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小学校三年生と書かれたドリルをやり終えたマオは小学校四年生のドリルを手に取った。
学年をやり終えたら高瀬に報告してテストを作って貰い、合格を貰ったら次に進むのだが、毎回満点を取っている。
高瀬はまだ帰って来ないし、仕事が忙しそうだ。
テストは休みの日にして貰う事にして、先に四年を予習しておいても損は無いだろう。
参考書を読みつつ、勉強を進めるマオだった。
リビングで勉強しているマオは、テレビを付けていた。
テレビからは紅葉が見頃を迎えるとか、栗ご飯が美味しい季節だとか、読書の秋だとか言っている。
今は秋らしい。
マオの世界にも四季は有った。
秋は実りの季節だったな。
知識にはある。
まぁ、年がら年中うす暗い摩天楼の最上階に居たマオには関係の無いものだった。
此方の世界に来てからも、マオはまだお出かけした事が無い。
病院に連れて行かれたあれっきりである。
マオにも外に出るという習慣が無かったので何か思う事も無かった。
日用品や衣類等は高瀬が勝手に揃えて勝手にマオに当てがられている寝室に置いていく。
何か気づくと服が増えていて驚く。
高瀬は魔法で服を作れるのだろうか?
仕立て屋さんとか?
それにしても、テレビから流れてくるピクニックというものは楽しそうだった。
紅葉の綺麗な公園で散歩したり、お弁当を食べたり、男女が肩を寄せ合っていたり、家族が笑顔で談笑していたり、犬が走り回ったりしている。
外に出て遊ぶという経験は無いが、マオはテレビから流れてくる内容に興味を惹かれた。
高瀬はピクニックしたこと有るだろうか。
行きたいと言ったら連れて行ってくれるかなぁ?
でも、高瀬はお仕事大変そうだし、休日は休んで欲しい。
まぁ、高瀬は休日も俺の勉強を見たりしたりして休んだりしてないように見えるのだが……
折角の休日なのだからお前の好きな事をしろと言うのたが『ですから僕の好きな事をしています』と微笑むだけだ。
本当に奇特な奴である。
やっぱりアイツは天使が転生したんじゃないかな。
テレビに夢中だったマオであるが、洗濯が終わるピーっという音でハッとして洗濯物を取りに向かう。
洗濯物を干したら、夕食の準備をして、掃除をして、お風呂の準備をしよう。
そんな事を考えながら家事を始めるマオだった。
高瀬が帰宅すると、リビングではマオが眠ってしまっていた。
四年生のドリルをしていたらしい。
三年生もやり終えたのか。
「ん? 高瀬? お帰りなさい」
眠たそうにも目を開けるマオ。
「ごめんなさい遅くなってしまいました。待っていてくれたんですね」
時計を確かめれば、もう0時を回ってしまっている。
高瀬は今まで無理してでも22時までには帰ってきていた。
たが、今日はどうしても帰ってこれずこんな時間になってしまったのだ。
連絡しようにもマオは携帯を持ち合わせていない。
フロントに頼むにしても、マオには対応しないように言い聞かせていた。
フロントの用をマオが対応しても解らないだろうし、万が一不審者を部屋に入れてしまっても大変だと思っての事だった。
高瀬はそれなりに名の有る人物であり、テレビや雑誌に取り上げられる事も有る。
万が一にも高瀬を強請るためにマオが誘拐等されてはと、危惧しての事だった。
だが、こんな遅くなっても寝ないで待っていてくれるだなんて……
本当に申し訳なかった。
「今日は遅かったな。何か有ったのか? 心配した」
マオは眠そうに目を擦った。
「仕事でちょっとしたトラブルが有りまして」
「そうか。問題は解決出来たのか?」
「それは勿論、抜かりは有りません」
「良かった」
マオは高瀬の話しにホッとした表情を見せた。
「本当にすみませんでした。次から僕の帰りが遅かったら寝室で寝ていて下さいね」
「何処で寝るも寝ないも俺の勝手だ」
「いえ、ソファーで寝るのは良くありません。風邪を引いたら大変です」
「んー」
「寝ぼけてますよね」
マオはポヤポヤしていて、今にも机に頭を打ち付けそうで高瀬は心配である。
「ちょっと失礼しすよ」
高瀬はマオを抱きかかえると寝室に運ぶことにした。
「お風呂も夕飯も有るから食べるなり入るなり寝るなりしてくれー」
マオは寝ぼけ眼でこれだけ伝えると、高瀬の腕のなかで寝落ちた。
高瀬はマオをベッドに寝かせてリビングに戻る。
夜も遅いがマオが折角準備してくれた夕飯は食べたい気持ちだ。
お風呂にも入りたい。
テーブルを確かめると、食事は二人分。
晩ごはんも食べずに待っていてくれたのか。
高瀬は胸が締め付けられた。
マオのしていた四年生のドリルを片付けようとした時だった。
珍しく何か落書きをしている。
犬がフリスビーを追いかける絵だろうか。
何故こんな絵を?
側に文字も書かれている。
『高瀬とピクニック行きたい』
学年をやり終えたら高瀬に報告してテストを作って貰い、合格を貰ったら次に進むのだが、毎回満点を取っている。
高瀬はまだ帰って来ないし、仕事が忙しそうだ。
テストは休みの日にして貰う事にして、先に四年を予習しておいても損は無いだろう。
参考書を読みつつ、勉強を進めるマオだった。
リビングで勉強しているマオは、テレビを付けていた。
テレビからは紅葉が見頃を迎えるとか、栗ご飯が美味しい季節だとか、読書の秋だとか言っている。
今は秋らしい。
マオの世界にも四季は有った。
秋は実りの季節だったな。
知識にはある。
まぁ、年がら年中うす暗い摩天楼の最上階に居たマオには関係の無いものだった。
此方の世界に来てからも、マオはまだお出かけした事が無い。
病院に連れて行かれたあれっきりである。
マオにも外に出るという習慣が無かったので何か思う事も無かった。
日用品や衣類等は高瀬が勝手に揃えて勝手にマオに当てがられている寝室に置いていく。
何か気づくと服が増えていて驚く。
高瀬は魔法で服を作れるのだろうか?
仕立て屋さんとか?
それにしても、テレビから流れてくるピクニックというものは楽しそうだった。
紅葉の綺麗な公園で散歩したり、お弁当を食べたり、男女が肩を寄せ合っていたり、家族が笑顔で談笑していたり、犬が走り回ったりしている。
外に出て遊ぶという経験は無いが、マオはテレビから流れてくる内容に興味を惹かれた。
高瀬はピクニックしたこと有るだろうか。
行きたいと言ったら連れて行ってくれるかなぁ?
でも、高瀬はお仕事大変そうだし、休日は休んで欲しい。
まぁ、高瀬は休日も俺の勉強を見たりしたりして休んだりしてないように見えるのだが……
折角の休日なのだからお前の好きな事をしろと言うのたが『ですから僕の好きな事をしています』と微笑むだけだ。
本当に奇特な奴である。
やっぱりアイツは天使が転生したんじゃないかな。
テレビに夢中だったマオであるが、洗濯が終わるピーっという音でハッとして洗濯物を取りに向かう。
洗濯物を干したら、夕食の準備をして、掃除をして、お風呂の準備をしよう。
そんな事を考えながら家事を始めるマオだった。
高瀬が帰宅すると、リビングではマオが眠ってしまっていた。
四年生のドリルをしていたらしい。
三年生もやり終えたのか。
「ん? 高瀬? お帰りなさい」
眠たそうにも目を開けるマオ。
「ごめんなさい遅くなってしまいました。待っていてくれたんですね」
時計を確かめれば、もう0時を回ってしまっている。
高瀬は今まで無理してでも22時までには帰ってきていた。
たが、今日はどうしても帰ってこれずこんな時間になってしまったのだ。
連絡しようにもマオは携帯を持ち合わせていない。
フロントに頼むにしても、マオには対応しないように言い聞かせていた。
フロントの用をマオが対応しても解らないだろうし、万が一不審者を部屋に入れてしまっても大変だと思っての事だった。
高瀬はそれなりに名の有る人物であり、テレビや雑誌に取り上げられる事も有る。
万が一にも高瀬を強請るためにマオが誘拐等されてはと、危惧しての事だった。
だが、こんな遅くなっても寝ないで待っていてくれるだなんて……
本当に申し訳なかった。
「今日は遅かったな。何か有ったのか? 心配した」
マオは眠そうに目を擦った。
「仕事でちょっとしたトラブルが有りまして」
「そうか。問題は解決出来たのか?」
「それは勿論、抜かりは有りません」
「良かった」
マオは高瀬の話しにホッとした表情を見せた。
「本当にすみませんでした。次から僕の帰りが遅かったら寝室で寝ていて下さいね」
「何処で寝るも寝ないも俺の勝手だ」
「いえ、ソファーで寝るのは良くありません。風邪を引いたら大変です」
「んー」
「寝ぼけてますよね」
マオはポヤポヤしていて、今にも机に頭を打ち付けそうで高瀬は心配である。
「ちょっと失礼しすよ」
高瀬はマオを抱きかかえると寝室に運ぶことにした。
「お風呂も夕飯も有るから食べるなり入るなり寝るなりしてくれー」
マオは寝ぼけ眼でこれだけ伝えると、高瀬の腕のなかで寝落ちた。
高瀬はマオをベッドに寝かせてリビングに戻る。
夜も遅いがマオが折角準備してくれた夕飯は食べたい気持ちだ。
お風呂にも入りたい。
テーブルを確かめると、食事は二人分。
晩ごはんも食べずに待っていてくれたのか。
高瀬は胸が締め付けられた。
マオのしていた四年生のドリルを片付けようとした時だった。
珍しく何か落書きをしている。
犬がフリスビーを追いかける絵だろうか。
何故こんな絵を?
側に文字も書かれている。
『高瀬とピクニック行きたい』
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