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おつきみ
しおりを挟むある あきのよるーー。
ぽっかり まんまる おつきさまが、よぞらに うかんでいます。
くさのうえに こしをおろした ももちゃんと ぺろは、おつきさまを ながめていました。
りんりんりーん。
すずむしの ねいろが、ここちよく ふたりを つつんでいます。
ももちゃんは、つきを じっと ながめたまま ぺろに かたりかけます。
「おつきみの よるには、つきに すんでいる うさぎさんが、おもちを ついてね、それを とどけて くれるんだって!」
「うそ!ほんとう?」
「うん、ようちえんの せんせいが いってたから。それでね、このおだんごが めじるし なんだって!」
「このピラミッドみたいのが!?」
すこしの あいだ、かんがえこんでいた ぺろが、くちを ひらきました。
「ねえ、もっと おおきい ピラミッドにしようよ」
「え、なんで?」
「ちっちゃかったら、うさぎさんが みおとし ちゃうからね」
うでをくんだ ぺろが、おとなみたいに うなずいています。
ももちゃんは、ぷっと ふきだして しまいました。
「ままが、これで だいじょうぶだって」
ぺろに むかって やんわりと ほほえむ ももちゃん。
ほっとした ようすの ぺろが、すすきを もって、はたのように そらに むかって ふりました。
くさの かおりが、すーっと ふたりの はなを かすめます。
「おーい、うさぎさん、ぺろは ここですよー。くもに のって はやくきて くださーい」
くすくすと わらった ももちゃんも、ぺろに つられて、おつきさまを みあげました。
きらきらと ふたりの ひとみに うつる おつきさまの ひかり。
さらさらと すずしい かぜに なびく すすき。
きらきらと おつきさまの ひかりを はんしゃする くもが、ゆっくりと よぞらを ながれていきます。
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