」
「大丈夫!」
「琴乃ちゃん、あたしまだ話し足りないからなるべく早く帰ってきてね!」
「私も。ミナが居た方が楽しいし」
「うん!わかった!」
奈々ちゃんと菜摘ちゃんの嬉しい言葉を聞きつつ、先輩たちにバレる前にホールを抜け出した。さて、どこに行こう?
応援ありがとうございます!
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