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第一章 エルミス
11 虚言
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暗い顔をしながらアーリスを連れ戻しに行った少女がフェンガーリ達の元へ帰ってきた。
「よお!ん?ゴミーリスは?」
フェンガーリはアーリスがいないことに気づき、怪訝な顔をする。
「すいません。連れ戻せませんでした」
「どういうこと?」
ギーもよくわからない、と言うように首を傾げる。
「その……そう!連れ戻そうとしたら、大金を要求されまして、なんか馬鹿らしくなって……」
「ッ!どこまでもゴミね」
パーティメンバーの言葉にギーは怒りをあらわにする。
「同感だ。にしてもお前は優しいな」
フェンガーリは急にアーリスを連れ戻しに行った少女の頭を撫でる。
「でも優しすぎだ。ゴミにそこまで優しくする必要はない」
「そうだよ!今度は私たちに行かせて」
フェンガーリ達の言葉に反応して、二人の少女が反応する。
「多少荒っぽくてもいいでしょ。フェンガーリ」
「ああ、任せたぜ」
フェンガーリはその二人の少女に微笑みかける。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
その次の日。
みんなが起きてダンジョンの支度をしている時、フェンガーリは何かを思い出したように大声を上げる。
「そうだ!みんな聞いてくれ。今日から我がパーティーに新たな仲間が加わる!そろそろ来るはずだが……」
「フェンガーリ、あなたまた新しい女の子をたぶらかしてきたのね?」
ギーはジト目でフェンガーリを見つめる。
「そんなことしてねえよ!てかまたって何だ!まるで俺が女の子をたぶらかしまくってるみたいじゃねーかよ!」
「この鈍感男……」
「私はその……何番目でも構いません。ですから」
「ちょっとあんた、何しれっと抜けがけしようとしているのよ」
パーティの少女達がフェンガーリを取り合って喧嘩を始める。
フェンガーリは口では喧嘩を止めようとするが満更ではなさそうな顔をしている。
そんな中、ドアが開き、一人の少女が顔を出す。
「お邪魔するよ……時間を改めた方が良さそうかな?」
金髪のショートヘアで、クールな雰囲気を漂わせる少女が困ったような顔をしている。
その少女の顔を見てフェンガーリの顔が一瞬緩む。
(コイツは上物だな。胸はあんまりねぇが、顔はうちのパーティでもトップクラスだ。アイツは絶対俺のものにする!)
「いや、大丈夫だ、みんな!紹介する。彼女が新しい仲間、アフロディティだ」
フェンガーリは爽やかな笑顔でみんなに金髪の少女、アフロディティを紹介する。
「アフロディティってまさか!!」
名前を聞いた途端、ギーが驚いたように目をまん丸くする。
「ああ、たった一人で高難易度ダンジョンを完全制覇した規格外の剣士、それがコイツだ」
「恥ずかしいからやめてくれ、たまたまだ……ところで……」
アフロディティは苦笑いをしながらギーの方を見る。
「何かしら?」
ギーはアフロディティを強くて睨みつけていた。
「そんなに睨まないでくれよ、別にフェンガーリを奪うつもりはないって」
「どうだか」
ギーはふん!と向こうを向いてしまう。
「それよりも……アーリスはまだ来ていないのか?ここのパーティーにいると聞いていたのだか」
アフロディティはキョロキョロと辺りを見渡す。
それを聞いたフェンガーリは怪訝な顔をする。
「アーリス?ああ、あの役立たずか!アイツなら昨日追い出してやった。だからもうこのパーティにはもういねぇーよ、なんだよ、あいつのゴミっぷりはそんなに有名なのかい!」
パーティのみんなが大笑いをする。
(この辺り独特のジョークだろうか。
まさか本心からアーリスのことをそんな風に思っている訳ではあるまい。
しばらく一緒に組んでいたのなら嫌でもわかるはずだ。アーリスの底が見えない才能を。
彼をバカにしているようなので私の趣味ではないがみんな楽しそうにしてることだし、ここは場を壊さないように乗ってやろう)
「ああ、有名だ。そのうち彼の名を知らないものはいなくなるんじゃないか?」
「あはは!そりゃいい。よろしくな!アフロディティ」
アフロディティの言葉にフェンガーリは満足そうに笑う。
「こちらこそだ。フェンガーリ」
(このパーティーにいればそのうちアーリスとも会えるだろう。この五年間、アーリスの背中を守れるようになりたいという一心で剣を振り続けてきたんだ。アーリスも僕のこと、覚えていてくれると嬉しいのだが……)
アフロディティの顔が少し赤くなるが、誰もそのことには気づかなかった。
「よお!ん?ゴミーリスは?」
フェンガーリはアーリスがいないことに気づき、怪訝な顔をする。
「すいません。連れ戻せませんでした」
「どういうこと?」
ギーもよくわからない、と言うように首を傾げる。
「その……そう!連れ戻そうとしたら、大金を要求されまして、なんか馬鹿らしくなって……」
「ッ!どこまでもゴミね」
パーティメンバーの言葉にギーは怒りをあらわにする。
「同感だ。にしてもお前は優しいな」
フェンガーリは急にアーリスを連れ戻しに行った少女の頭を撫でる。
「でも優しすぎだ。ゴミにそこまで優しくする必要はない」
「そうだよ!今度は私たちに行かせて」
フェンガーリ達の言葉に反応して、二人の少女が反応する。
「多少荒っぽくてもいいでしょ。フェンガーリ」
「ああ、任せたぜ」
フェンガーリはその二人の少女に微笑みかける。
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その次の日。
みんなが起きてダンジョンの支度をしている時、フェンガーリは何かを思い出したように大声を上げる。
「そうだ!みんな聞いてくれ。今日から我がパーティーに新たな仲間が加わる!そろそろ来るはずだが……」
「フェンガーリ、あなたまた新しい女の子をたぶらかしてきたのね?」
ギーはジト目でフェンガーリを見つめる。
「そんなことしてねえよ!てかまたって何だ!まるで俺が女の子をたぶらかしまくってるみたいじゃねーかよ!」
「この鈍感男……」
「私はその……何番目でも構いません。ですから」
「ちょっとあんた、何しれっと抜けがけしようとしているのよ」
パーティの少女達がフェンガーリを取り合って喧嘩を始める。
フェンガーリは口では喧嘩を止めようとするが満更ではなさそうな顔をしている。
そんな中、ドアが開き、一人の少女が顔を出す。
「お邪魔するよ……時間を改めた方が良さそうかな?」
金髪のショートヘアで、クールな雰囲気を漂わせる少女が困ったような顔をしている。
その少女の顔を見てフェンガーリの顔が一瞬緩む。
(コイツは上物だな。胸はあんまりねぇが、顔はうちのパーティでもトップクラスだ。アイツは絶対俺のものにする!)
「いや、大丈夫だ、みんな!紹介する。彼女が新しい仲間、アフロディティだ」
フェンガーリは爽やかな笑顔でみんなに金髪の少女、アフロディティを紹介する。
「アフロディティってまさか!!」
名前を聞いた途端、ギーが驚いたように目をまん丸くする。
「ああ、たった一人で高難易度ダンジョンを完全制覇した規格外の剣士、それがコイツだ」
「恥ずかしいからやめてくれ、たまたまだ……ところで……」
アフロディティは苦笑いをしながらギーの方を見る。
「何かしら?」
ギーはアフロディティを強くて睨みつけていた。
「そんなに睨まないでくれよ、別にフェンガーリを奪うつもりはないって」
「どうだか」
ギーはふん!と向こうを向いてしまう。
「それよりも……アーリスはまだ来ていないのか?ここのパーティーにいると聞いていたのだか」
アフロディティはキョロキョロと辺りを見渡す。
それを聞いたフェンガーリは怪訝な顔をする。
「アーリス?ああ、あの役立たずか!アイツなら昨日追い出してやった。だからもうこのパーティにはもういねぇーよ、なんだよ、あいつのゴミっぷりはそんなに有名なのかい!」
パーティのみんなが大笑いをする。
(この辺り独特のジョークだろうか。
まさか本心からアーリスのことをそんな風に思っている訳ではあるまい。
しばらく一緒に組んでいたのなら嫌でもわかるはずだ。アーリスの底が見えない才能を。
彼をバカにしているようなので私の趣味ではないがみんな楽しそうにしてることだし、ここは場を壊さないように乗ってやろう)
「ああ、有名だ。そのうち彼の名を知らないものはいなくなるんじゃないか?」
「あはは!そりゃいい。よろしくな!アフロディティ」
アフロディティの言葉にフェンガーリは満足そうに笑う。
「こちらこそだ。フェンガーリ」
(このパーティーにいればそのうちアーリスとも会えるだろう。この五年間、アーリスの背中を守れるようになりたいという一心で剣を振り続けてきたんだ。アーリスも僕のこと、覚えていてくれると嬉しいのだが……)
アフロディティの顔が少し赤くなるが、誰もそのことには気づかなかった。
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