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第4話「おしとやかな女性を目指しますわ」

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 私、エリゼの変貌はまだ終わっていませんでした。社交界での成功と自己実現の旅は、新たな局面に突入していたのです。今度の目標は、ただ強くなるだけではなく、「おしとやかな女性」を目指すこと。これまでの高慢さを捨て、より品格のある振る舞いを身につけるのです。

 この新しい挑戦は、私にとっては未知の領域。以前の私は、自分の意志を通すために力を使ってきました。しかし、今回の目標は異なります。心の豊かさと、他人に対する思いやり。これらを学び、身につけることが必要だったのです。

 私の変貌を手助けしてくれたのは、エマ先生。彼女は品格と優雅さの象徴で、社交界で長年尊敬されている女性でした。エマ先生の元で、私はお茶の作法、美しい言葉遣い、そして品位ある立ち振る舞いを学びました。

「エリゼ、本当の美しさは外見だけではなく、心の中から湧き出るものですわ」

 エマ先生は優しく教えてくれました。

 私はその言葉を胸に刻み、日々の訓練に励みました。簡単なことではありませんでしたが、私は決して諦めませんでした。心の中で何度も自分に言い聞かせました。「私は変われる。もっと素晴らしい人間になれるのよ」。

 この過程で、私は自分の中に新たな側面を発見しました。それは、他人に対する思いやりと、穏やかな心。これまでの私には欠けていたものですが、今の私はそれを大切にしていました。

 そして、次の社交界のイベントの日。私は新しいエリゼとして再び会場に現れました。今度の私は、以前のような傲慢さはなく、代わりに優雅さと品格がありました。会場に入ると、多くの人々が私の変化に気づき、驚きを隠せませんでした。

「エリゼ、君はまた変わったのね」

 一人の女性が言いました。

「ええ、今度は心を変えることに注力しています。おしとやかな女性を目指していますわ」

 私は微笑みながら答えました。

 レオを思い出しながら、私は心の奥底に秘めた微かな満足感を感じました。私の変貌は、彼に対する最高の復讐だったのです。レオが私を裏切った日から、私は自分を変えることを誓いました。
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